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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第5章 「邪神」との戦い
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第139話 春風、怒る


 遡る事少し前。


 (よーし、この辺りで良いかな?)


 と、心の中でそう呟きながら、春風はジェフリーら五神教会の人間達から見えない位置に止まった。


 勿論、ジェフリー達だけでなく周囲の人達に気付かれないようにしてはいたが、


 「……って、あれ?」


 「は〜る〜か〜」


 ふと春風が周囲を見回すと、そこには少し怒っている様子のレナやアメリアといった春風の仲間達、更にはエヴァンまでいたので、


 「なんだ、みんなも来てたの?」


 と、春風は小さい声で近くにいたレナにそう尋ねると、


 「『来てたの?』じゃないでしょ! 『待ってて』って言われてたでしょ!?」


 と、レナはプンスカと春風と同じ小さい声でそう怒鳴った。それを聞いて、


 「え〜?」


 と、怒鳴られた春風は「何で俺怒られてるの?」と言わんばかりに文句がありそうな表情をしている中、


 「ホラ、戻ろう……!」


 と、レナが春風の腕を掴むと、


 「……あ」


 と、近くにいたエステルがそう声をもらしたので、


 「ん? どうしたエステル?」


 と、エステルの傍に立っていたディックがそう尋ねると、


 「()()……」


 と、エステルはとある方向を指差したので、春風達が「え?」とその方向を見ると、指差した先には五神教会の人間と思われる白いローブ姿の人達が、爽子ら勇者達に銀色の腕輪を配っているのが見えたので、


 (ん? 何だあの腕輪……?)


 と、春風が疑問に思っていると、


 「兄さん。()()は、()()()()()()です」


 と、エステルは震えた声でそう言ったので、

 

 「え……まさか」


 と、それを聞いた春風は、すぐにスキル[鑑定]を発動した。


 その結果、


 「ふっざけんな!」


 と、春風は怒りに満ちた表情になり、


 「『アクセラレート』!」


 と、自身に風の魔術「アクセラレート」を使い、その後すぐにその場から駆け出した。


 それを見て、


 「あ、ちょっと春風!」


 「アニキ!?」


 と、レナとディックが驚いている中、


 「ちょおっと待ったぁあああああああっ!」


 と、春風は前方に向かって大きな声でそう叫んだ。


 突然の春風の叫び声を聞いて、


 『!?』


 と、その場にいる誰もがビクッとなって春風の方へ振り向くと、


 「その腕輪をつけちゃ駄目だ! それは、『()()』だ!」


 と、春風は爽子達がつけようとした腕輪を指差しながら更にそう叫んだ。


 その叫びを聞いて、爽子達は一瞬フリーズした後、


 『うわあああああああっ!』


 『きゃあああああああっ!』


 と、皆、一斉にその銀の腕輪を地面に投げた。


 それを見てジェフリーら五神教会の人間達が「あ!」と驚くと、すぐ傍まで来ていた春風が、


 「み、みんな、大丈夫!? 腕輪、付けたりしてないよね!?」


 と、大慌てで勇者達全員の腕を調べ出した。


 そして、全員の腕に何もついてないのを確認すると、


 「はぁ、良かったぁ」


 と、安心したのか、春風はホッと胸を撫で下ろした。


 その後、


 「き、貴様、雪村春風!」


 と、春風の存在に気付いたジェフリーがそう口を開いたので、それに春風がピクッと反応すると、


 「……オイ、この()()()()()


 と、春風はゆっくりとジェフリーに視線を向けながら、恐ろしく低い声でそうジェフリーを罵ってきたので、


 「は、ハゲジ……!」


 と、ジェフリーは激しくショックを受けた。


 その際、


 「ブフッ! は、ハゲジジイって……!」


 と、春風から少し離れた位置にいるヴィンセントがそう吹き出したが、周りはそれをスルーした。


 そんなヴィンセント達を他所に、春風は地面に落ちてる銀の腕輪の1つを拾い上げて、


 「どういうつもりだ? コラ」


 と、また恐ろしく低い声で、ジェフリーに向かってそう尋ねた。


 だが、


 「は、ハゲ……ハゲジジイ……」


 と、春風に罵られた事がショックなのか、ジェフリーはショックを受けた状態でフリーズしてしまったので、


 「は、春風殿、一体どうしたのだ? その腕輪が()()とはどういう事なのだ!?」


 と、顔を真っ青にしたウィルフレッドがそう尋ねてきた。


 すると春風は、腕輪を持ったままウィルフレッドに近づくと、


 「陛下、お手を拝借させてください」


 と言って、腕輪を持ってる手と反対の手をウィルフレッドに差し出した。


 それにウィルフレッドは「え?」と戸惑ったが、すぐに気持ちを切り替えて、春風の手に触れた。


 次の瞬間、


 「[鑑定]」


 と、春風は再びスキル[鑑定]を発動してその銀の腕輪を鑑定した。


 その結果……。


 爆散の腕輪……奴隷、もしくは死刑囚につける為に作られた腕輪型魔導具。装着させた側が呪文を唱える事によって大爆発を起こす。


 その鑑定結果を見て、


 「こ、こんな……こんな事が!」


 と、ウィルフレッドはショックで更に顔を真っ青にした。


 当然、


 「オイ春風。俺にも見せろよぉ」


 と、ヴィンセントも言ってきたので、春風はヴィンセントにも腕輪の鑑定結果を見せた。


 それを見て、


 「ふざけやがってぇえええええ!」


 と、ヴィンセントが怒りで顔を真っ赤にしていた。勿論、キャロライン達にも腕輪の鑑定結果を見せた。


 そして、


 「……ジェフリー・クラーク教主」


 と、ショックから立ち直ったウィルフレッドがそう口を開き、


 「は、はひ!?」


 と、ジェフリーが間の抜けた声でそう返事すると、


 「どういう事だ貴様ぁ! 説明しろぉ!」


 と、ジェフリーに怒声を浴びせながらそう尋ねた。


 


 

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