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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第2部第3章 そして、「世界」は動き出す
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第72話 報告が終わって


 さて、ウィルフレッドによる「固有職能」と「固有職保持者」についての説明と、そこから再びギデオンの報告の報告が始まった丁度その頃、謁見の間から離れた位置にある「勇者」達の自室の1つでは、現在、2人の少女がベッドの上で身を寄せ合っていた。


 「落ち着いた歩夢ちゃん?」


 「うぅ。うん、ありがとう美羽ちゃん」


 そう言った2人の少女、歩夢と美羽。以前の話で語った事だが、2人とも春風のクラスメイトで、彼を知っている者達だ。


 「フーちゃん、大丈夫かなぁ?」


 歩夢は美羽の腕にグッとしがみつきながら、不安そうにそう尋ねると、


 「大丈夫だよ。春風君なら、きっと普通に生きてるって」


 と、美羽は笑顔でそう答えた。


 その答えを聞いた後、


 「あのギデオンって人、絶対に許せない」


 と、歩夢は震えた声でそう言った。


 そう、謁見の間でギデオンに向かって、


 「ぶっ殺してやる!」


 と叫んだのは歩夢だったのだ。


 そして歩夢の言葉に強い「怒り」を感じたのか、


 「そうだね。私も許せないよ」


 と、美羽も歩夢の言葉に同意した。


 それから少し時が経つと、トントンと部屋の扉を叩く音と共に、


 「海神、天上」


 と、扉の向こうから爽子の声がしたので、美羽は「ちょっとごめんね」と歩夢に言うと、ベッドから立ち上がって、ゆっくりと扉を開けた。


 「や、やぁ、天上。海神はもう落ち着いたか?」


 と、爽子が美羽に向かって恐る恐るそう尋ねると、


 「はい、もうだいぶ落ち着いたみたいです」


 と、美羽はコクリと頷きながらそう答えた。


 その答えに爽子が「そうか」と呟くと、ベッドの上にいる歩夢に視線を向けた。その視線に気付いた歩夢は、


 「先生……ごめんなさい」


 と、頭を下げて謝罪した。


 その謝罪に爽子は「気にするな」と言うと、


 「ちょっとすまないが、天上を少しの間借りるぞ」


 と、謝罪しながらそう言ったので、それに美羽は「え?」と首を傾げて、歩夢の方もポカンとなったが、


 「わかりました。私の方は大丈夫です」


 と、爽子に向かって弱々しくそう返した。


 そんな歩夢に向かって、


 「本当に、すまない」


 と、爽子は申し訳なさそうに再び謝罪すると、美羽を連れてその場から離れた。


 2人が向かった先は、爽子の自室だった。その部屋の中で、


 「あの、先生。()の方は終わったんですか?」


 と、美羽が謁見の間での事について爽子に向かってそう尋ねると、


 「あー、うん。話自体は終わったんだけど……」


 と、爽子は何処か気まずい感じでそう答えた後、歩夢と美羽が謁見の間を出た後の事について話始めた。


 それから一通りの話が終わると、


 「そんな、酷い! 酷過ぎる!」


 と、ショックを受けたのか、美羽は爽子に向かってそう怒鳴った。


 そんな美羽に爽子が何も言えずにいると、


 「どうして!? どうしてあのギデオンって人を止めてくれなかったんですか!?」


 と、美羽は怒りのままに爽子の両腕を掴みながらそう問い詰めた。


 怒りに満ちた美羽の表情に、


 「……すまない」


 と、爽子は辛そうな表情でまた謝罪したので、美羽はこれ以上は無意味と感じたのか、


 「っ」


 と、黙って爽子の腕を掴んだ手を離したが、その表情は更なる怒りに満ちていた。


 そんな美羽に向かって、


 「その……本当に申し訳ないんだが、この話は海神には……」


 と、爽子がそう頼もうとすると、


 「言える訳ないでしょこんな事!」


 と、美羽は肩で息をしながら、怒鳴るようにそう答えた。


 その答えに、爽子は更に申し訳なさそうな表情で、


 「ありがとう」


 と、お礼を言った。


 その後、漸く落ち着いてきたのか、


 「それで、これからどうするんですか?」


 と、美羽は爽子に向かってそう尋ねると、


 「あ、あぁそれなんだが、この後私は、ウィルフレッド陛下の部屋に呼ばれている。今後について話し合う為だそうだ」


 と、爽子は少し気まずそうにそう答えたので、


 「そう……ですか」


 と、美羽はそう返事した。


 その時、ガチャリと部屋の扉が開かれたので、爽子と美羽が驚いて扉を見ると、


 「海神!」


 「歩夢ちゃん!?」


 扉の向こうには、歩夢が立っていた。


 「あ、歩夢ちゃん……聞いてたの?」


 と、美羽が恐る恐る尋ねると、


 「……ごめんね。全部聞いてた」


 と、歩夢は頭を下げて謝罪した。


 その謝罪を聞いて、


 「わ、海神、あのな……」


 と、爽子が何か言おうとすると、それを遮るかのように、


 「先生。私も、陛下の部屋に一緒に行っていいですか?」


 と、歩夢がそう尋ねてきたので、爽子は少し躊躇ったが、


 「わかった、一緒に行こう」

 

 と、「OK」を出した。


 因みに、


 「なら、私も行きます!」


 と、美羽も一緒に行く事になった。


 


 


 



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