第127話 彼女達との出会い
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
その後、春風は学級裁判で爽子達に、自身と歩夢と美羽、そして凛咲との出会いについて説明を始めた。
地球での言葉が多いので、レナをはじめとしたエルードの人間にわかるように話すと、次のようになる。
まずは歩夢との出会いについてだが、彼女との出会いは春風が5歳の時……そう、それはまだ自身が「雪村春風」ではなく「光国春風」という本名で呼ばれていて、両親が存命だった頃の事だった。
その頃から春風は、自身の少女のような顔立ちの所為で、同じ年頃の子供達からは、
「女みたいな顔の奴とは遊ばない」
「男の子らしくない」
などと言われて、よく仲間外れにされる事が多く、いつも1人でいる事が多かった。
しかし、春風には優しい両親と、両親の仕事仲間である数人の大人達がいたので、それだけで春風は充分満足だった。
やがて彼らから「ものを作る楽しさ」を教わった春風は、幼い子供でも作れる簡単な玩具を作っては、それで1人で遊ぶようになっていったのだ。
そんなある時、春風はいつものように自分で作った手作り玩具で1人で遊んでいると、その時の様子を1人の少女、即ち当時5歳だった歩夢に見られて、驚いた春風は思わずその手作り玩具を置いてその場から逃げ出してしまった。
その後、
(あ、玩具置いてきちゃった!)
と、手作り玩具を置いてきてしまった事に気付いた春風だが、
(またあの子に会ったらどうしよう)
と考えてしまって戻る事が出来ず、更に悪い事に、急な雨が降り出してしまい、困り果てた春風は考えた末、
(お父さんとお母さんが心配するし、もう、帰らなきゃ)
と、結局、家に帰る事にしたのだ。
翌日、春風は急いで手作り玩具を置いていった場所に向かおうと玄関の扉を開けると、
「……え?」
なんと、家の前に如何にも裏社会の住人を思わせる怖そうな雰囲気の男女(因みに女性は1人)がいて、その中には、昨日出会った幼い歩夢の姿もあった。
(な、何この人達カッコいい! いや、それよりも、どうして昨日の女の子が?)
と、春風がそう思いながら、頭上に幾つもの「?」を浮かべていると、幼い歩夢が一歩春風の前に出て、
「あ、あの、これ……」
と、その手に持っているものを春風に見せた。
「え……あ、僕の……」
そう、幼い歩夢の手には、春風が置いてきてしまった手作り玩具があったのだ。
「もしかして、届けにきてくれたの?」
と、春風がそう尋ねると、幼い歩夢は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、コクンコクンと何度も頷いた。
そして、春風は幼い歩夢からその手作り玩具を受け取ると、
「あ、ありがとう……ございます」
と、彼女と同じように恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらお礼を言った。
その瞬間、その場はなんとも言えない雰囲気になったが、幼い歩夢の傍に立つ男性達の1人が春風を見て、
「いやぁそれにしても、随分可愛いお嬢ちゃんっすねぇ」
と言ったので、その言葉に春風は、「恥ずかしさ」ではなく「怒り」で顔を真っ赤にして、
「僕は男です! こんな顔ですが男なんです!」
と、その男性に向かってそう怒鳴った。
その言葉に幼い歩夢だけでなく、周りの男女もポカンとなったので、春風はすぐにハッとなって、
「あ、ご、ごめんなさい」
と、深々と頭を下げて謝罪した。
その時、
「へぇ、中々良い根性してるねぇ」
と、幼い歩夢の傍に立っている女性がそう呟いたので、春風は思わず「え?」となっていると、女性は春風の前に出て、
「ねぇ坊や。坊やの名前、『春風』で良いんだね?」
と、尋ねてきたので、春風は再び「え?」となった後、
「……はい。春風で、合ってます。『春』の『風』って書いて、『春風』です」
と、女性を警戒しながら答えた。
その答えを聞いて、女性はニヤリと笑って「そうかい……」と呟くと、
「じゃあ春風……いや、風の字。アンタ、うちの娘と友達になっておくれよ」
と、幼い歩夢の両肩手を置きながらそう言ってきたので、春風だけでなく幼い歩夢も「え!?」となった。
そして数秒後、
「お、お母さん、何言ってるの?」
と、幼い歩夢が女性に向かってそう尋ねると、女性は幼い歩夢の質問に答えず、
「この子、すっごい引っ込み思案なうえにアタシらもこんなだからさ、同じ年頃の友達いないんだよね。だから、アンタにお願いしたいんだよ」
と、自嘲気味に自身と周りの男性達を指差しながら、春風に向かってそう説明した。
その説明を聞いて、春風は少し警戒を解くと、
「……僕、男ですけど?」
と、女性に向かってそう尋ねた。
女性はその質問を聞いて、
「ああ、構わないよ。この子日頃からうちの男共に囲まれて育ってきたから、女よりも男の方がこの子にとっても楽だと思うんだよね」
と答えると、最後に、
「まぁ、本音を言えば女の友達も作ってほしいんだけど……」
と、悲しそうに「はは……」と笑いながらそう付け加えた。
女性のその答えを聞いて、春風は「えぇ?」と首を傾げた後、幼い歩夢を見て、
「……あの、本当に、僕が友達で良いんですか?」
と、恐る恐る尋ねると、幼い歩夢は再び恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、
「うん!」
と、力いっぱい頷きながら答えたので、春風も顔を真っ赤にしながら「じゃあ……」と言うと、
「は、はじめまして。僕、光国春風っていいます」
と、幼い歩夢に向かってそう自己紹介した。
そして、それを聞いた幼い歩夢も、
「……私、海神歩夢っていいます」
と、春風に向かってそう自己紹介した。
こうして、春風と歩夢は「友達」となり、以降2人は一緒に遊ぶようになり、それをきっかけに、春風と春風の両親は、歩夢だけでなく彼女の「家族」とも仲良くなっていったのだった。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。
この話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。