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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第107話 仲直り(?)からの……


 「それまで! 勝者、春風!」


 そう凛咲が叫んだ瞬間、周囲から「わぁ!」と歓声が上がった。


 その歓声を聞いた後、


 「ふぅ……」


 と、春風はひと息入れてエヴァンから少し離れると、


 「春風!」


 「フーちゃん!」


 「春風君!」


 と、いつの間にか傍まで来ていたレナ、歩夢、美羽の3人が、


 「ん? なんだ……って、うわぁ!」


 春風にがばっと抱きついてきた。


 突然の事に驚いた春風は、


 「ちょっと、一体何なの!?」


 と、レナ達に向かってそう尋ねると、


 「よかったぁ! ほんとによかったよぉ!」


 「うん! フーちゃん、凄くかっこよかったぁ!」


 「ほんとにもう! 心配したんだからね!」


 と、レナ達は怒鳴るようにそう答えた。よく見ると、3人とも目に涙を浮かべていたので、


 「あー、うん。なんか、ごめん」


 と、春風は申し訳なさそうに謝罪した。


 するとそこへ、


 「春風」


 と、レナ達から少し離れた位置に立っている水音が話しかけてきたので、春風は「ん?」と水音に視線を向けると、


 「右腕、大丈夫?」


 と、水音は心配そうにそう尋ねてきたので、春風はゆっくりと右腕を上げて、


 「まだちょっと痛むけど、問題ないよ」


 と、ニコッと笑いながらそう答えた。


 その時だ。


 『雪村ぁーっ!』


 『雪村くーんっ!』 


 と、鉄雄ら残りのクラスメイト達も、春風に駆け寄ってきた。


 そんな彼らに、春風は「みんな……」と呟くと、


 「うおおおおおっ! お前ぇえええええっ! 何今の戦い方ぁあああああ!?」


 「君、『賢者』何だよね!? ほんとに『賢者』何だよね!?」


 「何であんなに接近戦出来んだよ!? 意味わかんねぇよ!」


 と、皆、春風の戦い方に疑問があるのか、一斉に春風に詰め寄ってそう尋ねてきたので、


 「いや、ちょっと落ち着いて……」


 と、春風が必死に宥めようとすると、


 「春風ちゃーん! 凄い戦いだったわよぉ!」


 「ああ。実に見事だった」


 と、これまたいつの間にか傍まで来ていたキャロラインとレオナルドが春風をそう褒めたが、


 「……」


 逆にアデレードは少し不満そうな表情をしていたので、


 「あ、あのぉアデレード……様? どうなさったんですか?」


 と、春風が恐る恐る尋ねると、


 「……確かに、凄い戦いだった。でも……」


 『?』


 「『化身顕現』、見たかった」


 と、アデレードは頬を膨らませながらそう答えたので、春風は「あぁ、そのぉ……」と、どうしたもんかと困ったような表情になっていると、


 「エヴァン……」


 という声がしたので、春風達はすぐに声がした方へと振り向くと、ルイーズに支えられているエヴァンと、その前に立つヘクターの姿があった。


 その様子を春風達が「あ……」と見守る中、


 「ヘクター隊長、情けない姿を晒してしまい、申し訳ありませんでした」


 と、エヴァンはヘクターに向かって頭を下げて謝罪した。


 ヘクターはそれを聞くと、エヴァンに近づいて、彼の肩にぽんと手を置いて、


 「いや、騎士に恥じない実に立派な戦いだったぞ」


 と、ニコリと笑ってそう言ったので、その言葉にエヴァンは泣きそうになりながら、


 「ありがとう……ございます」


 と、そう言って再び頭を下げた。


 その後、


 「エヴァン。彼に言いたい事、あるんでしょう?」


 というルイーズの言葉を聞いて、エヴァンはコクリと頷くと、ゆっくりと春風達の方を向いて、


 「雪村春風……いや、()()殿()


 と、何やら丁寧な口調でそう言ってきたので、


 「はい!? な、何でしょうか?」


 と、春風は思わずビクッとなると、


 「()()()、斬りかかってきてすまなかった」


 と、エヴァンは春風に向かって深々と頭を下げた。


 それを聞いた瞬間、春風はこの世界に来て早々に、怒りのエヴァンに斬りかかられた時の事を思い出して、


 「いや……あの時の事は、俺が先に()()()言ったからですし、寧ろ……」


 と、春風は申し訳なさそうな表情でそう言うと、


 「指、怪我させたり、蹴り飛ばしたりして、すみませんでした」


 と、春風もエヴァンに向かって深々と頭を下げた。


 そんな2人の姿に周囲が「え? え?」と戸惑っていると、


 「春風様。そしてエヴァン」


 と、イヴリーヌが声をかけてきたので、


 「?」


 「イヴリーヌ……様?」


 と、春風とエヴァンが2人して「え?」となっていると、


 「お2人の戦い、とても素晴らしいものでした」


 と、イヴリーヌは穏やかな笑みを浮かべてそう言いながら、ゆっくりと2人に近づき、その間に立つと、


 「ちょっと失礼します」


 と、2人の右手を取って、


 「これで、()()()ですね?」

 

 と言って、その2つの手を握らせた。


 その瞬間、それが「仲直りの握手」だと漸く気付いた2人はお互い顔を見合わせると、


 「はは……」


 「ふ……」


 と、頬を緩ませて、


 「「はい」」


 と、イヴリーヌに向かって笑顔でそう答えた。


 それを見て、周囲の人達も笑顔になった後、


 「うん! これにて、一件落着ね!」


 と、アマテラスが笑顔でそう言った。


 ところが、


 「あのぉ、ちょっとよろしいでしょうか?」


 と、水音が「はい」と手を上げながらそう言ってきたので、


 「ん? どしたの水音君?」


 と、アマテラスがそう尋ねると、


 「ちょっと区切りがいいので、()()()()()()()()()()があるのですが……」


 と、水音は若干気まずそうにそう言ってきたので、春風達は「?」と首を傾げていると、水音は凛咲を見て、


 「何でこの世界に師匠がいるんですか?」


 と尋ねた。


 その質問にクラスメイト達とイヴリーヌ、ヘクター、ルイーズ、エヴァン、そしてキャロラインら皇族達が「あ、そういえば!」と大きく目を見開くと、


 「あぁそれはね、彼女が『異界渡り(プレインズウォーカー)』だからよ」


 と、アマテラスがそう答えたので、水音も周囲の人達(春風と仲間達は除く)も、


 『……え?』


 と、皆、一斉に首を傾げた。




 


 


 


 

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