第133話 春風の想いと、「判決」
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
「……とまぁ、これが俺の師匠の弟子になった経緯でして……」
と、春風は凛咲との出会いから、彼女の弟子になるまでに至った経緯についてそう締め括ったが、爽子だけでなく一部を除いた周囲までもがポカンとしていたので、
「あ、あのぉ……」
と、春風が恐る恐る声をかけると、
「……雪村。お前、11歳でプロポーズされたのか? それも女子高生に?」
と、爽子がタラリと汗を流しながら、恐る恐るそう尋ね返してきたので、
「あー。はい、そうです」
と、春風は恥ずかしそうに顔を赤くして、ポリポリと頬を掻きながらそう答えた。
その答えに爽子が「そうか……」と返事すると、男子クラスメイト達に視線を向けて、
「男子諸君。今の話、どう思う?」
と、尋ねた。
その質問を聞いた男子クラスメイト達は、「フ……」と笑うと、
『なんて羨ま……いや、けしからん!』
と、悲痛に満ちた叫びをあげた。よく見ると、彼らの両目から赤い液体が流れてるように見えたのだが、春風は「気のせいだ」と思ってそれをスルーする事にした。
因みに、女子クラスメイト達はというと、春風の話を聞いて、皆、顔を真っ赤にして何も言えないでいた。
一方、エルード勢はというと、
「……なぁ、ウィルフ」
「何だヴィンス」
「俺、あいつの事改めてスゲェって思ったわ」
「奇遇だな。私もだ」
「あらあらぁ、春風ちゃんたら……」
「「「……」」」
と、王族&皇族達は顔を真っ赤にし、
「うぅ。は、春風……」
「まさか、プロポーズまでされていたとは……」
「しかも、年上に……」
「……」
「あ、アニキ、本当に凄かったんだなぁ」
「うん、そうだね兄ちゃん」
と、レナをはじめとした春風の仲間達も、同じく顔を真っ赤にしていた。
さて、そんな状況から少しして、
「……コホン。話は理解出来た」
と、爽子が咳き込みながらそう言うと、
「雪村。お前に1つ大事な質問をして良いだろうか?」
と、春風に向かってそう尋ねてきたので、
「構いませんが、何ですか?」
と、春風がそう返事すると、
「お前は、海神と天上、そして陸島さんの事、どう思っているんだ?」
と、爽子真剣な表情で尋ねてきた。
その質問を聞いて、周囲の人達が緊張のあまりゴクリと唾を飲んでいる中、
「大切です。凄く。特にユメちゃんと美羽さんは事情があったとはいえ、この世界に送り込まれたあの日、ルーセンティア王国に置いてきてしまいましたから、こうして再会した今、もう絶対に離れたくないって思ってます」
と、春風も真剣な表情でそう答えた。
その瞬間、
「ふ、フーちゃん!」
「もう、春風君ったら」
と、歩夢と美羽は顔を真っ赤にし、
『ぬあにぃいいいいいいいっ!?』
『きゃあああああああっ!』
「あらあらあらぁ!」
と、男性陣女性陣両方から、悲鳴やら歓声やらが聞こえた。
そんな中、爽子は真剣な表情を崩さず、
「随分と、ハッキリ答えるんだな」
と、春風に向かってそう言うと、春風は困ったような笑みを浮かべて、
「正直言いますと、俺自身も『何言ってんだ!?』って思ってますよ。何せ人としてっていうか、『男』としてあり得ない事言ってますから」
と言った。
その言葉を聞いて、
「ま、まぁ確かに、思いっきり『ハーレム作ります』って言ってるみたいなものだからな。しかし、よくそこまで彼女達との絆を深める事が出来たな」
と、爽子はチラリと歩夢、美羽、凛咲を見ながらそう言うと、最後に「一体どうやったんだ?」と付け加えてきたので、
「どうやったって……普通に、みんなで遊びに出かけました」
と、春風は恥ずかしそうにそう答えた。
それを聞いて、
『は、は、ハーレムデートだとぉ!?』
と、男子クラスメイト達はショックを受け、
『キャアアアアアアアッ!』
と、女子は顔を真っ赤にしながら悲鳴(?)をあげた。
そんな彼を無視して、春風は話を続ける。
「いや、『デート』と言いましても、俺、顔がこんなだから、周りからは『仲が良い女の子達が遊びに出かけてる』ようにしか見えてないようでして……」
そう言うと、春風は最後に「ははは……」と自嘲気味に笑い、周囲からは「あぁ……」と、納得の声があがった。
そんな春風に向かって、
「そ、そうか。しかし、よく彼女達の親が許してくれたな」
と、爽子が歩夢と美羽を見てそう言うと、
「あーそれでしたらぁ、そのぉ」
と、春風が何やら気まずそうにそう口を開いたので、爽子も周囲の人達も「ん?」と首を傾げると、春風はチラッと歩夢を見た。その視線を受けて、歩夢がコクリと頷くと、
「実は……美羽さんと友達になった時に、彼女を真悠理さん……ユメちゃんのお母さんに紹介したんです。そしたら……」
ーー風の字、アタシが許す。歩夢、マリーちゃん、そしてこの子、全員と付き合いな!
ーーえぇ? それって……。
ーーそうだ。あんたに『ハーレムを作れ』と言っている。
ーーいや、何言ってんですか!? そんなの許される筈ないでしょ!?
ーー言っただろ? 『アタシが許す』って。ていうか風の字。
ーー?
ーー『男』名乗るなら、ハーレムくらい作らんかい!
「……なんて事を言われまして」
と言って、春風は最後に「はは……」と苦笑いした。
その瞬間、
「な、なんじゃそりゃあああああ!」
「羨ましいぞ!」
「俺らを差し置いてぇ!」
と、男子クラスメイト達は口々に文句を言い、
「ちょっと海神さん!」
「あなたのお母さんどうなってるの!?」
「ていうか、天上さんはそれで良いの!?」
と、女子クラスメイト達は顔を真っ赤にして歩夢と美羽に詰め寄った。
それに春風、歩夢、美羽が「あはは……」と頬を引き攣らせていると、
「なるほどな。それで、雪村……」
と、爽子がそう口を開いたので、春風が「何ですか?」と返事すると、
「もの凄く大事な事なんだが、お前は本気で海神達と共にいたいのか?」
と、真剣な表情でそう尋ねてきたので、
「はい。最初は普通に『友達』でいれたら良いなって思ってましたけど、一緒に過ごしていくうちに、いつの間にか『大切な存在』になってました。ですから、もう絶対に離しませんって思ってます」
と、春風も負けじと真剣な表情で答えた。その答えに爽子が「そうか……」と呟くと、
「わかった雪村。お前がそこまで気持ちが固いというなら、私が出す『答え』は1つだ」
と、先程以上に真剣な表情でそう言ったので、春風だけでなく周囲の人達までもが、再びゴクリと唾を飲んだ。
そして、周囲の人達がドキドキと緊張しながら見守る中、爽子は春風に判決を下す。
「雪村春風、これが本格的な裁判なら、間違いなく『有罪』だろう。だが、これはあくまでも『学級裁判』。だから、これから言うのはちょっとした『罰』だ」
「……」
「で、色々と話を聞いて考えた結果、私達といる間、お前はもう単独行動は禁止だ。何か行動を起こす際は、必ず私か、クラスメイトの誰かと一緒に行動してもらうからな」
と、爽子が出したその「判決」を聞いて、春風は小さく「うぅ……」と唸ったが、
「わかりました」
と、すぐに真面目な表情になって、ペコリと頭を下げた。
その後、
「それでは、学級裁判はこれにて終了します」
と、爽子は春風と周囲の人達に向かってそう宣言した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ず、結局1日遅れの投稿なってしまいました。
本当にすみません。