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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第3章 そして、「世界」は動き出す
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第76話 集結、断罪官


 ウィルフレッドの自室にて、ウィルフレッドら王族達と、爽子、歩夢、美羽、そしてストロザイア帝国の皇族達と、彼らのもとへと旅立った「勇者(クラスメイト)」達による話し合いが行われていた丁度その頃、五神教会本部に、一組の集団がやって来た。


 ギデオンら断罪官と同じ漆黒の鎧を身に纏っているその集団は、本部の中に入ると、全員何処か落ち着かない様子で、早足で()()()()()を目指していた。


 そして、そのとある場所へと続く扉の前に着くと、集団の先頭に立っている人相の悪そうな赤髪の男性が深呼吸して、バァンと扉を勢いよく開き、


 「断罪官第1小隊隊長フランク・ガルシアと小隊員数名、ただいま帰還したぜぇ!」


 と、赤髪の男性ーーフランクは怒鳴るようにそう叫んだ。


 そんなフランクと小隊員達の目の前には、


 「うむ、よくぞ戻った」


 断罪官大隊長ギデオン・シンクレアがいた。


 そう、ここは五神教会本部内にあるギデオンの「仕事部屋」で、現在ギデオンはその部屋に備え付けられた椅子に座っている。


 そして、ギデオンの他には、副隊長にしてギデオンの息子ルークと、何やら元気の無さそうな様子の、美しい顔立ちをした長い青髪の男性がいて、2人共ガルシアとその小隊員達をジッと見つめていた。


 その後、


 「ギデオンの旦那……」


 と、フランクはボソッとそう呟くと、ギデオンの目の前にある仕事用デスクの上に置かれたものを見て、


 「……負けたってのは、本当なのかい?」


 と、神妙な顔でそう尋ねた。


 それに対して、ギデオンは無言でゆっくりと頷くと、フランクは部屋の中に入ってデスクに近づき、


 「……触れてもいいかい?」


 と、尋ねた。


 その後、ギデオンは再び無言でこくりと頷くと、


 「ちょっと失礼」


 とフランクはそう言って、デスクの上に置かれたものーー折れた聖剣スパークルを手に取って、それをじっと眺めた。


 「まさか、あんた程の男がやられるとはな。未だに信じられねぇよ」


 と、フランクは折れた聖剣スパークルをデスクの上に戻すと、


 「信じられない気持ちはわかるが、情けない事に事実だ」


 と、ギデオンは表情を暗くしながらそう言ったので、フランクは「そうかい……」と返事すると、


 「フランクの方こそ、()()()()は見つかったのか?」


 と、今度はギデオンがフランクに向かってそう尋ねてきたので、フランクは「む……」と顔を顰めると、


 「……いや、まだ見つからねぇよ」


 と、ギデオンと同じように暗い表情でそう答えた。


 その後、フランクは今度は長い青髪の男性に視線を向けると、


 「よぉ、ケネス。()()の方は良いのか?」


 と、尋ねた。


 その質問に対して、「ケネス」と呼ばれた長い青髪の男性は、


 「ええ、もうだいぶ回復したわよ」


 と、()()のような口調でそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「そうかよ……」


 と、フランクはそう答えると、視線をギデオンに戻して、


 「ま、俺よりも今は旦那の方だ。あんたも怪我の方は良いのかい?」


 と、ギデオンに向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、ギデオンは「ふ……」と笑うと、


 「優秀な神官のおかげで、だいぶ傷は引いてきたが、それでも暫くは安静するように言われたよ」


 と、何処か自嘲気味に「はは」と笑いながら言った。


 そんなギデオンの様子に、フランクは「く……」と何処か悲しそうな表情になった後、


 「で、旦那よぉ。あんたを打ち負かしたっていうその『異端者』、まだ倒す気はあるって事で良いんだよな?」


 と、ギデオンに向かって再びそう尋ねると、


 「当然だ。この身と装備が万全の状態になった時、もう一度奴に挑む予定だ。そして、その戦いにお前達も参加してもらおうと思い、ここに呼んだのだ。任務中なのにすまなかった」


 と、ギデオンはフランクに向かってそう謝罪した。


 その謝罪を受けたフランクは、


 「はは、気にするほどの事じゃねぇよ」


 と、笑いながらそう言うと、すぐに真面目な表情になって、


 「で、今こうして()()()が揃ってんだから、あんたを破ったその異端者の事、俺らにも教えてくれるんだよな?」


 と、またギデオンに向かってそう尋ねた。


 ギデオンはその質問に対して、


 「ああ、そうだ。ただ、お前達にとってあまりにも信じられない話になるのだが、それでも良いのか?」


 と、フランクと青髪の男性ーーケネスを交互に見ながらそう尋ね返したので、


 「かまわねぇよ」


 「ええ、私も同意見よ」


 と、2人は真剣な表情でそう答えたので、


 「わかった。お前達に全てを話そう」


 と、ギデオンは2人に向かって文字通り「全て」を話した。


 


 

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