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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第1部第2章 「冒険」の始まり?
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第14話 春風、質問をする


 「あのぉ。ちょっと、よろしいでしょうか?」


 春風のその言葉に、爽子やクラスメイト達、更にはウィルフレッドら王族を含めた周囲の人達は、


 『……』


 皆、春風を見て少し顔を赤くしていた。


 何故そうなっているのかというと、皆、春風の()()に見惚れていたからだ。


 春風自身の性別は「男」なのだが、その素顔はどう見ても少女……否、最早「美少女」と呼べるくらい美しかった。


 しかし、彼自身はこの顔はあまり……否、思いっきり好きではなかった。


 何故なら、春風はこの「美少女」を思わせる顔立ちの所為で、幼い頃から嫌な思いをしていたからだ。オマケに成長していくにつれてますます「美少女らしさ」に磨きがかかっていたので、いつしか春風は普段から、人前では分厚い伊達眼鏡をかけるようになったのだ。


 まぁそれはさておき、春風は顔を赤くしながら呆然としている周囲の人達を見て、


 (ああ、もう! だから素顔を晒すのは嫌なんだよなぁ。でも、今はそんな事言ってられないんだけど……)


 と、心の中でそう呟くと、真っ直ぐウィルフレッドを見て、


 「国王様」


 と、声をかけた。


 すると、それまで春風の素顔に見惚れていたウィルフレッドはハッとなって、


 「な、何だろうか?」


 と、春風に向かってそう尋ねると、


 「幾つか質問があるのですが、よろしいでしょうか?」


 と、春風は丁寧な口調で尋ね返した。


 それに対してウィルフレッドは、


 「あ、ああ構わない。なんなりと聞いてくれ」


 と、戸惑いながらも「OK」を出すと、


 「ありがとうございます。では早速……」


 と、春風はお礼を言った後、すぐに質問に入った。


 「1つ目はまず確認ですが、今回俺達をこの世界に召喚したのは、蘇った邪神とその眷属を倒してほしいって事でいいんですよね?」


 「う、うむ、その通りだ」


 「わかりました。で、2つ目ですが、今回召喚を行ったのはどなたでしょうか?」


 その質問に対してウィルフレッドは、


 「あ、ああ、今回其方達を召喚したのは、こちらにいる我が娘クラリッサだ」


 と、隣に座っているクラリッサを見て答えると、


 「ああ、そうでしたか。では3つ目ですが、俺達のステータスに記載されている『職能』というのはどのようなものなのでしょうか?」


 と、春風は次の質問に移った。本当は「職能」については初めてステータスを見た時に調べたのだが、()()()にと思ってウィルフレッドに質問する事にしたのだ。


 そうとは知らないウィルフレッドは、


 「う、うむ、『職能』というのはだな、この世界の人々が持っている特別な能力の事だ。元々は邪神と悪しき種族、そしてその配下の魔物達と戦う為の力なのだが、邪神が封印されて以降は、15歳を迎えると「成人」になった証として神々から与えられるようになったのだ。因みに、『職能』は戦闘を得意とする『戦闘職能』と、生産を得意とする『生産職能』の2つに分けられている」


 と、春風だけでなく、爽子やクラスメイト達を見ながら「職能」について説明した。


 その説明を聞いた一部のクラスメイト達が、


 『おお、なるほど!』


 と納得している中、春風はというと、


 (うーん。『固有職能』の説明は無しか)


 と、若干残念そうな表示うになったが、すぐに真面目な表情で「ありがとうございます」とお礼を言うと、


 「では4つ目になりますが、かなり()()を承知でお聞きします」


 と、真面目な表情で次の質問に入ったので、


 「な、何だろうか?」


 と、ウィルフレッドが表情を強張らせると、


 「先程『この世界の人間が持っている』と言ってましたよね? では、クラリッサ姫様は何の『職能』を持っているのですか?」


 と、春風はチラッとウィルフレッドの隣のクラリッサを見てそう尋ねたので、


 「む? あ、ああ、クラリッサは『魔術師』の『職能』を持つ『職能保持者』だ」


 と、ウィルフレッドもクラリッサを見ながらそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「え、『魔術師』ですか? てっきり『神官』とか『巫女』かと思ったのですが」


 と、春風が「意外だな」と言わんばかりの少し驚いた表情をすると、


 「いや、『神官』は第2王女のイヴリーヌが持っている」


 と、ウィルフレッドがマーガレットの隣のイヴリーヌを見てそう答えたので、


 「はぁ、そうですか」


 と、春風もチラッとイヴリーヌを見た。すると、


 (……ん?)


 イヴリーヌと目があった瞬間、彼女は顔を赤くして下を向いたので、


 (な、何だろう?)


 と、春風は疑問に思ったのだが、すぐに「いかんいかん」と首を横に振るってウィルフレッドに向き直ると、


 「えっと、それでは次の質問になりますが、今回俺達を召喚した事で、クラリッサ様は何か『対価』になるものを払ったのですか?」


 と、新たな質問に入った。


 「た、対価……だと?」


 「ええ、何せ『希望の救世主』を召喚したのですから、相応の『対価』とかを払ったのかなと思いまして」


 と、春風がそう説明すると、


 「そうですね。実は、今回皆様を召喚した事で、わたくしはかなりの魔力を消費してしまいました」


 と、ウィルフレッドではなくクラリッサが答えたので、


 「え、そうなんですか? 失礼ですが、「疲れた」とか「立っているのが辛い」とか、そういった事はありませんか?」


 と、春風はクラリッサに向かってそう尋ねると、


 「え? ああ、ご心配なく! 消費したと言いましても、今回皆様を召喚したのは、正確に言えばわたくしだけでなく、五神教会の神官様方も手伝ってくださったので、それほど疲労はしてません」


 と、クラリッサは壁際に立っている純白のローブ姿の人物達を見ながら答えたので、春風は「ああ、そうでしたか」と納得した。


 その後、


 「わかりました。ではもう1つ聞きますが、今回行った『勇者召喚』ですが、関わっていたのは5柱の神々の他にいませんでしたか?」


 と、春風はウィルフレッドに向かって新たな質問をすると、


 「5柱の神々……以外だと?」


 と、ウィルフレッドはポカンとした表情で春風に向かって尋ねたが、すぐにハッとなって、


 「いや、関わっていたのは、我々が崇める5柱の神々だけだ」


 と、答えたので、春風は表情を暗くして、


 「はぁ、そうですか」


 と言うと、


 「あと2つで終わりますので、よろしいですか?」


 と、暗い表情のまま尋ねた。


 それに対してウィルフレッドが、


 「あ、ああ、構わない」


 と言うと、


 「その……蘇った邪神の名前は何というのですか?」


 と、春風は恐る恐る尋ねた。


 そんな様子の春風に、ウィルフレッドは答える。


 「うむ、邪神の名は『ループス』と『ヘリアテス』という」


 その答えを聞いて、春風はショックで後ろに倒れそうになったが、どうにか踏ん張ると、首をブンブンと横に振るって、


 「最後の質問になります」


 と、ウィルフレッドに向かって言った。


 「な、何であろうか?」


 と、ゴクリと唾を飲んでウィルフレッドがそう返事すると、


 「もし、俺達がその邪神と眷属とやらを倒す事が出来た時、あなた方は俺達に何をしてくれるのですか?」


 と、春風は真剣な表情でそう尋ねた。


 その質問にウィルフレッドは「え?」となったが、すぐに真面目な表情になって答える。


 「勿論、見事邪神とその眷属を倒す事が出来たのならば、其方達をこの世界を救った『英雄』として讃え、それ相応の褒美と名誉を授ける事を約束しよう」


 その答えを聞いて、一部のクラメイト達は『オォッ!』とますますやる気に満ち溢れ出したので、


 「お、オイ、みんな!」


 と、爽子は必死で彼らを落ち着かせようとした。


 そんな彼らを前に、


 「これで、納得頂けただろうか?」


 と、ウィルフレッドが春風に尋ねると、春風は穏やかな笑みを浮かべて、


 「はい、ありがとうございます」


 とお礼を言うと、爽子やクラスメイト、そしてウィルフレッドを含めた周囲の人達が「ホッ」と胸を撫で下ろすと、次の瞬間、春風はパンッと左右の掌を合わせて、


 「すみません、やっぱ無理そうなので、ここを出て行く許可をください」


 と、満面の笑みで何処か申し訳なさそうにそう言った。


 そして、4秒の沈黙後、


 『な、何ぃいいいいいいいっ!?』


 春風を除いた、周囲の人達の悲鳴が響き渡った。



謝罪)


 大変申し訳ありません、、誠に勝手ながら前回の話の一部を修正させてもらいました。

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