表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第5章 「邪神」との戦い
149/220

第117話 新たな再会

 本日、2本目の投稿です。


 「……え? 船!?」


 「ちょ、何あれ!? 船が浮いてる!?」


 フロントラル市役所の上空に現れたもの。


 それは、空に浮かぶ2隻の大きな船だった。


 船体の左右に翼を取り付けたかのようなその奇妙な見た目の船を見て、春風とレナが驚きの声をあげると、


 「あれは……ストロザイア帝国の、『魔導飛空船』だ!」


 と、水音がその船を見てそう言ったので、


 「え!? もしかして、あれが水音達が乗ったって言ってた!?」


 と、春風は驚きに満ちた表情でそう尋ねた。その質問に対して、


 「ああ、間違いないよ。でも2隻目も出来てたのは驚いたけど……」


 と、水音はその船ーー魔導飛空船に視線を向けたままそう答えたその時、そのうちの1隻から1人の男性が顔を出してきて、


 「オーイ! 俺が来たぞぉおおおおおっ!」


 と、笑顔で腕を振りながらそう叫んできた。


 その叫びを聞いて、


 「「「はぁ……」」」


 と、キャロライン、レオナルド、アデレードが盛大に溜め息を吐いたので、


 「あ、あのぉキャロライン様。まさかと思いますが、あの人ってひょっとして……?」


 と、春風が恐る恐る尋ねると、キャロラインはもの凄く嫌そうな表情で、


 「ええ、そうよ春風ちゃん。()()がうち夫で、現ストロザイア帝国皇帝よ」


 と答えた。


 その後、2隻の魔導飛空船は、フロントラルの外に降りる事になり、それに合わせる形で、春風達も市役所からフロントラルの外に出た。


 そして、


 「よう、キャリーにレオンにアーデ! 数日ぶり……」


 と、魔導飛空船の1隻から先程叫んでいた男性が出てきたが、


 「ふん!」


 ーーグワシッ!


 キャロラインに頭部を鷲掴みにされ、


 「んお?」


 と、男性がなんとも間の抜けた声をあげると、


 ーーギュウウウウウッ!


 「あだだだだだだだっ!」


 キャロラインは掴む力を思いっきり強くし、それに合わせて男性は痛そうに悲鳴をあげた。


 「い、痛い! 痛いぞキャリー!」


 と、痛がる男性はキャロラインをそう呼びながら文句を言ったが、


 「何で陛下がここにいるんですか? ()()()()()()はどうしたんですか?」


 と、キャロラインはその文句を無視するかのように男性の頭を掴む力を強くしながら、丁寧ではあるが何処か冷たい口調でそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「いだだだだだっ! ま、待て! は、話を……!」


 と、「陛下」と呼ばれた男性は「話を聞いてくれ」と言おうとしたが、


 「いいから答えなさい」


 と、キャロラインはギュウッと更に頭部を掴む力を強くしていったので、


 「あああああああっ!」


 と、男性は更に悲鳴をあげた。


 そんな2人の様子を見て、


 「あ、あの、止めなくて良いんですか?」


 と、春風が恐る恐るレオナルドに向かってそう尋ねると、


 「ああ、気にしないでくれ。()()()()()だから」


 と、レオナルドは穏やかな笑みを浮かべてそう答え、それに続くように、アデレードも「うんうん」と頷いた。


 それから少しして、


 「……なるほど、『邪神がここに向かってる』って情報が入ったから、エレンちゃんに留守番をさせて大急ぎでここに来たと?」


 「そ、そうだ」


 漸くキャロラインから解放された男性は、「ぜぇ、はぁ……」と苦しそうに肩で息をしながら。キャロラインに向かってそう言った。よく見ると、顔がほんのり赤くなってるのが見えたが、


 (うん、見なかった事にしよう)


 と、春風は心の中でそう決意した。


 そんな春風を他所に、


 「それで、何で魔導飛空船を2隻もここに持ってきたんですか?」


 と、キャロラインが再び男性に向かってそう尋ねると、


 「あ、ああ、それはなぁ……」


 と言って、男性はもう1隻の魔導飛空船を見た。


 すると、その魔導飛空船についている扉が開かれて、


 「イヴリーヌ」


 そこから1人の男性が現れて、イヴリーヌをそう呼んだ。


 「お、お父様!」


 それは、イヴリーヌの父にして、ルーセンティア王国国王のウィルフレッドだった。


 「お父様、どうしてこちらに!?」


 と、イヴリーヌはウィルフレッドに駆け寄りながらそう尋ねると、


 「帝国と同じように、こちらにも『邪神がフロントラルに向かっている』という情報が入ってな。心配になって急いでこちらに向かおうとした時に、この船が飛んできて、そのままこれに乗ってきたのだよ。ああ、因みに、マーガレットとクラリッサには、万が一に備えて国に残ってもらってる」


 と、ウィルフレッドは真面目な表情でイヴリーヌに向かってそう答えた。


 その答えを聞いて、イヴリーヌが「そうだったのですね」と納得の表情を浮かべると、


 「ああ、そうだ。ここに来ているのは私だけではない」


 と、ウィルフレッドはそう言って、自身が乗ってきた魔導飛空船を見た。それに合わせて、イヴリーヌも「え?」と魔導飛空船を見ると、中から1人の女性と数人の少年少女達が出てきたので、その姿を見て、


 「……あ」


 と、春風は小さく声をもらし、


 「先生!」


 「それに、正中(まさなか)君達も!」


 と、水音達も驚きに満ちた表情になった。


 それは、この世界に来たあの日、ルーセンティア王国に残してきた、担任教師の爽子と残りのクラスメイト達だった。


 


 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ