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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第108話 その女、「異界」を渡る者


 時は数日前に遡る。


 それは、春風がヴァレリーとタイラーのレギオンに入る事を決めた後の事だった。


 「あ、そういえば!」


 と、オードリーがそう口を開いたので、春風達が「え?」と首を傾げていると、


 「()()()について、聞くのを忘れたました」


 と、オードリーは凛咲を見てそう言ったので、春風達も「あ、そうだった!」と言わんばかりに驚いた。


 そんな春風達を前に、


 「ああ、そういえばちゃんと自己紹介してなかったわね」


 と、凛咲がそう呟くと、


 「じゃ、改めて……初めまして、私は春風の『師匠』をしている、『冒険家』の陸島凛咲といいます。因みに、『陸島』が苗字で、『凛咲』が名前です」


 と、凛咲はオードリーだけでなく春風を除いた周囲の人達向かってそう自己紹介した。


 その自己紹介を聞いて、オードリーは勿論、春風を除いた周囲の人達もポカンとなったが、


 「はぁ、『冒険家』……さんですか。彼の『師匠』という事は、あなたも異世界の人間という事で良いでしょうか?」


 と、どうにか我に返ったオードリーは、若干恐る恐るといった感じで、凛咲に向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「ええ、そうですよ。私の愛しい弟子兼マイスウィートハニー春風と同じ『地球』の住人です」


 と、春風を抱き締めながらそう答えると、春風は「ちょ、師匠!」と驚き、レナは「む!」と凛咲を睨み付け、ゼウスは「やれやれ……」と呆れ顔になった。


 しかし、そんな状況中でも、


 「そうですか。それで……あなたはどうやってこの世界に来たのですか?」


 と、オードリーが真面目な表情で再びそう尋ねてきたので、


 「あ、そうですよ師匠! 一体どうやってここに来たんですか!?」


 と、凛咲に抱き付かれた状態の春風もそう尋ねた。


 それに凛咲が「ああ、それはね……」と答えようとしたその時、


 「ちょっとよろしいでしょうか?」


 と、ヘリアテスが口を開いたので、その言葉に春風達が「ん?」となると、


 「あなた、『異界渡り(プレインズウォーカー)』ですよね?」


 と、ヘリアテスは凛咲に向かってそう尋ねた。


 その質問に、


 『プレインズ……?』


 『ウォーカー?』


 と、春風達が一斉に首を傾げると、


 「はぁ……」


 と、ゼウスがそう溜め息を吐いて、


 「春風。異世界召喚のルールは覚えているな?」


 と、春風向かってそう尋ねた。


 それを聞いて、


 「あ、はい、覚えてます」


 と、春風がそう答えると、ゼウスは真面目な表情で口を開く。


 「異世界から別の存在を召喚するには、絶対に守らなきゃいけねぇルールが存在している。そしてこいつには、『自分の意志で異世界に行きたい』ってパターンも含まれているんだわ」


 「え、それじゃあ俺も本来はそのルールを守らなきゃいけないんじゃ……?」


 「いや、今回お前さんの場合はあくまで『特例』っつう事で、ルールには含まれてねぇ」


 「は、はぁそうですか」


 ゼウスのその説明を聞いて、春風がホッと胸を撫で下ろすと、


 「……だがな、今回のお前さんの『特例』以外にも、もう1つ()()があるんだ」


 と、ゼウスが更に真面目な表情でそう言ったので、


 「? 何ですか?」


 と、春風がそう尋ねると、


 「俺達『神』が出す超絶厳しい『試練』をクリアし、かつ超絶面倒な『手続き』を終えた時……まぁ多少条件はあるが、ルールに縛られずに色んな異世界を渡れる存在になれるんだ」


 と、ゼウスがそう答え、それに続くように凛咲が口を開く。


 「そう! それこそが私、『異界渡り』! ありとあらゆる『異世界』を渡り歩く旅人ってわけ!」


 と、何やら香ばしいポーズを取りながらそう話す凛咲に、春風や周囲の人達は勿論、オードリーもポカンとなった。


 それから数秒後、


 「……え、ちょっと待って師匠。それってこの世界以外にも色んな異世界に行った事があるって事?」


 と、春風が凛咲に向かってそう尋ねると、


 「勿論! その証拠に私の家には珍しいものがいっぱいあるでしょ? あれ、これまで行った色んな異世界から持ってきたものなの!」


 と、凛咲が満面の笑みでそう答えたので、


 「ああ、()()そうなんですか……って、そうじゃなくって! そんな話、俺聞いた事ないですけど!?」


 と、春風はそうノリツッコミしつつ、凛咲に向かって更に尋ねた。


 その質問を聞いて、


 「ごめんねぇ、ハニー。『異界渡り』の事は、一部の人以外は基本的に言ってはいけない事になってるのよぉ」


 と、凛咲は春風の頬をスリスリしながらそう答えたので、


 「え、えぇ?」


 と、春風は「まじっすか?」と言わんばかりの表情になった。


 


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