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UNDEAD HUNTER  作者: Navajo
第二章 新世界の幕開け
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第二十一話 怒った思い出





 夕方、マキノはどこから調達したのか分からない、古いライトバンに乗って帰ってきた。

 

 ミノルはシャツと短パンの姿でアパートの中に詰め込んだ物資を整理し終え、夕食にと白菜と大根と既製品を使ったチムチ鍋を作っていた。


 マキノはミノルの頬のケガの治療行為を確認し、痣のできた右肩と右のふとももに骨折がないことを確認すると湿布を貼らせた。

 

 そんな中、ミノルはリコにゾンビのことを伝えたと告げる。

 マキノは何も追求せず、銃や刃物がこの台所のあるリビングにしか無いことを確認し、夕食に誘うために寝室に向かった。

 ノックしても返事はなく、部屋を開けるとベッドにうずくまり眠る少女。

 

 この晩、ミノルとマキノは二人だけで食事を取った。

 

 リコは翌日になっても部屋から出てこなかった。

 トイレに行くときは出てきたが、それ以外は部屋にこもった。

 

 そのトイレに行くタイミングで、ミノルは食べ物と飲み物をリコに渡して部屋で食えと言った。


 お盆にはポカリとプロテイン。


 熱せられた小さな土鍋の中に昨夜のキムチ鍋の残りと、コンビーフとご飯が載っている。

 さらにチョコクッキーが添えられていた。


 ミノルは、「そのプロテインは高級品だから残さず飲め」と命じた。

 

 不満げにお盆を受け取ったリコは部屋に戻る。

 

 ベッドに座ったリコは、お腹が減っていたのでキムチ鍋を食べた。


 一口でブフッっと吹き出した。


 激辛だった。

 辛いというレベルではないくらい辛い。

 

 リコは怒りが爆発したが、しかし怒鳴りに行くのは嫌だったので、ヤケになってご飯と一緒にキムチ鍋を食べた。


 でも辛い。

 恐ろしく辛い。

 けれども具だくさんの野菜と、干し貝柱と肉の旨味がある。


 味は良い。香辛料と漢方のような香りで中身はよく分からないが、食べられる。

 

 しかしあまりに辛いので、リコは缶詰のコンビーフを鍋の中に投入してよく混ぜた。

 すると油分のおかげでいくらか辛味がマイルドになった。


 それでもエライ辛い。

 

 リコはヤケクソ気味になってご飯とコンビーフ入りのキムチ鍋を平らげた。


 真っ赤なスープも全部飲み干してやった。

 

 吹き出る汗。


 残った辛味と塩分を洗い流すためにミルク色のプロテインの入ったコップを手にして、一気に飲み干す。


 それでも汗がとめどなく出てくる。

 

 リコは食事をしただけでクタクタになり、またベッドに横になって汗をかきながら休み、いつの間にか眠ってしまった。

 

 どれくらい眠ったのだろうか。


 リコはなにかの物音で目を覚ました。


 体中が寝汗でぐっしょりする。

 

 物音はサイレンだろうか? なにか管楽器のラッパのような音がした。


 小さくも、ぷー、ぷーとする音。


 布団の中から。

 

 リコは気が付き、一気に覚醒した。


 それは自分のオナラの音だ。


 ぷひ~~~っと、今まで出たことがないような止めどない放屁。

 

 なんか臭い。自分のオナラの臭いでは無い。


 リコは、ハァーっと息を吐くとそのニオイを嗅いだ。


 ものすごいニンニクの香り。

 

 

 「……なにこれ」

 

 

 お腹の中に何かが居るかのように、胃腸がグルグルする。


 ぷーぷーとオナラが漏れ続ける。


 リコはお尻に力を入れて部屋を出るとトイレに向かった。

 

 便座に座ると同時に健康的なお通じが出る。

 のかと思ったが、それよりも先にオナラが出た。


 ぷぅぅぅうぅぅぅ~~~~~~~~~~……ぅぅぅううぅぅ~

 

 しかし大量に。


 リコはトイレの中にいるのに音が外に聞こえているかと思い、顔を真赤にして止まらないオナラを出し続けた。

 

 止まらない。


 なんか遠くでゲラゲラ笑い声が聞こえる。

 

 オナラが止まると便が出た。

 やたらと臭う便で、たくさん出た。

 

 便が出るとまたオナラが出た。

 

 ぷしゅ~~~ぷっぷぅぅ~~……~~うっ……

 

 もう腸の中から何も出せないと思うほど出し尽くした。

 

 性も根も尽き果てた。

 

 リコは後始末をすると水洗トイレを流し、トイレの窓を開け、貯水タンクを開けて隣の風呂場に用意されたバケツの水を貯水タンクの中に流し込む。

 そして洗面台に用意された洗面器に手洗い用に用意された水を入れて手を洗い、備え付けのタオルで手を拭いた。

 

 リコはドスドスと足音を立ててダイニングキッチンに怒鳴り込んだ。

 

 

 「ちょっとぉぉ!! ミノルくん!!! あれ何よ!!!?」

 

 「アッハッハッハッハハッハッハッハッハッハ!!!!」

 

 「……リコちゃん、来ないほうが良いよ……」

 

 ぷぅぅぅぅ~~~~~~~~~

 

 「う、くっさ!!」

 

 

 リコは顔を真赤にして怒りながら部屋にこもったニオイに顔をしかめた。

 

 ミノルはリビングで椅子に座って笑っており、マキノは床に敷いた布団の上で横になりながらオナラをしている。

 

 部屋の中には、おならのニオイ以上にニンニクとニラ、漢方薬とキムチの香辛料の香りがこもっている。

 

 窓は少し開けられているが、部屋に染み付いたようなニンニクと香辛料の香りは全く取れていない。

 

 

 「美味かったろ、あれ?」

 

 「味じゃないの! お、お、おな、おなぁぁぁ~~!!?」



 オナラ、と最後まで言えないリコは絶叫した。


 

 「オナラが止まらないんだよ……」 ぷーっと、オナラをしながらマキノがリコの代わりに言った。

 

 

 ぶーっ、と一発屁をこきながらミノルは言った。

 

 

 「風邪引いたときに食べると一発で治る薬膳キムチ鍋だぜ? 職場にいた韓国人が作ってくれたんだけどよ、いや~、すげーのよ。これ。マジで。今回はミノルスペシャルでニンニクと唐辛子マシマシにして、そいつから貰った漢方の残りも全部ぶっこんだわ」

 

 「だ、だからって!! 女の子に、こんなもの食べさせて!! あッ!?」

 

 

 リコは怒りまくっていたが、話の途中で部屋から出て行き寝室に走って戻ってしまった。

 

 

 「ありゃ、まだ屁が出るんだな」

 

 「ミノルくん……これ、漢方って何が入ってるの?」

 

 「いや、よく分かんないっす。なんか木の破片みたいなのや謎の粉末やクズがいっぱい詰まってる袋を貰ったんですよ。それとゴボウとかの野菜とニンニクと生姜と、既製品のキムチ鍋の素と唐辛子。後はなんか適当です」

 

 「元気になったけど、二日もおんなじの食べる羽目になって、オナラが止まらないよ……本当に……」

 

 「まだ残ってますから食べましょうよ」

 

 「もう僕はいいよ……」ぶぅ

 

 「こんなに盛大に屁をこける飯なんかなかなか無いっすよ?」

 

 「もう十分です……」 ぷぅー

 

 「ハッハッハッハッ!! 屁で返事してる!!」 ぶー!

 

 

 リコはこの日一日部屋から出てこなかった。

 

 

 


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