表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/190

黒影編1 はじめての使い魔

新章を書くと言ってからかなり間が空いてすみませんでした。

紆余曲折ありましたが、今日から黒影編全14話の投稿を開始します。

長くなってしまいましたが、楽しんでいただけたら幸いです。

 冥界内にあるフェルトス様の家。そこから少しだけ離れたところに行くと開けた場所がある。

 そこは私の遊び場、兼、魔法の練習場。


 最初は何もなかったこの場所だけど、今ではガルラさん作のいろんな遊具が設置されていて、なかなか楽しめる場所になっています。

 ブランコや滑り台なんかの定番遊具はもちろん。急勾配になった壁とか、鉄棒とか。

 私が遊びながらでも体を鍛えられるようにって工夫して作ってくれた。


 ちなみにカイル用の筋トレ道具や鍛錬用の木刀とかも置いてあったりします。


 そしてそこに私達冥界主従である、フェルトス様、ガルラさん、私、カイルの四人組が集まっていた。


「さて、メイよ。今日は貴様に使い魔との契約をしてもらう」

「は、はいっ!」

「そんなに緊張しなくてもいい。気を楽にしろ」

「そうそう。メイなら大丈夫だから。ホラ、深呼吸しろー」

「すぅー……はぁー……」

「頑張れお嬢ー」

「うん。頑張る!」


 カイルからの声援に応えたあと、気合を入れるためにパチンと頬を叩く。

 ちょっと力が入り過ぎちゃってヒリヒリするけど、かっこわるいので我慢しよう。


 さて、なぜ今こうしてみんなで集まっているのか。

 それはさっきフェルトス様が言った通り、ここで使い魔契約を交わすことになったからです。


 前々からフェルトス様には「いい使い魔を見繕ってやるから待っていろ」と言われていました。

 自分で見つけて契約するのでもいいらしいけど、私の行動範囲では無理そうとのことでフェルトス様(パパ)が代わりに探してきてくれることになったんです。


 ちなみに神様クラスになると自分で創ったりもできるらしい。

 実際モリアさんはフェルトス様に創られたみたい。


 私にもちょっとした神格はあるみたいだけど、神格自体がまだまだ足りないし、そもそも実力的にも無理。ということで今回の形になりました。


 そしてフェルトス様から「使い魔が見つかった」と聞かされたのが昨日の夕食後。

 どんな子なのかはまだ聞いてないので、正直昨日からわくわくと緊張が止まりませんでした。


 さらに言えば現在時刻はお昼寝後。

 昨日から若干の興奮状態といいますか、わくわくしすぎて目がさえちゃって、ですね……。

 遠足前の子供よろしく。なかなか寝付けませんでした。


 夜はフェルトス様に「いい加減に寝ろ」と呆れたように言われるまでお喋りしてましたし。

 昼はカイルに「そろそろ寝ないと契約に支障がでるぞ」と困ったように言われるまでお喋りをしていました。


 なので、わかりきっていたことでしたが睡眠時間が足りません。

 自業自得ではありますが、眠いです。


 でも寝不足だからと言って甘えてはいられませんよね。

 頑張って契約できるように、頑張る所存です!


 ……いま私頑張るって二回言った?

 やっぱり眠くてちょっと頭回ってないかもしれない。


 頬に当てていた手を握りしめ、軽く頭を振って眠気を逃す。

 そして準備はできたとフェルトス様の赤い瞳を見返した。


 そんな気合い十分な私の視線を受けたフェルトス様は、少しだけ頬を緩ませ口を開く。


「準備はできたようだな。ならば手を出すがいい」

「あい!」


 気合を入れ過ぎて逆に強張ってしまい、甘噛みしちゃった私を見たフェルトス様の頬がさらに緩む。

 ちょっと恥ずかしいけど気にしないもん。いつものことだしね。ふんだ!


 そうして私はフェルトス様に言われるがまま、そっと両手を差し出した。

 するとフェルトス様の影から伸びてきた真っ黒の影の手が私の手のひらにポトンと何かを落とす。


 落とされたそれもまた真っ黒の塊で、私の両手のひらいっぱいくらいの大きさの何か。

 顔や手足なんかは見当たらず、本当に黒い塊……みたいなもの。

 ちょっとだけひんやりしているような、そうでもないような。

 水風船みたいな、ぽよぽよした感触をしている何かだった。


「……フェル様? この、子? がわたしの使い魔さんになってくれる子ですか?」

「そうだ。ソイツは闇の精霊。まだ生まれたばかりの幼体だがな。それくらいが今のメイには丁度良いだろうと思い連れてきた」

「はぇ、精霊……。はじめて見た……」

「まだソイツは話せはしないが、こちらの言葉は通じるゆえ安心してかまわん」

「あい……」


 ファンタジーな世界あるあるだと勝手に思ってる精霊さんとの初対面です。


 私は冥界所属だし、分類するならたしかに属性は闇っぽい。

 だから闇の精霊さんとの相性が良いっていうことかな?


 そしてフェルトス様はこの子を生まれたての幼体って言った。

 つまりこの子は精霊の赤ちゃんということで……。


 自分の手の上の存在を改めてじっと見つめる。

 謎の塊だと思っていたものが精霊の赤ちゃんだとわかった瞬間、なんだかものすごく愛着が湧いてきた。

 それに連動して私のほっぺたがふにゃふにゃになってしまっているのがわかります。


「ふへへ……君、かわいいねぇ」


 落とさないように気を付けながら親指でつんつんしてみる。

 すると精霊の赤ちゃんから小さな触角みたいなのが二本出てきて、私の親指を掴んだ。


「びゃ!」


 小さな触角――いや、違う。これは手だ。

 その二つの小さな手でぎゅっと私の親指を握る小さな命を感じた瞬間、私の保護欲が爆発した。

 ついでに眠気もどっかに吹き飛んでいきました。


 この子は私が守る!


「……大丈夫かお嬢。変な声出てるぞ」

「しょんなことよりカイル。見て、ホラ。赤ちゃんがわたしの指掴んでゆ……!」


 カイルに見やすいようにそっと手を差し出すと、カイルが私の手を覗き込んでくる。


「……ほんとだ。こうやって見ると案外かわいいな」

「でへへ。でしょ」

「なぁフェル。ちっこいのとちっこいのが戯れてるのを見てるとさ、癒されると思わないか」

「……悪くはないな」

「う?」


 そんな保護者二人の会話が聞こえたので顔を上げる。

 正直、ガルラさんの言葉には同意できる。

 小っちゃい子が戯れてるの見るとほんわかするよね。


 でもその対象に私が入っているとなるとちょっと疑問が残ります。


 とはいえ私の保護者達は過保護かつ親馬鹿が入っているので()もありなん、ですかね。

 悪魔合体させて親馬鹿()保護者。なんちゃって。いやなに考えてんだろ私。


 脳内でセルフ突っ込みをしていたら、顔を上げた先にいたフェルトス様と目が合った。

 変な事を考えていたのもあり、ちょっと気まずい。


 なのでとりあえず誤魔化すように、にっこりと笑っておきました。

 秘儀、困ったら笑っとけ、です。


 あ、フェルトス様も笑ってくれた。嬉しい。


「さて、思った通り貴様らの相性も問題なさそうだ。ならばいよいよ契約に移るぞ」

「あ、あい!」


 フェルトス様の言葉に気合を入れ直し真面目な顔を作る。

 そんな私に釣られたのか、手の上の精霊ちゃんもキリっと佇まいを直した……ように見えた。

 気のせいかもしれないけど。


 一応使い魔との契約の仕方はカイルを誘うときに教えてもらった。

 だけど実践は初めてだから緊張します。


 そんな緊張と真面目な気持ちが入り混じった感情が顔に出ていたのか、私の顔を見たフェルトス様とガルラさんから小さな笑い声が聞こえてきた。

 そんなに面白い顔してましたかね、まったく失礼な。


「むー」

「そう怒るな。貴様の顔が面白いのが悪い」

「なんかオマエのあの顔笑えるんだよ。悪かったって」

「えっと……どんな顔でもお嬢はかわいいぞ」


 ふっ……私の味方はカイルだけだよ。


 そして二人の笑いも収まり、落ち着きを取り戻してからフェルトス様が話し始めた。


「今からするのは貴様ら二人の使い魔契約だ。以前やり方は説明したと思うが……念のためオレの言う通りに行動しろ」

「あい」


 思うが、の後に私の顔を見たフェルトス様が微妙な間を開け言葉を付け足した。

 どうやら私が内容を一部忘れちゃってるのに気付かれたらしい。さすがはフェルトス様だ。

 でもどうしてわかったのだろう。


「その前に……そのままだとやりにくいだろう。まずはその幼体を地面に置け」

「あい!」


 言われた通りに精霊ちゃんをそっと地面に降ろす。

 手を地面に近付けると自分からぴょんと跳ねて降りてくれた。なんとかわいいんでしょう。


 一度精霊ちゃんの頭部分と思われる場所を撫でる。

 すると嬉しそうにぽよぽよ跳ねる仕草をみせた。

 私に愛しさゲージというものがあったのなら、きっと振り切れてるんじゃないでしょうか。そんな勢いです。


「さて、メイよ。その幼体の名は考えてきたか?」

「えっと……」


 昨日、使い魔の話が出た時に名前を考えておくように言われてたんだけど、実はまだ決まってなかったりする。

 いろいろ考えてはみたんだけど、どれもしっくりこなかったんだよね。


 昨日の時点でどんな子が来てくれるのかわからなかったし、イメージがしにくかった。

 それに、やっぱり名前っていう大事なものは、実際に会ってから決めたかったっていうのもある。


 なのでその事をきちんとフェルトス様へと伝えた。


「そうか。ならば少し時間をやるから今考えろ」

「はーい。あ、フェル様。この子って男の子ですか? それとも女の子ですか?」

「どちらでもない。成長すればどちらかになるかもしれんし、ならんかもしれん」

「はぇ……なるほどぉ」


 私はしゃがみこみ精霊ちゃんと視線を――目がどこにあるかわかんないけど、なんとなくで――合わせる。


 成長してから男女が決まるかもしれないならどちらかに偏った名前を付けるのは可哀想かな?

 どっちでも通用しそうな名前を考えるって手もあるけど……うーん、どうしよう。


「君は、かっこいい名前とかわいい名前。もしくは中性的な名前。この中ならどれがいい?」


 ここは本人に聞くのが一番ということで、直接精霊ちゃんに聞いてみた。

 でも反応が鈍かったので、もう一度聞き取りやすいようにゆっくり言い直す。

 すると、かっこいい名前と言ったときに反応があったので、この子の名前はこの方向で考えることにした。


 さてさて。どうしようかな。

 闇の精霊だから……ヤミー? 安直すぎるし美味しそうな感じが出てしまうので却下。

 他の特徴は、真っ黒……ダーク……なんか違う。フェルトス様の影から出てきたから……シャドー……さっきから安直に考えすぎか。

 でも捻った名前っていっても私には難しいし――そうだ!


「シドー! 君の名前はシドー! どうかな?」


 シャドーから小さいヤを取ってシドー。

 かっこいいし、なかなかいいんじゃないでしょうか!


 私がそう聞くと精霊ちゃんは嬉しそうにぽよんぽよんと跳ねた。

 どうやら気に入ってくれたみたいだ。良かった。


「決まったな。では今度こそ契約に入るぞ」

「はい!」


 この子の名前が決まったところでようやく本番です。

 ここで契約失敗するのも恥ずかしいので、気合を入れて頑張ります。むんっ!

この新章を書いている間に注目度ランキングというのに乗ったらしく、信じられないくらいブクマと評価が増えてました。本当にありがとうございます!嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ