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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第5章 「邪神」との戦い
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第138話 五神教会が来た


 ループスとの決戦を目前に、突如春風達の前に現れた数台の馬車。


 王国騎士の報告によると、それらは全てルーセンティア王国の馬車で、その内の1台に「五神教会」の旗が立っていたという。


 (一体何しに来たんだ?)


 と、報告を聞いて誰もがそう思ってる中、とうとうその数台の馬車が近くまで来た。


 そして、五神教会の旗が立っている馬車の扉が開かれて、そこから白と青の法衣身を包んだ1人の男性が現れた。


 春風はその男性を見て、


 (あれ? あの人は……)


 と、何処かで見たような感覚に襲われたので、その男性をよく見ようと歩き出すと、


 「待ってフーちゃん!」


 と、歩夢が小声でそう話しかけてきたので、


 「え? 何……?」


 と、春風が返事すると、


 「フーちゃんはここで待ってて」


 「うん、春風は近づかない方が良い」


 と、歩夢だけでなく水音までそう言ってきた。


 その後、2人はクラスメイト達と共に春風を置いて男性の方へと駆け出したので、


 「むぅ、一体何だって言うんだよ……」


 と、春風は頬を膨らませながらそう不貞腐れると、


 「()()


 と、王国騎士のエヴァンが近づいてきたので、


 「あ、()()()()()。どうかしたの?」


 と、春風はエヴァンに向かってそう尋ねた。


 あの()()()(?)の後、春風とエヴァン、そしてルーセンティア王国の騎士達はお互い交流を深めていった。後で聞いた事なのだが、エヴァンは春風や水音達と同い年だというので、打ち解け合うのにはさほど時間はかからなかった。それ故に、今ではお互い友達感覚で呼び合うくらいの仲になっていたのだ。


 さて、それはさておき、エヴァンは春風に近づくと、


 「春風、彼女達の言う通り、ここで待っててくれ」


 と、小声でそう言ってきたので、


 「あー、エヴァン君。あの人一体何者なの? なんかどっかで会ったような気がしたんだけど……」


 と、春風も小声でエヴァンに向かってそう尋ねると、


 「あの方は、五神教会の現・教主、ジェフリー・クラーク殿だ。勇者召喚が行われたあの日、あの方も謁見の間にいたんだ」


 と、エヴァンはチラッとその男性ーージェフリー・クラークを見ながら、小声でそう答えた。


 それを聞いた瞬間、


 (あ、そういえば!)


 と、春風もジェフリー・クラーク……以下、ジェフリーの事を思い出した。


 (確かにいたなあの人)


 そう、ルール無視の勇者召喚が行われたあの日、騎士達を相手に暴れた春風に向かって、


 「奴を殺せ!」


 と、散々喚き散らした挙句、最終的にウィルフレッドによって気絶させられた男の事を。


 その事を思い出すと、


 「フーン。現・教主様ねぇ……」


 と、春風はそう呟きながら、クラスメイト達の後を追うように歩き出したので、


 「お、おい待て……!」


 と、驚いたエヴァンは止めようとしたが、


 「大丈夫だよ、見つからないようにするから」


 と、春風はニヤリと笑いながらそう言って、ゆっくりとジェフリーに向かって静かに歩き出した。


 さて、一方そのジェフリーはというと、


 「ウィルフレッド陛下、数日ぶりございます」


 と、ウィルフレッドに向かって笑顔でそう挨拶した。


 それに対して、

 

 「クラーク教主。一体何をしにここへ来た?」


 と、ウィルフレッドは国王としての威厳に満ちた表情で、ジェフリーに向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、ジェフリーは笑顔を崩す事なく、


 「何をしにって決まっているではありませんか。あちらに倒すべき邪神がいて、今まさにその邪神と我らが勇者達の戦いが始まるのでしょう? ならば誰よりもそれを近くで見たいというのは当然ではありませんか?」


 と、ウィルフレッド向かってそう尋ね返した。


 その答えを聞いて、ウィルフレッドが「む……」と顔を顰めると、


 「ケッ! 相変わらず胡散クセェ野郎だぜ」


 と、いつの間にかウィルフレッドの隣に立っていたヴィンセントが、ジェフリーを見てそう悪態を吐いた。


 それを聞いたジェフリーはピキッとした後、


 「ああ、これはこれはヴィンセント皇帝陛下。貴方様もいらっしゃったのですね」


 と、なんともわざとらしそうな感じ態度でヴィンセントを見ながらそう言ってきたので、


 「最初からいたっつーの」


 と、ヴィンセントはあからさまに嫌そうな態度でそう返した後、


 「で、本気でお前さんは何しにここに来たんだ? ただ応援に来た訳じゃねぇんだろ?」


 と、チラッと他の馬車を見ながらそう尋ねた。


 その質問に対して、ジェフリーは「ああ、そうでした」とわざとらしい態度のままそう言うと、


 「出てきて構いませんよ」


 と、数台の馬車に向かってそう言った。


 その声に応えたかのように、馬車扉が次々と開かれて、中から数人の白いローブ姿の神官達が、それぞれ何やら大きな箱を持って現れた。


 そして、神官達がウィルフレッドらの前に立つと、持っていたその箱を開けて中身を見せた。


 それは、赤い宝石が1つだけついている銀の腕輪のようなもので、1つの箱に複数入っていた。


 ウィルフレッドはその腕輪を見て、


 「これは一体何なのだ?」


 と、ジェフリーに向かってそう尋ねると、


 「これは、新たに偉大な5柱の神々より賜った特別な腕輪でして、身に付ければ身体能力を大幅に強化してくれる優れものなのです」


 と、ジェフリーは腕輪についてそう説明した。


 それを聞いたウィルフレッドが「そ、そうか……」返事すると、


 「さぁ、皆さん。勇者様方にそれを配ってください」


 と、神官達に向かってそう命令した。


 その命令を受けて、神官達はすぐに爽子ら勇者達にその腕輪を配り始めた。


 そして、全員に腕輪が行き渡ると、


 「さぁ、勇者様方。その腕輪をおつけになってください」


 と、ジェフリーは爽子達に向かってそう言ったので、爽子達は特に疑う事もなくその腕輪をつけようとした、まさにその時、


 「ちょおっと待ったぁあああああああっ!」


 『!?』


 突然春風が、大きな声でそう叫び出したのだ。


 


 


 


 

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