第70話 再びギデオンの報告
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
『あれってそういう意味だったんかーい!』
頭を抱えてそう叫んだ爽子ら勇者達を、
『なんだこいつら……?』
と、ギデオン達が変なものを見るような目で見ていると、
「はは、そうか。彼はあの時、ちゃんと名乗ってたのだな……」
と、ウィルフレッドが「はは……」と弱々しく笑いながらそう言ったので、
『陛下、あなたもですか!?』
と、ギデオン達は驚いたように目を大きく見開きながら言った。
因みにジェフリーはというと、
「そ、そんな……そんな馬鹿な……」
と、今にも口から魂が出そうなくらいに呆然としていた。
それから少しすると、
「ギデオン、その雪村春風という人物はどのような戦いをしていたのだ?」
と、ウィルフレッドがギデオンに向かってそう尋ねてきたので、
「はい、奴は体術と刃を仕込んだ杖や籠手を用いた接近戦を駆使し、更に炎、水、風、そして土属性の魔術を使ってきました」
と、ギデオンは跪いた状態でそう答えた。
その答えを聞いて、爽子達が「おお!」と感心する中、
「それは凄いな。それで、その者はどのようにして其方を破ったのだ?」
と、ウィルフレッドが再びそう尋ねてきた。
その質問に対して、ギデオンは「それは……」と答えにくそうな表情になったが、すぐに「いかんいかん」と首を横に振るって答える。
「先程も言いましたように、奴は接近戦と4属性の魔術を駆使してきました。そして、戦いが終わりに近づいた時、奴は『化身顕現』なる見た事もない魔術を使ってきたのです」
「何!? 『化身顕現』だと!? 一体どのような魔術なのだ!?」
「はい、私も初めて見たのでなんとも言えませんが、敢えて言うなら、『魔物に変身する魔術』と言えば良いでしょう」
「ま、魔物に変身!?」
「そうです。そして、これは奴自身が言ってた事なのですが、どうやら奴には『協力者』がいるようで、この『化身顕現』という魔術はその『協力者』と共に作ったとっておきだと言ってました」
「なんと! つまり、オリジナルの魔術という事だな!? それで、その者はどのような魔物に変身したのだ!?」
「はい、奴が変身したのは、燃え盛る炎の如き真紅の翼を持つ鳥の魔物で、確か、『フェニックス』と奴はそう言ってました」
その報告を聞いた次の瞬間、
『ふぇ、フェニックスゥウウウウウウウッ!?』
と、爽子を除いた勇者達がそう叫んだので、
「む! 勇者達よ、何か知っているのか!?」
と、ウィルフレッドが勇者達を見てそう尋ねると、勇者の1人が、
「は、はい、フェニックスというのは、僕達の故郷『地球』に存在している伝説の生き物の事です。たとえ死んでも炎の中から蘇る為、『不死鳥』とも呼ばれています」
と、ウィルフレッドに向かってそう説明した。
その説明を聞いて、
「な、なんと、『不死』とな!?」
と、ウィルフレッドが驚きの声をあげていると、
「……なるほど、どおりで我が最大の技が破られた訳だな」
と、ギデオンがボソッとそう呟いたので、
「む、ギデオンよ、今のはどういう意味だ?」
と、ウィルフレッドがまたそう尋ねてきた。
その質問に、ギデオンは真剣な表情で答える。
「はい、奴はそのフェニックスに変身した後、我が最大の奥義である『聖光轟雷剣』を真正面から打ち破り、神より賜った『聖剣スパークル』を真っ二つにしたのです」
そう答えると、ギデオンは腰の鞘から刀身を半分無くした聖剣スパークルを抜き、それをウィルフレッドに見せた。
それを見て、
「お、おお、なんという事だ……」
と、ウィルフレッドがショックを受けていると、
「ウィルフレッド陛下、私からも質問してよろしいでしょうか?」
と、ギデオンがそう尋ねてきたので、
「む、許そう。何なりと聞いてくれ」
と、ウィルフレッドがそう返すと、
「陛下は雪村春風という人物について、何か知っているのではありませんか?」
と、ギデオンは目を細めながら尋ねてきた。
その質問に対して、
「……何故、そう思った?」
と、ウィルフレッドがそう尋ね返すと、
「奴の名を出した時から、陛下もそちらの勇者達も、そしてクラーク教主も何やら様子がおかしかったので……」
と、ギデオンはかなり真剣な表情でそう答えた。
するとそこへ、
「ぎ、ギデオン大隊長、それはあなたが知る必要のない事ですよ」
と、何やら大慌ての様子のジェフリーがそう割って入ってきた。
しかし、
「クラーク教主、申し訳ないが、しばらくの間黙っててくれないか?」
と、ウィルフレッドが睨みながらそう言ってきたので、ジェフリーはそれ以上何も言わなくなった。
その後、
「わかった、ギデオン」
とウィルフレッドがそう言うと、ギデオンら断罪官に向かって全てを話した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。今回の話の流れを考えていたら、その日のうちに終わらせる事が出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。