18 ショッピング
シエラさんのおかげで無事に買い物は終了。
影の中に入れれば荷物の心配もしなくていい。お金だって予想以上に手に入っちゃったので欲しかったものを色々買ってしまった。
いやはやとても便利ですこの影収納。大好き。愛してる。
ラドスティさんのお店を後にした私がシエラさんに連れてきてもらった場所。それはキッチン用品や雑貨が売ってるお店。
そこでとりあえず私でも扱えそうな片手鍋とザル。木ベラにコップなど。とにかくフェルトス様が飲みたがっていたトマトジュースを作るのに必要なものを購入。あとは目に付いたものを諸々買いました。
ただ、この勢いで買い物を続ければ用意していた分のお金をあっという間に使い切ってしまう。そう判断した私はシエラさんに頼んで一度人目につかない路地へ避難し、お金を補充した。
黒猫ちゃんがパンパンになりましたが、致し方なし。ついでに買ったものはここで影の中へ入れて身軽になっておいた。
次に向かったのは生活関連の魔道具店。ランタンの看板を目印にシエラさんオススメのお店へ。
そこではカセットコンロのような代物が売ってたのでそれを購入。
他には中のものを冷やす箱の魔道具と、凍らせる箱の魔道具。つまり冷蔵庫と冷凍庫ですね。これも小さい物だけど買っちゃいました。
このお店ではとりあえずこの三つだけ。他は必要になったとき買えば良いかなと思いやめておいた。
大きい買い物だったから持ち帰りを心配されたけど、開き直ってその場で影に入れた。驚かれたけどシエラさんが上手く説明してくれたみたいで怖がられることはなかった。感謝。
魔道具の動力は魔石という魔力がこもった石をはめると動くらしい。全商品に付属品としてその魔石もついてきました。お買い得です。
魔石は長くて二年程は持つらしいのでしばらくは大丈夫でしょう。
もしなくなったら新しい魔石は魔道具店か冒険者ギルドに行けば買えるらしい。これで魔力切れになっても大丈夫ですね。
話の途中に出てきた冒険者ギルドとは何か。気になった私はシエラさんに聞いてみた。曰く、冒険者が所属するギルドとのことらしい。
うん。なんにも情報が増えてないけど、まぁいいか。必要になったときまた調べよう。
冒険者の定義はわからないけど、多分ゲームとかに出てくるような感じだと思う。ただの予想だけど今はその認識でいいや。
ここでの買い物は少しお値段が張ったけど、これもフェルトス様の為と思い奮発しました。
お金はたくさんあるし、私のところで死蔵していても仕方がない。使う時はパーと使って、ちょっとでも経済を回さないとね!
そして最後に市場へ行きました。
市場ではトマトをはじめとした色々な食材を購入。
お喜びくださいフェルトス様! これでご希望のトマトジュースが作れますよ! と心の中のフェルトス様に報告もしておいた。
買ったトマトだけど、やっぱりというか、セシリア様のトマトより小ぶりだなと思ってしまったのは内緒。
フェルトス様に全部食べさせないで一つくらい自分で食べておけば良かったかも。少しだけ後悔。
そんなわけで私はシエラさんに色々な場所へと連れて行ってもらいました。
この町は広くてまだまだ回り切れていない。今度来たときにはまた別の場所へ行ってみたいな。
そんなことを考えつつ買い物の時間は過ぎていった。
本当は洋服やハンカチとかの小物も欲しかったんだけど、他の買い物で疲れてしまったのでまた今度。
「お待たせしました。ご注文のミルクでございます」
「あいがとごじゃましゅ」
そんなわけで一度買い物を切り上げた私達は休憩がてらシエラさんオススメのカフェにやってきた。
「いたらきましゅ」
ミルクの入ったコップへ手を伸ばし一口口に含む。
「んー」
ラドスティさんのところで飲んだやつとはまた味が違って美味しい。だけどどちらかといえばラドスティさんのところで飲んだやつの方が好みかもしれない。もちろんこれも美味しいけどね。
お店のご好意でステラとモリアさんの分のミルクもお皿で出してくれたのでみんなで休憩タイム。
シエラさんはまだ仕事中だということでお水だけだけど。なんか自分達だけすみませんね。
「むぃ……」
それにしても。なんだか体が重い気がする。子供の体って思った以上に体力ないのね。
落とさないうちにコップをテーブルに戻しておこう。
「メイ殿、大丈夫ですか? その、顔色が良くないように見えるのですが」
「あぃ。大丈夫でしゅ。ちょっとだけ、疲れただけでしゅかや……」
町での移動はシエラさんに抱っこをしてもらっていたのに、こんなに疲れるなんておかしいなぁ。
初めての町ということで、はしゃぎすぎちゃったのが悪かったのかなぁ。
「あぅ」
どうしよう。気分が悪いかもしれない。
休憩のつもりで椅子の背もたれに体重を預ける。あまりに私がぐったりしているせいか、心配したステラが膝に乗ってきた。嬉しいけどちょっとだけ重い。ぺろぺろとほっぺを舐めてくるステラの気遣いが嬉しい。だけどざりざりな舌がちょっとだけ痛い。
むへへ。ごめんねステラ。でもありがとう。
『ちと、まずいか』
「モリアしゃ?」
『じっとしてろ。あんまり動くんじゃない』
「ぅ?」
なんだろう。モリアさんの声がなんだか少しだけ怖い気がする。
「あぇ?」
チラリと見たモリアさんが二人いる。分身の術が使えたんですか? あれステラも二人?
どう、なって――?




