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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第99話 そして、「邂逅」の時へ・3


 「……あの、誰か来てるんですか?」


 と、玄関の扉からひょっこりと顔を出してきた新たな人物。


 「あ、エステル」


 と、春風がそう言ったように、その正体は春風達の家で暮らしている少女、エステルだった。


 エステルは春風、レナ、ディック、凛咲の存在に気付くと、


 「あ、兄さん、レナさん、ディックにマリーさんおかえりなさい」


 と、春風達に向かってそう言ったので、


 「「「「ただいま、エステル」」」」


 と、春風達4人もエステルに向かってそう返事した。


 それを聞くと、エステルは玄関から出ようとしたが、


 「っ!」


 と、そこで漸く春風達以外にも沢山の人がいるのに気付いて、慌てて中へと戻ってしまった。


 春風とディックはそれを見てギョッとなった後、


 「わーエステル!」


 「大丈夫! この人達は怖くないから!」


 と、エステル以上に慌てながら言うと、


 「エステルぅ、どうしたのぉ?」


 と、エステルの背後に、彼女の姉であるアメリアが現れたので、


 「あ、アメリアさんただいま」


 と、その存在に気付いた春風が、アメリアに向かってそう言うと、


 「ん? ああ、春風君達おかえ……」


 と、それを聞いたアメリアが「おかえり」と言おうとした、まさにその時、


 「……い」


 『ん?』


 「イブリーヌ様!」


 と、アメリアはイヴリーヌの存在に気付き、驚きに満ちた声をあげた。そして、


 「え、エステル! 逃げよう!」


 「あ、姉さん!」


 と、アメリアがエステルの肩を掴みながらそう言ったので、エステルがそれに驚いていると、


 「わぁあああああ! 待ってアメリアさん! 2人の事は俺とレナとディックが守りますから! ストップ! ストップゥ!」


 と、春風は必死になってアメリアを止めた。勿論、レナとディックも一緒にだ。


 すると、


 「あの……」


 と、いつの間にか春風達の傍まで来ていたイヴリーヌがそう話しかけてきたので、春風達はその場でぴたっと止まると、


 「『断罪官』のアメリア・スターク様……ですよね?」


 と、イヴリーヌが恐る恐るそう尋ねてきたので、


 「わ、私を……知ってるのですか?」


 と、アメリアも恐る恐るイヴリーヌに向かって尋ね返した。


 その質問を聞いて、


 「はい。あなたの事は、ルーセンティアの王城内と、五神教会本部でお見かけした事あります。そして、あなたが()()()()()()()も」


 と、イヴリーヌがコクリと頷きながらそう答えると、アメリアは観念したのか、小さな声で「そう……ですか」と呟くと、


 「……お久しぶりです、イヴリーヌ様」


 と、イヴリーヌの前でゆっくりと跪いた。


 そんな彼女の姿に、大勢の人達が「何だ何だ?」と視線を向けてきたので、


 「あー、皆さん。取り敢えず、中に入ってください」


 と、春風はそう言って、レナ、ディック、凛咲、イヴリーヌやキャロラインら皇族達、そしてクラスメイト達を家の中へと招き入れた。勿論、ヘクターをはじめとしたルーセンティアの騎士達や、キャロラインら皇族達を護衛していた騎士達(ただし、レクシーは除く)は、外で待機させた。


 場所は変わって、春風は家の中でも特に広い食堂に、クラスメイト達とイヴリーヌ、そしてキャロラインら皇族達とレクシーを集めた。その後、彼らに全員分の椅子を用意し、そこに座らせると、


 「じゃあ、ちょっと待っててね」


 と、そう言ったレナが1人食堂を出て行った。


 それを見送った後、


 「ねぇ、フーちゃん」


 と、歩夢が春風に話しかけてきたので、


 「ん? 何、ユメちゃん?」


 と、春風はそう返事すると、


 「その……あの人達は?」


 と、歩夢はアメリアとエステル姉妹を見ながらそう尋ねてきた。


 その質問を聞いて、


 「ああ、彼女達はアメリアさんと妹のエステル。2人もここで暮らしているんだ」


 と、春風はそう言ってアメリア達を紹介すると、


 「そ、そうなんだ」


 と、歩夢は何処か悲しそうな表情で春風にギュッとしがみついてきたので、


 「大丈夫だよ。彼女達はディックとピートと同じく仲間……というより、家族……みたいな存在だから」


 と、春風は自信なさげにそう答えた。


 それに反応したのか、


 「あれ? そういえば春風。君、彼女に『兄さん』って呼ばれてたよね?」


 と、傍で聞いていた水音がそう尋ねてきたので、


 「え? ああ、うん。一緒に暮らす事になった時にそう呼ばれる事になっちゃったんだ。だから言ってみれば、アメリアさんは『姉さん』で、エステルは『妹』みたいな存在……かな」


 と、春風は「はは」と苦笑いしながらそう答えた。


 すると、


 『なぁあにぃ!?』


 と、クラスメイト達がそう叫んできたので、春風は『何事!?』と驚いていると、


 「雪村、テメェ! ()()()()()()2()()だけじゃなく、()()()()()()()()まで作ってただとぉ!?」


 と、鉄雄が春風の両肩を掴んできて、


 「雪村君。君、この2ヶ月間で随分とこの世界を()()()()()していたんだねぇ」


 と、恵樹が黒い笑みを浮かべてきた。


 それと同時に、他のクラスメイト達も、皆ジト目で春風を見てきたので、


 「いやぁ、そのぉ、エンジョイっていうか……」


 と、春風は滝のようにダラダラと汗を流した。


 その時、


 「お待たせ」


 と、レナが戻ってきたので、春風達は一斉に彼女に視線を向けた。


 そして、レナが食堂に入ると、それに続くように、1人の少女も入ってきた。


 見たところ10歳か12歳くらいに見えるその少女に、クラスメイト達だけでなくイヴリーヌやキャロライン達は何かを感じたのか、全員その場から動けずにいると、


 「皆さん、はじめまして」


 と、少女は笑顔でそう口を開き、


 「私の名はヘリアテス。今は『邪神』と呼ばれている存在にして、レナ・ヒューズの育ての母をしています」


 と、その笑顔を崩さずにそう自己紹介した。

 


 


 

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