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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第4章 そして、「再会」の時へ
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第85話 「再会」の時

 今回は、いつもより短めの話になります。


 それは、異世界エルードにあるルーセンティア王国で、「ルールを無視した勇者召喚」が行われ、「神」と契約を結んだ春風がこの世界に降り立ってから、2ヶ月が経ったある日の事だった。


 その日、春風が今日も大手レギオンの1つ「黄金の両手」拠点内に複数ある工房の1つにて、そこで知り合ったレギオンメンバーと回復薬製作に勤しんでいると、


 「春風君、ちょっといいかな?」


 と、レギオンリーダーであるタイラーが、工房内に入ってきたので、


 「? はい、何ですか?」


 と、春風は作業の手を止めてそう返事すると、


 「失礼します」


 と、タイラーの後ろからスーツ姿の女性が現れた。


 (あれ? オードリー市長の秘書の……)


 そう、彼女はフロントラル市長オードリーの秘書を務めている女性だ。


 それを思い出して、春風は少しだけ目を見開くと、


 「雪村春風様」


 と、秘書がそう口を開いたので、


 「は、はい!」


 と、春風が思わずビクッとなってそう返事すると、


 「オードリー市長がお呼びです。一緒に来てください」


 と、秘書は淡々とした口調でそう言ったので、春風は「え?」と思いながらも、


 「すみません、ちょっと行ってきます」


 と、一緒に働いていたレギオンメンバーにそう告げると、秘書とタイラーと共に工房を出た。


 向かった先は「行政区」にある市役所なのだが、


 (あれ? なんか見慣れない馬車があるぞ)


 と、春風が心の中でそう呟いたように、市役所の傍には見慣れない馬車が何台かあったが、この時の春風は特に気にする事もなく、秘書とタイラーと共に市役所の中へと入っていった。


 中に入って暫く廊下を歩いていると、3人は1つの扉の前で止まった。


 そこは、市長であるオードリーの部屋への扉だった。


 (オードリー市長は、一体何のようで俺とタイラーさんを呼んだんだろう?)


 と、春風が疑問に思っていると、


 「市長、連れてきました」


 と、秘書は扉をノックしながらそう言い、


 「どうぞ」


 と、扉の向こうからオードリーの返事が返ってきた。


 そして、


 「失礼します」


 と、秘書が扉を開けると、


 「こんにちはタイラーさん。そして、春風さん」


 と、穏やかな笑みを浮かべてそう挨拶したオードリーがいたが、


 「どうも」


 「よう」


 と、何故かハンターギルド総本部長のフレデリックと、もう1つの大手レギオン「紅蓮の猛牛」リーダーのヴァレリーがいた。


 いや、フレデリック達だけではない。


 部屋の中には、少し派手めなドレスを着た女性と、同じような顔付きをした2人若い男女。春風よりも年下と思われる白いドレス姿の少女と、騎士の鎧を纏った2人の男女。そして、春風と同じ年頃の少年少女が11人いた。


 その少年少女を見て、


 「……え?」


 と、春風が小さくそう声をもらすと、それに反応したのか、


 「あ……」


 と、少年少女の1人が、春風を見てそう声をもらした。


 (……え、何で……?)


 と、春風が心の中でそう呟くと、少年少女の1人である黒髪の少女が、春風に向かって駆け出し、


 「()()()()()!」


 と、そう叫んで、春風にガバッと抱き付いた。


 「うわっ!」


 突然の事に驚く間もなく、春風は抱き付かれた勢いで後ろに仰け反った。


 このまま倒れるのかとその場にいる誰もがそう思ったが、


 「ふん!」


 春風はその場で踏ん張った。


 そして、どうにか体勢を立て直すと、春風はその少女の両肩をガシッと掴み、


 「ゆ……()()()()()!? え、ユメちゃんなの!?」


 と、その少女の名を呼んだ。


 その言葉が届いたのか、


 「う……うわぁあああああん! フーちゃんだよぉ! ほんとに、フーちゃんだよぉ!」


 と、少女は大声で泣き叫んだ。


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