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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第97話 そして、「邂逅」の時へ


 「接触したというか……今、一緒に暮らしてます」


 という春風のセリフから少し時が経ち、現在春風達は、ルーセンティア王国の馬車に乗って、とある場所に向かっていた。といっても、行き先は1つだけなのだが。


 馬車の中はそれなりに広く、今、その中にいるのは、春風とレナ、歩夢、美羽、凛咲、そしてイヴリーヌの6人である。因みにディックはというと、他のクラスメイト達と共にストロザイア帝国の馬車に乗っている。


 さて、そんなルーセンティアの馬車の中では、誰1人喋る事なく何処か重苦しい雰囲気に満ちていた。そんな状況の中、


 「あのさ、レナ」


 と、春風が目の前にいるレナに向かって話しかけてきたので、


 「? 何、春風」


 と、レナが返事すると、


 「()()()()して、ごめん」


 と、深々と頭を下げて謝罪した。


 それを聞いて、歩夢、美羽、凛咲、イヴリーヌが春風に視線を向ける中、レナは穏やかな笑みを浮かべて、


 「うんうん、大丈夫だよ春風。ここまできたからには、ちゃんと話さなきゃいけないのは、私にもわかってるから」


 と、春風に向かって優しくそう言ったので、その言葉に歩夢達が今度はレナに視線を向けていると、


 「春風こそいいの? 私達の事を話すって事は、春風の事も話さなきゃいけないんだよ?」


 と、今度はレナが春風に向かってそう尋ねてきたので、


 「……ああ、そうだね。不安だけど、俺も全部話さなきゃいけないと思うから」


 と、春風は真っ直ぐレナを見てそう答えた。そんな様子の春風を、歩夢達(凛咲を除いて)は不安な表情で見つめていたが、彼に声をかける者は誰もいなかった。


 そしてそれから少しすると、馬車が目的の場所に到着したので、春風達は馬車から降りた。


 着いた場所は、


 「うわぁ! でっけぇ家!」


 「ねぇ雪村君! もしかしてここが!?」


 「ああ、俺達が今暮らしてる家だよ」


 勿論、フロントラル居住区にある、春風と仲間達が暮らしている家の前だ。


 その立派な家の前で、


 「まぁ、結構素敵なお家じゃないのぉ!」


 と、キャロラインが目を光らせながらそう言ったので、


 「あ、ありがとう……ございます」


 と、春風は顔を赤くしながらそう言った。勿論、春風だけでなくレナ、ディックも同様だ。そんな様子3人に向かって、


 「それで、一応聞くけど、()()は誰かしら?」


 と、キャロラインがそう尋ねてきたので、


 「あ、一応……俺です」


 と、春風は恥ずかしさで顔を更に赤くしながらそう答えた。その答えに、


 『ま、ま、マイホームだとぉおおおおおっ!?』


 と、クラスメイト達はショックで驚きに満ちた表情になったが、その後すぐに、


 「……あれ、ちょっと待って」


 と、一緒に驚いていた水音が、何かに気付いたような表情になって、


 「春風。今、『俺達』って言ってたよね? もしかして……」


 と、チラリとレナを見ながら春風に向かってそう尋ねると、春風は「う!」とタラリと汗を流して、


 「あー、うん。レナも……一緒です」


 と、水音と同じようにチラリとレナを見ながらそう答えた。


 その答えに、歩夢と美羽が更にショックを受けたのは言うまでもなく、


 「フーちゃん」


 「春風君」


 と、2人は春風の肩をガシッと掴んで、


 「「空いてる部屋……ある?」」


 と、尋ねた。その質問に反応したのか、レナが2人を「むむ!」と睨む中、


 「あー、うん。あるけど……」


 と、春風がだらだらと滝のように汗を流しながら答えると、


 「「お願い! 一緒に住まわせて!」」


 と、2人同時にそんな事を言ってきた。よく見ると、目に涙を浮かべていたので、


 「ちょ、2人とも……!」


 と、春風が困った表情になると、


 「ちょぉおっとぉおおおおおっ! 勝手な事言わないでよぉ!」


 と、レナが怒り出して、


 「ていうかアンタ達、春風に近過ぎ! 本人も困ってるみたいだから離れなさいよぉ!」


 と、歩夢と美羽に向かって春風から離れろと言ったが、


 「「絶対に嫌!」」


 と、2人はがしっと春風にしがみつきながら拒否したので、


 「うわっ! ちょ、2人とも……!」


 と、春風は驚き、


 「こぉらぁあああああっ! 離れろって言ってるでしょおおおおおっ!」


 と、レナは更に怒って2人を春風から引き剥がそうとした。


 そのあまりの出来事に、


 「え、えぇ、さ、3人ともやめてよ!」


 と、春風は歩夢達を止めようとしたが、


 「あー! ずるい! 私も混ぜてよぉ!」


 と、凛咲までもが春風に抱きついてきたので、


 「し、師匠! 駄目ですって! あ、こら! 何処触ってんですか!?」


 と、春風は更に困った表情を浮かべた。


 そんな春風達を見て、


 「……」


 イヴリーヌは無言で顔を赤くし、


 「あらあら……」


 「「……」」


 キャロライン、レオナルド、アデレードは「やれやれ」と言わんばかりの困ったような笑みを浮かべ、


 「ねぇみんな。()()、どう思う?」


 「当然、()()に追加な」


 「あはは、学級裁判が楽しみだねぇ」


 と、クラスメイト達は()()()()を浮かべながらそう言った。


 やがて、そんな()()に満ちた状況を、多くの人達が見つめていたので、


 (や、やばい! このままだとご近所さんに()()()()をされてしまう!)


 と、春風がそう感じていると……。


 ーーガチャリ。


 と、春風と仲間達が暮らす家の玄関の扉が開かれた。


 

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