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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第91話 怒りのレナ・2


 「こぉろすぅううううう!」


 「やめるんだ! レナ!」


 怒りのままにキャロラインに飛びかかる獣人化したレナと、それを止めようと彼女の前に飛び出した春風。


 「春風!」


 「フーちゃん!」


 「春風君!」


 それを見て、水音、歩夢、美羽が春風のもとへと駆け寄ろうとした、次の瞬間、


 「こぉら!」


 「っ」


 突如、レナの背後に2()()()()()が現れて、


 「がはっ!」


 レナを思いっきり床に押さえつけたのだ。


 『……え?』


 突然の事に目をパチクリとさせる春風達。


 数秒程呆然としていたが、すぐにハッと我に返って、レナを押さえつけている2人の人物に視線を向けた。


 その内の1人が口を開く。


 「大丈夫、ハニー?」


 と、春風に向かってそう言ったその人物を見て、


 「あ、師匠」


 と、春風がそう呟くと、


 「……え? し、師匠ぉ!?」


 「「マリーさん!?」」


 と、水音、歩夢、美羽が驚きに満ちた表情でそう叫んだので、


 「あら、水音に歩夢ちゃん、美羽ちゃんじゃない」


 と、その人物……「師匠」「マリーさん」こと陸島凛咲は「久しぶり」と言わんばかりの笑顔でそう言った。そんな凛咲を見て、


 「え、ちょっと待って! どうして師匠がここに……って」


 と、驚きに満ちた表情の水音が、ふとレナを押さえつけてるもう1人の人物に視線を向けると、


 「え、レクシーさん!?」


 と、その人物を見てそう呼んだので、春風達も「え?」とその人物を見た。


 その正体は、長い栗色の髪をした春風と同じ年頃の少女で、全身には特にこれといった装飾のない、かつ動きやすそうなシンプルな鎧を纏っていた。


 そんな鎧姿の少女に、


 「あらあら、レクシーちゃんじゃないの。どうしてここに?」


 と、キャロラインがそう尋ねると、


 「申し訳ありませんキャロライン様。実はエレクトラ様より『水音と祈に()()()がつかないよう守ってほしい』という命令を受けていたのですが、キャロライン様に危険が迫っていましたので……」


 と、「レクシー」と呼ばれた少女はレナを押さえつけたままそう答えたので、


 (え? 水音と……時雨さんを守れって、どういう事?)


 と、春風は心の中でそう疑問に思い、


 「まぁそうだったの。ありがとうレクシーちゃん。でも、エレンちゃんったら、しょうがないんだから……」


 と、キャロラインは少女……以下、レクシーにお礼を言いつつ、呆れ顔になった。


 すると、


 「離せ! 離せぇえええええ!」


 と、凛咲とレクシーに押さえつけられていたレナが、ジタバタと暴れながらそう叫んだ。「暴れながら」といっても、強い力で押さえつけられているのか、全然2人から脱出出来ていないが。


 そんなレナに向かって、


 「こらこら、落ち着きなさいって」


 と、凛咲はそう言いながら押さえる力を強くしていると、


 「彼女の言う通りです。どうか、落ち着いてください」


 と、レクシーも押さえる力を強くしながら、落ち着いた口調でそう言ってきたが、


 「うるさい! 邪魔をするならアンタも……!」


 と、レナはレクシーを睨みながらそう怒鳴った。


 それを聞いて、


 「レナ、やめるんだ……!」


 と、春風もレナを落ち着かせようとした、まさにその時、


 「……多分、あなたは私を攻撃出来ないと思います」


 と、レクシーは落ち着いた口調のままそう言ってきたので、レナだけでなく春風や周囲の人達までもが「え?」となると、


 「……申し訳ありませんキャロライン様」


 と、レクシーはキャロラインを見て本当に申し訳なさそうに謝罪した。


 それを聞いて、キャロラインは()()を察したのか、


 「大丈夫。私が許すから」


 と、レクシーに向かって穏やかな笑みを浮かべながらそう言ったので、


 「ありがとうございます」


 と、レクシーはそうお礼を言うと、スッと立ち上がって静かにレナから離れた。


 そして、自身の首についているチョーカーのようなものを外すと、彼女の体が眩い光に包まれたので、


 (うわ、眩しい!)


 と、春風と周囲の人達は思わず目を閉じた。


 その後、


 「皆さん、もういいですよ」


 というレクシーの声が聞こえたので、春風達はゆっくりと目を開けると、


 「……え? その姿()は……」


 そこには、頭からは獣の耳を、お尻のあたりから獣の尻尾を生やしたレクシーの姿があった。


 その姿に誰もが口をあんぐりしている中、


 「嘘……まさか……獣人?」


 と、レナが驚愕に満ちた表情でそう言うと、


 「はい。私の名は、レクシー・グラント。ストロザイア帝国近衛騎士にして……あなたと同じ、獣人ですよ」


 と、レクシーはレナに向かってそう自己紹介した。


 


 


 


 

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