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第49話 穏やかな学院生活 前編

 魔法学院の入学式まで、あっという間に過ぎていった。

 入学手続きと平行して魔力吸収(マジック・ドレイン)の仕事を行い、毎日が慌ただしかったものの、ベルナルド様はできる限り私の傍に居てくれた。

 時々、稽古やマクヴェイ公爵(お義父様)の手伝いなどがある時は、専属の侍女であるサリーとエリナーか、ベアト様やアイリス様と一緒になるようスケジュールを調整してくれた。


(過保護すぎでは……?)


 日に日にベルナルド様の溺愛と過保護度合いに、拍車がかかる。

 アイリス様とベアト様とのお茶会の時は必ず迎えに来てくれるし、屋敷に戻ったら真っ先に私の部屋を訪ねてくれるのだ。それも抱擁はもちろん、キスも増えてきた。

 周りに人が居てもお構いなし。

 羞恥心と嬉しさで胸がいっぱいになる。


 しかもそれは屋敷内だけに留まらず、魔法学院に入学しても発揮された。

 同じ馬車から降りて、手を繋いで校舎に向かう。

 入学当初から「あの氷の貴公子に何があった!?」とベルナルド様の同学年の生徒にはもちろん、全学年に広まり、私に注目が集まった。

 もっともベルナルド様だけでなく、公爵令嬢のベアト様と、聖女アイリス様と親しげなのも話題になった。

 入学当初から好奇の視線を向けられたが、アイリス様、ベアト様が同じクラスだったこともあり、学院生活は順風満帆の出だしといえた。


(憧れのディフラの学院生活! しかもこの学校の水色の制服、すごく可愛いのよね。魔法の国アリスッぽい水色と白の制服に、リボンが学年によって違う。一年は紺、二年は黒、三年は赤。男子は軍服に近い藍色でネクタイの色が違う。……ベルナルド様の学生服、毎日見ているけれど、やっぱり素敵……)

「シャル。今日は仕事がないから、帰りにデートでもするか?」

「え、本当ですか!?」

「ああ。ずっと延期していただろう」

「楽しみです!」


 ベルナルド様は最初に出会ったときよりも背が伸び、髪も一つに結っていて顔立ちもより大人っぽくなった。ゲームシナリオで見たベルナルド様に近いけれど、私に向ける顔は凍てついた眼差しでも、無表情でもなく、とても柔らかい。


「今日は《オレオルの森》で薬草の採取があるだろうから、万が一、獣や魔獣に遭遇したらアイリスとベアトを壁にして全力で逃げろ」

「ベルナルド様。友人を捨てて逃げろなんて駄目です!」

「……そうだな、言い方を間違えた。お前は戦力ならないので、戦略的撤退ため全力で逃げろ」

「うっ(戦力外。間違ってないけれど……)」


 確かに私の戦闘能力はゼロ、いやマイナスに近い。

 ベルナルド様の稽古を見て私も剣術を習おうとしたが、全く駄目だった。せめて護身術はと思って稽古をしてみたのだけれど、長年闘病生活もあったせいか、日常生活以外の激しい運動などは、肉体の負荷がかかってダメらしい。

 そんな事情もありベルナルド様、マクヴェイ公爵家全体的が私に対して過保護になったのだろう。


「それと念のためこれも付けていけ」

「え」


 そう言ってベルナルド様はポケットから黒耀の宝石の付いたネックレスを取り出し、私の首にかける。どう見ても高価なもので、宝石には魔法陣が描かれすぐに魔導具だとわかった。


「ベルナルド様、こんな高価なものは」

「駄々をこねるとその口を塞ぐぞ」

「なっ!?」

「まあ、朝からラブラブですわね」

「聞いていた通りだな」


 私たちの会話に入って来たのは、アルバート殿下と婚約者のベアト様だ。お二人とも一緒の馬車で登校したらしい。ゲームの画面で見たとおりの二人の装いに、感動してしまう。


 アルバート殿下は金髪緋色の瞳で、外見は完璧な王子様という感じだ。これは世の令嬢が放っておかないのだろうが、彼はすでにベアト様に激ラブなので他の令嬢など眼中にない。なんならその辺に転がっている路傍の石程度の認識だろう。


「ベアト様、アルバート殿下、おはようございます」

「ああ、おはよう」


 笑顔まで爽やかで、王子様の雰囲気を保ったままだ。ベルナルド様が常に無表情なら、彼は笑顔を貼り付けている。それが王家で魔力暴走を封じるために取った方法なのだろう。


(まあ、そのあたりはアルバートルートの設定通りだけれど、彼を支え続けたベアト様と結ばれるのは嬉しい)

「シャル、おはよう。教室まで一緒に行きましょう」

「はい! それではアルバート殿下、失礼します」

「ああ」

「シャル、では放課後に」

「はい。……ベルナルド様、ネックレスありがとうございます」


 また放課後にベルナルド様に会えると思うと、胸がポカポカと暖かくなる。

 入学当初、お昼休みになってすぐ教室にベルナルド様が訪れたときは、場が騒然としたものだった。それが一ヶ月も続けば日常化するようで、クラスメイトからは生暖かい視線を向けられることが増えたと思う。ベルナルド様に向けられる視線も印象が変わったのか、『氷の貴公子』と揶揄(やゆ)される声も少なくなったと聞く。

お読みいただきありがとうございました(о´∀`о)

最終話まで毎日更新していきます。お楽しみいただけると幸いです。

次回は明日更新予定です。


下記にある【☆☆☆☆☆】の評価・ブクマ・イイネもありがとうございます。

感想・レビューも励みになります。ありがとうございます(ノ*>∀<)ノ♡嬉しいです!

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