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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第92話 レナと「獣人の騎士」


 「嘘……まさか……獣人?」


 「はい。私の名は、レクシー・グラント。ストロザイア帝国近衛騎士にして……あなたと同じ、獣人ですよ」


 と、レナに向かってそう自己紹介した「獣人」の少女。彼女がそう名乗り終えると、頭から出た獣の耳がピコピコと動き、お尻から出た獣の尻尾もフリフリと動いた。


 そんな少女、レクシーの姿に、春風をはじめとしたその場にいる誰もが呆然としていたが、ただ1人、凛咲だけは「ふーん」と小さく呟くと、スッと立ち上がってレナから離れた。


 「あ……」


 と、それに気付いたレナもスッと立ち上がると、レクシーを見つめながら変身を解いた。解いたと言っても、左腕の腕輪を外してから変身を解いた為、その姿は人間ではあるが、頭からは狐の耳が生えていて、お尻からも狐の尻尾が出ていた。


 その姿を見て、春風、凛咲、ディック、オードリー、フレデリック、ヴァレリー、タイラーを除いた周囲の人達は「おぉ……」と見惚れる中、レナは一歩前に出ようとしたが、


 「……あ」


 と、急にシュンとしおらしくなってその場に立ち止まった。


 よく見ると、何処か怯えている様子だったので、


 「? どうしたんですか?」


 と、レクシーが首を傾げながら尋ねると、


 「……私、ハンターのレナ・ヒューズ。私は『獣人』だけど……そのぉ」


 と、レナは恐る恐るそう答えたので、


 「あ、もしかして……」


 と、何かに気付いたレクシーが小さな声でそう呟くとレナの傍に近づいて、


 「ちょっと失礼します」


 と言って、クンクンとレナに鼻を近づけた。


 「な、何?」


 と、今度はレナがレクシーに向かってそう尋ねると、


 「なるほど。あなた()()()()()()()()()ですね?」


 と、レクシーはそう尋ね返した。


 その質問にレナはビクッと更に怯え、周囲から「ええぇ!?」と驚きの声があがった。


 そんな状況の中、


 「う、うん。あなたの言う通り、私は獣人と妖精のハーフ。純粋な獣人じゃないから……」


 と、レナがレクシーに向かってそう言うと、


 (あ、そうか)


 と、春風は今気付いたかのようにハッとなった。


 どうやらレナは、自分が獣人と妖精のハーフだから、「純粋な獣人以外は仲間じゃない」と言われるのを恐れているようだ。


 それを理解した春風は、恐る恐るレクシーの方へと視線を向けると、


 「大丈夫ですよ。私の知り合いにも、あなたと同じ妖精と獣人のハーフがいますから」


 と、レクシーは穏やかな笑みを浮かべながらそう言った。


 その言葉を聞いて、レナだけでなく周囲の人達までもが「え、まじで!?」と驚く中、


 「というか、あなた狐の獣人ですよね?」


 と、レクシーがレナに向かってそう尋ねたので、


 「ふえ!? う、うん、そうだけど」


 と、レナは大きくコクリと頷きながらそう答えると、


 「でしたら、何の問題もありません。元々、狐の獣人というのは妖精と交わる者が多くいますから」


 と、レクシーは穏やかな笑みを崩さずにそう言うと、最後に「大丈夫です」と付け加えた。


 その言葉を聞いて、レナは「う……」と泣きそうになると、


 「ご、ごめん……なさい。私……あなたに……」


 と、先程レクシーに言った暴言(?)について謝罪しようとしたので、


 「ああ、気にしないでください。悪いのはキャロライン様ですから」


 と、スッと手をあげて「待った」をかけながらそう言ったので、


 「あれ? そこで私にふるの?」


 と、キャロラインは文句を言おうとしたが、


 「……そうね。私が原因だものね」


 と、すぐに申し訳なさそうな表情になり、レナに近づいて、


 「ごめんなさいね。あなたの()()()()()を貶すような事を言って」


 と、優しく抱き締めながら謝罪した。


 その言葉にレナが「あ……」と声をもらすと、キャロラインはレクシーを見て、


 「レクシーちゃんも、ごめんなさいね」


 と、彼女にも謝罪し、それに対して、


 「当然ですよ。私だって怒ってるんですから」


 と、レクシーは「反省してください」と言わんばかりの眼差しをキャロラインに向けた。


 その眼差しを受けて、キャロラインが「はい……」とシュンとなる中、


 「う……うぅ……私も……申し訳……ありません……でした」


 と、レナはキャロラインの腕の中で、震えた声でそう謝罪したので、


 「……」


 キャロラインは、無言でレナの頭を優しく撫でた。


 



 


 


 

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