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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第109話 その女、「異界」を渡る者・2


 そして、時は現在に戻る。


 「……じゃあ、師匠はその『異界渡り』っていう旅人って事なの?」


 と、凛咲がどういう存在かについての説明を聞き終えた水音がそう尋ねてきたので、


 「ああ、俺もそれを知った時は凄く驚いたよ」


 と、春風はコクリと頷きながらそう答えた。


 その後、


 「ごめんねぇ水音。春風にも言ったけど、『異界渡り』の事は一部の人以外には基本内緒なんだぁ。ああ、だからといって春風も水音も信用していないって訳じゃないからぁ」


 と、本当に申し訳なさそうにそう謝罪した凛咲に、


 「あ、あの。お話はわかりましたけど、それでどうしてマリーさんはこの世界に来たんですか?」


 と、歩夢が恐る恐るそう尋ねると、


 「勿論、春風達の手助けをする為よ!」


 と、凛咲はキリッとした表情でそう答えた。


 その答えに周囲が「おぉ!」となると、


 「そう。『ルール無視の異世界召喚』があったあの日、私はいつものようにちょっとした仕事でこことは別の異世界に行ってたの。そして、漸くその仕事が終わって、『さぁ、地球に帰って春風を愛でるぞぉ!』ってなってた時に、何やらアマテラス様達の様子がおかしかったもんで、ちょっと質問したら……まさかの『異世界召喚』で水音とクラスメイト達が巻き込まれて、その所為で『地球消滅の危機』! アーンドそれを阻止するために、愛しい春風がオーディン様と契約してこの世界にレッツゴー! で、それを知った私は『これはいかん!』と思って色々と準備をした後、丁度春風があの『断罪官』って連中と戦ってて、で、そのリーダーに勝ったと思ったらそいつの部下が春風を殺そうとしたもんだから……」


 「で、師匠が現れて隊員達をぶちのめしてってなったんだよねぇ」


 と、凛咲と春風は「はは……」と笑いながらそう説明した。


 その説明に水音達が「は、はぁ……」と頬を引き攣らせていると、


 「いやぁ、あの時の凛咲ちゃん、もの凄く怖かったわぁ。私、『神様』なのに『死ぬかもしれない』って思ったもん」


 と、アマテラスが遠い目をしながらそう言った。よく見ると、目に涙を浮かべているのが見えたので、


 (ああ、よっぽど怖かったんだなぁ)


 と、誰もがそう思った。


 その後、


 「あのぉ、マリーさん『準備』って言ってましたけど、何をしてたんですか?」


 と、今度は美羽がそう尋ねてきたので、


 「ん? ああ、大した事じゃないんだけど、向こうから『必要なもの』を揃えてたんだぁ」


 と、凛咲はそう答えた。


 それに美羽だけでなく水音や歩夢、クラスメイト達までもが「?」と無言で首を傾げていると、凛咲は「ちょっと待っててね」と地下室を出て行った。


 そして数分後、


 「お待たせぇ!」


 と、戻ってきた凛咲は、美羽達の前にドサッと何かを置いた。


 それは、中身が詰まっている大きな紙製の袋で、美羽達が「何だ?」と見守る中、凛咲はその紙製の袋を開き、中に手を入れた。


 そして、ゆっくりとそこから手を抜くと、その手の中には、


 『お、お米だぁ!』


 そう、彼女の手の中には、()が入ってたのだ。


 それを見て美羽らクラスメイト達が目を輝かせていると、凛咲は「ふふ」と笑って、


 「春風」


 と、チラッと春風を見た。


 その視線を受けて、春風は無言でコクリと頷くと、


 「みんな。ここまでの長い旅で、お腹すかしてるだろ?」


 と、美羽達に向かってそう尋ねた。


 その質問に、


 『ま、まさか!』


 と、美羽達がそう反応すると、


 「完璧かどうかはわからないけど……みんなに『日本食』、ご馳走するよ」


 と、春風はにこっと笑ってそう言ったので、


 『や、やったぁ!』


 と、美羽達は飛び上がる勢いで喜んだ。


 

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