40 冥界一家の団欒2
気が付いたらブクマが増えて過去最高記録を更新してしまいました…!
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いけないいけない。夢中になって遊び過ぎました。
時計もないしここ地下だから時間感覚がなくなっちゃう。モリアさんがそろそろ時間って言ってくれなかったらもっと遊んでたかも。
急いでお家へと帰ると、ソファの上でガルラさんが寝てた。私の雲クッションを枕にしてぐっすりおやすみですよ。
わかる。その雲クッション気持ちいいよねわかる。
また今度フェルトス様に頼んでガルラさんの分の雲クッションを作ってもらうことを考えながら、タオルケットを取り出してガルラさんにそっとかける。
小さな体でもこういうことできるし、やっぱり魔法は便利だね。
さて、晩御飯の準備でもとキッチンに視線を向けると、なにやら見慣れない黒い箱がありました。
もしかして、アレがガルラさんの言っていた食糧庫でしょうか?
そしてもう一個。その食糧庫の隣にゴミ箱のような小さな円柱型の入れ物がある。
そういえばいつもゴミはフェルトス様に消してもらってたから、ゴミ箱自体を買うの忘れてた。てへっ。
食糧庫の方は私の身長と同じくらいの高さで、私が両手を広げた分と同じくらいの横幅。奥行きはあんまりない。
片開きの扉がついていたので開けてみるけど、中身は空。
まだフェルトス様が帰ってきてないし、見た目通りのただの箱みたいだ。
材質はなんだろう。
金属みたいに見えるけど金属じゃなさそうだし、木材でもなさそう。
なんか変な感じ……魔法で作ったのかな?
とりあえず食糧庫のことはひとまず置いておいて晩御飯です。
すでにある程度は冷蔵庫に移してあるので、ガルラさんは起こさなくてもいいかな。
では監督としてモリアさんよろしくお願いしますね。
エプロン着けてっと――さて、なにを作ろうかな?
うーん…………なんだか無性にオムライスが食べたい気分なのでオムライスにしましょう。
材料は――大丈夫そうだし決まり!
そうと決まればさっそく準備。
この世界ケチャップとかもあるので、楽にケチャップライスが出来て良い。
しかもお米もあったしね。もうほんと何でもあるよこの世界。素晴らしいよ。
なんでも、こういうのは大抵落とし子からもたらされたんだって。
別世界でもお米を食べたいという執念……きっとその人日本人ですね。ありがとうございます。
地球から落ちてくる人が多いのかな? 名も知らぬ先人達には足を向けて寝れませんね。感謝感謝!
感謝もそこそこについでにトマトピューレも作ります。
フェルトス様がトマト好きだからね。私も好き。ガルラさんも好き。この家族はみんなトマトが好き。
トマトピューレを作る前に一番時間のかかるお米をセットするよ。
土鍋に研いだお米と水入れて火にかけておしまい! 美味しくできますように!
次はトマトピューレと同時進行でトマトジュースを作る。
ジュースの方はいつも通り。魔法も駆使して愛情いっぱいに作るよ。
そしてピューレの方はトマトを湯むきして、種とって鍋にぽい。潰しながら火を入れて、ある程度潰れたらおっけー。
裏漉しをしてこれは完成っと。
ジュースの方も良し。冷やしていつでも飲めるようにしておきます。
やっぱ魔法使えると楽できるね。
浮かせたり動かしたり。勝手に動く調理器具の光景はすっごくファンタジーです。
あと浄化の魔法も教えてもらえたら皿洗いとかも楽できちゃうね。魔法で汚れ落としてからさっと水洗いすればいいし。洗わない選択肢はないです、気分的にね。
あとは氷の魔法とかもあれば冷やす手間省けそうだな。
味見という名のつまみ食いでトマトピューレを三人でつまみつつ、お米が炊けるのを待つ。
『美味いな』
「ねー」
ステラも気に入ったのか足に頭突きをしてきます。よかったよかった。
お米が炊き上がったら、次はケチャップライス作り。
私のオムライスの具材は玉ねぎとお肉のみです。
玉ねぎをみじん切りにして、お肉も食べやすい大きさにカット。
ちなみにこのお肉はチュンチュンのお肉です。
玉ねぎで目が痛くなるのは魔法ではどうにもできない。うぅ、涙が……。
大丈夫だよステラ。玉ねぎが目にしみてるだけだからね。危ないから頭突きはやめてね。ありがとう。
その二つをフライパンで炒めて火が通たら塩コショウで軽く味付け。
ここに、火を弱めてからケチャップとさっき作ったトマトピューレ。あと牧場で買ったバターを入れます。
バターを溶かしつつ全体になじませるように混ぜ合わせたらお米を投入。
ケチャップがお米全体になじんだら、もう一度塩コショウ。味をみつつ、おっけーなら完成。
「よし!」
「できたか?」
「うきゃぁ!」
突然の真後ろからの声に飛び上がる。
振り向くとすぐそこにフェルトス様がしゃがんでこっち見てた。
いつからそこに……まったく気が付かなかった。びっくりした。
え、二人は気付いてたの? 教えてよぉ。
「フェルしゃまお帰りなしゃー」
「あぁ。ただいま」
「ご飯はもうちょっと待ってくだしゃいねー」
「……まだだったか」
「あい。でももうしゅぐでしゅから、あっちで待っててくだしゃい」
「……わかった」
しょんぼりフェルトス様、略してしょんトス様は大人しくソファに去っていった。
そして寝てるガルラさんのお腹の上にどすんと座った。もしかして八つ当たりか何かですかね。
ガルラさんからカエルが潰れたような声が聞こえた気がしたけど大丈夫?
めっちゃ怒ってる。大丈夫そうだ、よかった。
喧嘩を始めた二人を放っておいて調理再開。
それにしてもなんだかフェルトス様が食いしん坊キャラに見えてきたな。食べられるのは私が手を入れた料理限定らしいけど。
なんでだろ、不思議だなぁ。
さて、フェルトス様も帰ってきたし、ガルラさんも起きたし、サクサクとやっちゃおう。
あとはソース作ってケチャップライスを卵で包めば完成だからね。
付け合わせとかはなし。時間ないのでオムライスのみです!
とにかくソース。
小鍋にケチャップ、ソース、醤油、砂糖、水、それからバターを入れて火にかけて混ぜる。
水はなくてもいいけど、ちょっと味が濃い気がするから私は入れてる。
いつもならここにしめじも入れるんだけど今日はなし。
はい、ソース完成!
ケチャップライスを卵で包んでいきましょう。
普段は面倒くさいし、上手くできないから焼いた半熟卵を上に乗せるだけで包まない私ですが、今の私は最強なのでチャレンジします。
フライパンを温めて、溶いた卵を入れてかき混ぜながら焼く。
半熟くらいに固まったら一回フライパンを火からおろして濡れ布巾の上に。
ここからは火を止めて作業。
卵の上にケチャップライスを乗せてから卵で包んでいくんですが……ここで必殺技の登場!
秘技、浮かせて包む魔法!
卵とライスを一緒に浮かべて、卵が破れないように慎重にライスを包む作業です。まんまですね。
くるくるっと巻いて出来上がり! そのままお皿の上に乗せて――上手くできました!
普通にフライパンの上でやると絶対破けちゃうし、上手く包めないんだけど、これだとプロみたいな仕上がりに!
自画自賛気味にニヤニヤしながら上手くできたオムライスを眺める。
おっといけない、冷めちゃうから早く作業に戻らないと。
同じ要領でオムライスを五皿作る。大盛二つに、普通盛りが二つ。そして小盛りが一つ。
それぞれに作ったソースをかければ……じゃじゃーん。メイ特製、オムライスの完成です!
すみません、料理してるだけで終わっちゃいました…もうちょっとだけ続きます。
あと1話で団欒話は終わると思います…。




