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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第5章 「邪神」との戦い
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第119話 そして、新たな出会い


 爽子やクラスメイト達との再会を果たして、


 (ああ、無事に先生達とまた会えて良かった)


 と、安心した春風がホッと胸を撫で下ろしていると、


 「久しぶりだな、雪村春風殿」


 と、ウィルフレッドが話しかけてきたので、それに気付いた春風は「あ……」とすぐに跪こうとしたが、


 「ああ、そのままでいい」


 と、ウィルフレッドに止められたので、それに春風は「え、ですが……」と断ろうとしたが、ウィルフレッドに「頼む」と真剣な表情で言われてしまい、春風は「わかりました」と言うと、


 「お久しぶりです、ウィルフレッド陛下」


 と、跪く代わりに深々と頭を下げながらそう挨拶した。


 その挨拶を聞いて、ウィルフレッドが「うむ」と返事すると、ジッと春風を見つめて、


 「その姿、元気そうで何よりだ」


 と、穏やかな口調でそう言ってきたので、


 「はい、あれから()()()()と出会い、その人達に助けられてきましたから」


 と、春風は頭を下げたままそう返事した。


 その返事を聞いて、ウィルフレッドが「おぉ、そうか……」と言うと、


 「オーイ、俺にも挨拶させてくれぇ」


 という声がしたので、春風とウィルフレッドが同時にその声がした方を見ると、そこには先程までキャロラインに頭を鷲掴みにされた男性がいた。


 「お前が、雪村春風だな?」


 と、男性が軽そうなノリでそう挨拶してきたので、春風は目を細くして、


 「はい、確かに自分が雪村春風ですが、貴方は?」


 と、男性に向かってそう尋ねた。いや、春風自身はキャロラインや水音達の話から、男性がストロザイア帝国の皇帝だというのはわかってはいたが、彼から何やら()()()()()()()を感じたので、ここでは敢えて初対面を装う事にした。


 その質問に対して、男性は「俺か?」と言った後、自身の腰に手を当てて、


 「はじめまして。俺はストロザイア帝国皇帝、ヴィンセント・リアム・ストロザイアだ。お前の事は、ウィルフや水音達から聞いてるぜ。ああ、跪かずにそのままでいいぞ」


 と、胸を張りながらそう自己紹介した。その自己紹介に、


 「「「はぁ……」」」


 と、キャロライン、レオナルド、アデレードは溜め息を吐いたので、それを見た春風が、


 (あれ? キャロライン様達、なんか表情が暗そうだぞ?)


 と、疑問に思ったが、すぐに気持ちを切り替えて、


 「ええっと、ヴィンセント陛下……と呼べば良いのでしょうか?」


 と、ヴィンセント向かって恐る恐る尋ねると、


 「おう、全然良いぞぉ! ああ、さっきも言ったが、跪く必要はないぞ! そのままで良いからな!」


 と、ヴィンセントは親指を立てながら元気良くそう答えたので、それを聞いた春風は「では……」と言うと、ウィルフレッドの時と同じように深々と頭を下げながら、


 「お初にお目にかかります、ヴィンセント陛下。自分は、雪村春風と申します。水音達から大変お世話になったとお聞きしました」


 と、改めて自己紹介した。


 それを聞いて、ヴィンセントが「いやぁ、俺は大した事はしてないんだがなぁ」と照れながらそう言うと、


 「あの、無礼を承知でお尋ねしますが、水音達からどれくらい自分の事を聞いたのですか?」


 と、春風は自身の胸に手を当てながらそう尋ねてきたので、ヴィンセントは「ん?」と首を傾げると、


 「そうだなぁ。大体のとこだと、お前と水音の出会いからと、その後の冒険譚。そして……」


 と、わざとらしく「うーん」と唸りながら答えた後、すぐに真面目な表情で春風を見て、


 「お前が、断罪官のギデオン・シンクレア大隊長をやっつけた『見習い賢者』の固有職保持者だってのと、そんなお前の正体は、何か()()()()()でここに来た存在ってところだな」


 と答えた。


 その答えを聞いて、春風が「それは……」と警戒すると、


 『そ、そ、そうなんですよ!』


 と、歩夢や美羽、水音ら春風と共に過ごしてきた者達がそう声をあげたので、ヴィンセントだけでなく春風までもがビクッとなった。


 そんな2人を他所に、


 「先生! そしてみんな! 僕達は春風から、全ての事情を聞きました!」


 水音が爽子や他のクラスメイト達に向かってそう言うと、


 「え、ほ、本当か!?」


 と、爽子は目を大きく見開きながら驚いたので、


 「はい! やっぱり、理由があったんです! あの日、彼が私達のもとを去った理由が!」


 と、今度は美羽が爽子や他のクラスメイト達に向かってそう言った。


 その言葉に他のクラスメイト達が「な、何だって!?」と爽子と同じように目を大きく見開くと、


 「そうです、お父様。そして、ヴィンセント陛下」


 と、イヴリーヌもウィルフレッドとヴィンセントに向かってそう口を開いたので、


 「そうか、イヴリーヌも話を聞いたのだな?」


 と、ウィルフレッドがそう尋ねると、イヴリーヌは「はい」とコクリと頷きながら、


 「春風様は、世界を……()()()()()を守る為にこの世界に来たのです」


 と答えた。


 その答えを聞いて、誰もが緊張のあまりタラリと汗を流し、ゴクリと唾を飲むと、


 「どうやら、詳しい話を聞く必要があるみてぇだな」


 と、ヴィンセントが「へへ……」と笑いながらそう言ったので、それに続くように、


 「うむ、そのようだな」


 と、ウィルフレッドもコクリと頷きながら言った。


 その後、


 「うーん。じゃあ、ここじゃなんだし、場所を変えるか……」


 と、ヴィンセントが考える仕草をしながら言うと、


 「それでしたら、市役所に戻りましょう。お話はそちらで」


 と、それまで黙ってたオードリーがそう提案してきたので、


 「おっしゃ! じゃ、そうするか!」


 「ああ」


 と、ヴィンセントとウィルフレッドはその提案に賛成し、春風達も「そうしましょう」と言わんばかりにコクリと頷いた。


 その後、春風達は全員で市役所へと戻った。


 


 

 

 


 


 


 

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