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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: 夏楽ニャン子

怖い夢

タッタッタッ

早く、早く逃げなきゃ!私は今ひたすら走り逃げ続けていた。

誰かの家の庭に入り、近くにあった木蓮の影に隠れる。

一体どうしてこんなことになってしまったのだろうか…。


あれは確か今から少し前…




「ただいま~!ってあれ?」

学校から家に帰った私はランドセルを置いて中に入った。テーブルにはお母さんがいつも用意してくれているおやつがある筈…だが今日はない。

お母さんもお父さんも早めに帰ってくるって言ってたし弟も1年生だから5時間授業で居る筈なのに室内は静まり帰っている。

私は時計に目をやった、午後4時35分…少なくとも弟は絶対帰ってる時間だ。部屋を見てみるとランドセル置き場にはやはり弟の青いランドセルがあった。

玄関にも弟は勿論、両親の靴もある。


「もう!どこにいるの~?」

声をだし皆を呼ぶが返事はない。リビング・お風呂場・寝室・子供部屋…どこにも居なかった。…あと見てないのは…

私はクローゼットに目をやった、とても三人入れる場所ではないがもしかしたら隠れて脅かそうとしてるのかもしれないと思ったからだ。

警戒しつつ扉をギィッと開ける。


途端に生臭いにおいが鼻をつき

私の視界は真っ赤になった。




「!!イヤァァァアア!!」

大声で悲鳴をあげ腰を抜かした。

私の目の前には下半身を切断され臓物をぶら下げ血にまみれ乱暴に押し込まれた家族3人の遺体があったからだ…。

目をカッと見開き口や切断面からは止めどなく血が滴り落ちている。状況が理解できず硬直していると一番上にあったお父さんの体がグラリとゆれドチャ

ッと音をたて床に落ちた…。

「うっ…」

猛烈な吐き気に襲われた為トイレに行こうとやっとの事で立ち上がった。

…同時に俯せのまま床に落ちたお父さんの遺体の指がピクリと動いた。

私は驚きの余り吐き気もふっとび今度は恐怖が全身を駆け巡った。

グチャ…グチィ…ビチャ…

と鈍い音がしお父さんの首がゆっくりと此方を向いたかと思うと腕だけで私に向かって動き出した。

「!!ぎゃぁぁぁあああッッ!!」

あまりの恐ろしさに私は絶叫をあげ全力でにげた。お父さんだったソレは無表情で私をずっと追いかけてくる!するとお母さんと弟も続けて動き出し一緒に私を追いかけてきた。

勢いよく扉を開け外へと逃げた私は辺りの様子に違和感を覚えた。

-車も走っていない

-人影見当たらない

…ゾクリと悪寒が走る。

するとガサリと聞こえた為私は音の方向を見た。

明らかに家族と同じような下半身を切断された誰かがそこには居る。見渡せば歩道・道路に迄ソレは居てズルリズルリと蠢き、もう化物達で溢れていた。


私は夢中で走った。少しでも化物から離れるために…そして今に至る…



ハァと溜め息をつき呼吸を整え、なぜあんな状態で動いてるのか?なんで私の家族まであんな変わり果てた姿になってしまったのか?これは何処まで被害が広がっているのか?…疑問は沢山浮かぶものの何一つ理解も出来ず、答えも見つからない…。


「とりあえずどこか安心して休める場所にいこう。」


しかしこの数秒後私は自らの行いを激しく後悔した。


ズルリとナニかが動く音に私は気づけなかった。


…だがもう遅い、

木陰から私の体は出てしまっていた。


腸から汚物や血液を巻き散らかしながらソレは私に向かって飛び掛かる…目の前は顎の外れた大きな口と血塗れの歯や舌が見える…




「ああぁあっっ!」

自分の叫び声で目が覚めた。

パジャマは汗ビッショリだった。

「…夢?良かった…夢だったんだ。」

ベッドから起き上がりまだバクバクいう心臓を落ち着かせながら下に降りる。

「おはよう」

お母さんはいつものように朝食を作っている。

「俺は今日会社から早めに帰ってくるからね。いってきまーす!」

お父さんがそう言いながら鞄を持ち足早に玄関から出ていくのも見えた。

「姉ちゃんおはよ~。」

眠たそうに起きてきた弟は顔を洗いに洗面所に向かっていった。

…いつも通りの日常だ。

私は胸を撫で下ろし朝食の席につく。


「いってきまーす!!」

弟と元気に学校へと向かい仲の良い友達と遊び授業をうけてるうちに夢の事も気にならなくなっていった。

下校時刻を迎え私は皆と帰り道で別れた後家の扉にてをかける。




「ただいま~!ってあれ?」

学校から家に帰った私はランドセルを置いて中に入った。テーブルにはお母さんがいつも用意してくれているおやつがある筈…だが今日はない。


「…え…まさか。」

時計は午後4時35分だ。

背筋はスッーと冷たくなっていくのを感じた。








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― 新着の感想 ―
[良い点] 既視感を覚える状況なだけで正夢になってほしくない。と、そんなふうに思えた短いながらもかなりゾッとする展開が印象に残った作品でした。 現在かどうかはさておいて、子供の頃家族が不在で若干違和感…
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