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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第94話 ここに来た目的

 お待たせしました、本日2本目の投稿です。


 「それとも……この場で俺を抹殺する為に来たのですか?」


 イヴリーヌやキャロライン達に向かって、鋭い目付きでそう尋ねた春風。その瞬間、部屋の中が緊張に包まれた。


 歩夢達はそんな春風を見てタラリと冷や汗を流す。特に歩夢、美羽、水音を除いたクラスメイト達は、普段学校の中で見る春風とは違う雰囲気に圧倒されつつあった。


 そして、それはイヴリーヌも同様だった。


 「あ……あの……それは……」


 と、彼女は何とか春風に向かってそう口を開くが、目の前にいる春風を「怖い」と思っているのか、恐怖で思うように口に出す事が出来ずにいた。


 そんな状況の中、


 「安心して春風ちゃん。私達はそんなつもりでここに来たんじゃないのよ」


 と、キャロラインが穏やかな笑みを浮かべながらそう口を開いたので、それに春風は目を細めながら頭上に「?」を浮かべていると、


 「私達はね、春風ちゃんを()()しに来たの」


 と、キャロラインは穏やかな笑みを崩さずにそう言った。


 「……保護、ですって?」


 「ええ、そうよ。春風ちゃんが断罪官のギデオン大隊長を撃ち破った話は、ウィルフちゃん……ウィルフレッド王から聞いたわぁ。それでね、話し合った末に、あなたをストロザイア帝国に迎え入れる事が決まったの」


 「冗談……ではないんですね?」


 「もっちろんよぉ。というか、うちの夫……ストロザイア帝国皇帝ヴィンセントは、春風ちゃんの話を聞いて、あなたの事『欲しい!』って言って、もう迎え入れる気満々なんだからぁ。あ、当然、私もね」


 と、春風とキャロラインがそう話し合うと、


 「「ちょっと待ったぁ!」」


 と、それまで黙って話を聞いていたヴァレリーとタイラーが声をあげたので、


 「あら、ヴァレちゃんにタイちゃん、一体どうしたのぉ?」


 と、キャロラインが2人をニックネーム(?)で呼ぶと、


 「勝手な事言ってんじゃないよ!」


 「そうですとも! 幾ら皇族だからといって、僕達を無視してそのような事が許される訳ないでしょう!?」


 と、ヴァレリーとタイラーは春風の傍に寄りながら、キャロラインに向かって文句を言った。それにキャロラインが「あらあら……」と反応すると、


 「キャロライン様、あなたの言ってる事が冗談ではないというのは理解出来ましたが、先程言いましたように、俺はこちらの2人のレギオンに所属している身です」


 と、春風はヴァレリーとタイラーを交互に見ながらそう言うと、最後に、


 「その証拠に、こうして()()までつけられてますから」


 と、ヴァレリー達に見せるように左腕を上げながら、そこについている赤と金、2つの腕章を見せた。


 その言葉を聞いて、


 「「そうそう、彼にはもう首輪をつけて……ってこらぁ! 大手レギオンの腕章を首輪呼ばわりするんじゃない!」」


 と、ヴァレリーとタイラーは春風に向かってノリツッコミをかましたので、それを見たキャロラインは、


 「あらあらぁ……」


 と、困ったような笑みを浮かべた。


 その時、


 「あのぉ……」


 と、クラスメイトの1人である、「お調子者」を思わせる風貌をした眼鏡をかけた少年が、「はい」と手を上げてきたので、


 「ん? どうしたの野守君?」


 と、それに気付いた春風が、その少年に向かってそう尋ねると、


 「ここまでスルーしちゃって今更って感じなんだけど、雪村君、ほんとにその『見習い賢者』って職能持ってるの?」


 と、「野守君」と呼ばれた少年……以下、野守はそう尋ね返したので、それを聞いて他のクラスメイト達までもがじっと春風を見つめてきた。


 それに春風は「あぁ……」と答え難そうな表情になったが、すぐに「ふぅ」と一息入れると、


 「そうだよ、俺は固有職能『見習い賢者』の固有職保持者だ」


 と、自身のステータスを出して、そこに記された自身の職能を見せながらそう答えた。


 それを聞いて、クラスメイト達が「おぉ!」と声をもらすと、


 「じゃ、じゃあ俺からもいいか!?」


 と、今度は野守と同じくクラスメイトの1人である「熱血少年」を思わせる風貌をした少年がそう尋ねてきたので、


 「え、えぇ? な、何、暁君?」


 と、春風は戸惑いながらもそう返事すると、


 「さっきから気になってたんだけどよぉ、()()()、お前の一体何なんだよ?」


 と、「暁君」と呼ばれた少年……以下、暁は、春風の傍に立っているディックを指差しながらそう尋ねてきたので、


 「え? あぁ、そういえば紹介してなかったね。彼はディック。この世界で出来た俺の仲間……ていうか、『家族』……みたいな存在かな?」


 と、春風はディック見ながら、恥ずかしそうにそう答えた。


 それを聞いて、ディックは「あ、アニキ」と顔を赤くすると、


 「ディック。こちらは俺の俺と同じ世界の人間で、『勇者』達だよ」


 と、春風はディックにクラスメイト達を紹介した。


 それにディックは「あ……」と反応すると、暁達に向かって、


 「は、はじめまして、ディック・ハワードです! 訳あって、今はアニキ……春風さんにお世話になってる者です!」


 と、深々と頭を下げながら、最後に「よろしくお願いします!」と付け加えたが、


 「……って、あ!」


 と、最後にイヴリーヌやキャロライン達を見て驚いた表情になると、


 「し、失礼しました! 王族様方と皇族様方!」


 と、素早く跪いてそう謝罪してきたので、


 「あらあらぁ、そんなに気にする事ないわよぉ」


 「は、はい、どうかお気になさらず!」


 と、キャロラインイヴリーヌは、ディックに立つよう促した。


 ディックはその言葉に従って、「失礼します」と立ち上がると、


 「それじゃあ、僕からも良いかな?」


 と、今度は水音が「はい」と手を上げてきたので、


 「ど、どうしたの、水音?」


 と、春風が恐る恐る返事すると、


 「春風、君は……あのレナって子と何処まで進んでるの?」


 と、水音はかなり真剣な表情で尋ねてきた。


 


 


 


 

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