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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第95話 修羅場の予感?


 「君は……あのレナって子と何処まで進んでるの?」


 と、そう尋ねてきた水音に対して、


 「あ、大丈夫。彼女とは『仲間』以外何もないから」


 と、春風は真顔で即答した。


 その瞬間、部屋の中であるにも関わらず、何故かヒュウッと風が吹き抜けた。


 そんな状況の中、


 「その即答ぶり、本当のようだね」


 と、水音が「はぁ」と溜め息を吐きながらそう言うと、


 「当たり前だろ。全く、何を期待してるんだよ?」


 と、春風は呆れ顔でそう言ったので、水音だけでなく歩夢に美羽、暁や野守、そしてもう1人の少女を除いたクラスメイト達は、春風に対して疑いの眼差しを向けた。


 その視線を受けて、


 「え、水音、何その目? ていうか、近道君、遠畑君、出雲さんに時雨さん晴山さんまで一体何なの?」


 と、春風が戸惑いに満ちた表情になると、水音は無言で自身のズボンのポケットから何かを取り出した。


 それは、シンプルな装飾が施された、手の平サイズの水晶玉のようで、


 「み、水音、それ、何?」


 と、春風が恐る恐るそう尋ねると、


 「僕達の世界でいう『ビデオカメラ』のような機能を持った魔導具だよ。魔力を込めて使うんだ」


 と、水音はその水晶玉を見ながらそう答えたので、


 「え、マジで?」


 と、春風が大きく目を見開くと、水音は早速その魔導具に自身の魔力を込めた。


 次の瞬間、魔導具から眩い光が発せられ、それが収まると魔導具の上に立体映像のようなものが出てきた。


 その映像を見て、


 「あ、()()って……!」


 と、春風は再び大きく目を見開いた。


 「俺とヴァレリーさんとの戦いじゃないか!」


 そう、そこに映ってたのは、春風がハンターの登録を終えてすぐに、ヴァレリーと戦う事になった時の映像だった。


 「覚えてるかい? この時の事」


 と、その映像を見せながら水音がそう尋ねると、


 「ああ、覚えてるよ。うわぁ、あの戦い記録されてたのかぁ」


 と、春風は「なんてこった!」と言わんばかりに手で顔を覆いながら言った。当然、春風だけでなくヴァレリーも同じような反応をしていた。


 その後始まる春風とヴァレリーの戦い。春風は懐かしいものを見るかのようにその映像を眺め、歩夢、美羽、暁、野守、もう1人の少女、そして、イヴリーヌと2人の騎士までもが、その映像をじぃっと見つめた。


 それから暫くして、


 ーーそ、それまで! 勝者、ハル!


 と、審判役の男性がそう宣言したところで、水音はその映像を止めた。


 『おおぉ!』


 と、映像を見てそう声をあげた歩夢や美羽、イヴリーヌ達。反対に春風はというと、


 「うーん。自分で言うのもなんだけど、もう少しマシな戦い方があったような気がするなぁ……」


 と、冷静な表情でそう感想を述べていた。


 その後、


 「で、この映像が何なの?」


 と、春風が水音にそう尋ねると、


 「……まだ思い出さない?」


 と、水音はジト目でそう答えたので、春風は「え?」と首を傾げていると、水音はその映像を動かした。


 映し出されたのは、ヴァレリーとの戦いの後、総本部長であるフレデリックの登場。


 それを見た瞬間、


 (……あれ? た、確かこの後って……)


 と、春風は猛烈に()()()()がした。


 そして、映像の中のフレデリックが去った次の瞬間、


 ーーうわ! れ、レナァ!?


 ーーよかった。春風が無事で本当によかった。


 ーー……ごめん、レナ。心配かけて。


 レナが春風に抱きついたシーンが映し出された。


 それを見た瞬間、部屋の中が一気に沈黙した。


 誰もが無表情になる中、


 (や、やばい……)


 と、春風は滝のようにダラダラと汗を流していると、


 「ねぇ、春風」


 と、水音が話しかけてきたので、


 「な……何?」


 と、春風が恐る恐る返事すると、水音は親指で映像を指差して、


 「()()、どういう事?」


 と、黒いオーラを発しているかのような笑みを浮かべながら尋ねてきた。


 その質問に対して、


 「……誤解なんです。ていうか不意打ちなんです」


 と、春風がそう答えると、


 「フーちゃん」


 「春風君」


 と、歩夢と美羽が春風の肩をガシッと掴んできた。


 彼女達だけではない。


 「ハニー」


 という声がしたので、ハッとなった春風がその声がした方へと振り向くと、


 「し、師匠」


 と、ドアの隙間からじっと見つめてくる凛咲の姿があった。


 何故かレナとレクシーも一緒にだ。


 それを見て、春風は更に滝のように汗を流すと、


 『一体どういう事?』


 と、歩夢達が尋ねてきたので、


 「ご、誤解なんだよぉ!」


 と、春風はそう悲鳴をあげた。

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