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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第5章 「邪神」との戦い
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第126話 学級裁判、始まる?


 フロントラル行政区内になる市役所。


 その市役所の中に、かなりの広さを持つ部屋がある。


 普段は「会議室」として使われているその部屋で、現在、そこで春風を()()()とした「学級裁判」が行われようとしていた。


 多くの人達に見つめられて、


 (こんな事やってる場合じゃないと思うんだけどなぁ……)


 と、春風は心の中でそう呟きながら、居心地の悪さを感じていた。


 時は遡る事数分前、


 「先生!」


 「な、何だ正中……?」


 「今すぐ学級裁判をしましょう! 被告人は雪村君で!」


 と、爽子に向かってそう提案した正中に、


 「ちょ、ちょっと待って正中君! 今はそんな場合じゃ……!」


 と、春風は「待った」をかけようとしたが、


 「わかった! すぐにやろう!」


 と、爽子があっさりと「OK」を出したので、


 「え、えぇ!? そんな先生……!」


 と、まさかの賛成にギョッとなった春風はすぐに抗議しようとしたが、


 「あら、面白そうね。それなら丁度会議室が空いてますから、そこでやりましょう」


 と、オードリーが笑顔でそう言ってきたので、春風がそれを聞いて更にギョッとなった後、爽子達はすぐに学級裁判の準備に取り掛かった。


 そして現在、「裁判」をイメージに会議室の机が並べられて、部屋の中心には「被告席」をイメージした椅子が置かれて、そこに今回の「被告人」である春風が座らされている状態だ。


 因みに、そんな春風の周囲には、歩夢や水音らクラスメイト達は勿論、レナをはじめとした今日まで共に過ごしてきた仲間達や、ウィルフレッドら王族2人とヴィンセントら皇族4人、そして市長オードリーとハンターギルド総本部長のフレデリックに、春風が所属している2つの大手レギオンのリーダー達がいる。


 彼らに見つめられて、


 (うぅ。まさか本当に学級裁判をやるなんてなぁ……)


 と、春風が心の中でそう呟きながら、苦しそうに自身の胃の辺りをグッと手で押さえ付けていると、目の前に置かれた大きな机の後ろに爽子が歩いてきて、


 「これより、学級裁判を開始する」


 と、春風と周囲の人達に向かって学級裁判の開始を宣言した。


 その宣言を聞いて、周囲の人達がゴクリと唾を飲む中、


 「被告人、雪村春風」


 と、爽子が春風に向かってそう言ったので、春風は思わずビシッと姿勢をただして「ハイ!」と返事すると、爽子は手に持っているファイルのようなものを見て、


 「あなたはこの世界に来て幾つもの『罪』を犯しました。1つは『地球消滅の危機』を言わずに私達のもとを去った『罪』。もう1つは海神達から詳しく聞きましたが、そんな状況になってるというのに、あなたはこのフロントラルで『マイホーム』を手に入れただけじゃなく、そちらにいるアメリアさん、エステルさん、ディック君にピート君という『家族』を作って幸せな日々を送っているという『罪』……」


 と、最後にチラッとクラスメイト達と共にいるアメリア達を見ながら、春風の「罪状」を語った。ただ、その間、


 「あれ? 私は? 何で私呼ばれてないの?」


 と、名前を呼ばれてないレナが「え? え?」とキョロキョロしていたが、周囲の人達はそれをスルーした。


 そんな彼らを前に、爽子は話を続ける。


 「そして、裁判準備中に正中達から聞きましたが、雪村春風、あなたはこのフロントラルで暮らしている間、そちらの陸島さんが『地球』から持ってきた『米』を食べていたそうですね? それも毎日!」


 と、爽子に責められるかのようにそう尋ねられて、春風は思わず「うぐっ!」と自分の胸を手で押さえた。


 「そ、それは……」


 と、冗談抜きで苦しそうな表情を浮かべる春風。


 しかし、そんな春風を前にしても、


 「それだけでも許されない『罪』ですが、何より許せないのは……」


 爽子をキッと春風を睨みながら、


 「お前が、そちらの陸島さんと、海神、天上の3人と、()()()()()()()を持っているという『罪』だぁ!」


 と、最後敬語を外してそう叫んだ。


 その叫びを聞いて、


 「え、ま、待って先生! それは、そのぉ……!」


 と、春風は大慌てで抗議しようとしたが、それを遮るかのように、


 「「「いやぁん……!」」」


 と、歩夢、美羽、凛咲の3人が恥ずかしそうに顔を真っ赤にして体をクネクネさせた。


 春風はそんな3人を見て、


 「ちょっと! ユメちゃんに美羽さんに師匠ぉ!」


 と、同じく恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。


 ただ、彼女達の横では、


 「「むぅ……」」


 と、何故か不機嫌そうに頬を膨らませているレナとイヴリーヌの姿もあったが。


 しかし、爽子はそんな春風達を無視して、


 「さぁ雪村! 一応海神達から話は聞かせてもらったが、お前からも教えてもらおうか! 海神と天上との出会いをぉ! そして陸島さんとの出会いから、お前が陸島さんの『弟子』になった経緯を!」


 と言ってきたので、


 「わ、わかりました……」


 と、春風は観念したかのように話をし始めた。


 

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