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1980年松本スケッチ ~元・信大生の追懐録~  作者: こまくさ
第1章 1980年松本スケッチ
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松本城

 日本の都市伝説というジャンルの()()()は1970年代の『口裂け女』らしい。

 都市伝説は、出処が曖昧な、信憑性があるようなないような、でも、知らないふりをするには気にかかる事象。いや、事象ではなく、作り話、怪談。今風に言えばネタという扱いになるのだろうか。



 都市伝説に分類される話は、必ずと言っていいほど「友達から聞いた話なんだけど…」で始まる。きっとその友達も、誰か別の友達から聞いたに違いなく、自分たちの生活圏から少しだけ離れたところで起こった話としてまことしやかに口承され誇張されていく。



 信州大に入学してから、松本に蔓延した怪しげな都市伝説的な話を聞かされた。

  ~~三才山トンネルで、猛スピードで走る老婆が笑いながら車を追い越す。

  ~~四柱神社に参拝後、女鳥羽川の手前で境内を振り返ると願いが叶わない。

  ~~松本PARCOは、夜誰もいなくなると複数のうめき声が聞こえる。(うめき声を聞いたのは誰なんだと、ツッコミたくなったのは秘密だ)



 思春期の男女 ――大学生はすでに思春期を越えているのだろうか?―― にとっては、恋にまつわる都市伝説的噂話も注目の的だ。

  ~~城東2丁目の交差点(南東角にSPARというスーパーがあった)で告白すると結ばれる。

  ~~つきあい始めて1ヵ月以内に市外でデートしたカップルは別れる。 

  ~~松本城の天守閣に登ったカップルは別れる。

  ~~松本城の赤い橋を渡ったカップルは別れる。

 高校生の頃にもお城やボートにまつわる噂は後を絶たず、大阪城でデートすると破局するなどといった都市伝説は多かった。


  

 松本城には在学中に1度だけ行ったことがあるが、それは松本に下宿していたときではなく、その翌年のこと。たまたま取り損ねていた集中講義の単位を取得するために松本に来ていたときだ。

 当時、人気だった歌番組“ザ・ベストテン”のロケがあり、松本城からの生中継があった。しかも、お城をバックに歌うのが松田聖子だという。

 ちょうど「白いパラソル」がヒットしていた頃だ。松本で生中継をすることになったのは、恐らく市民会館でコンサートでもあったのだろう。夕方過ぎから周辺がざわつき始め、夜7時すぎに松本城へ出向いたときにはすでに人、人、人の大混雑で仮説ステージすら見ることができなかった。


 それ以来、在学中に松本城を訪れることはなかったが、卒業して数年後に松本を訪れたときに天守閣に登った。天守閣内の、急で段差の大きい階段に苦労していた彼女は、今も伴侶として共に人生を歩んでくれている。



 長野県には、都市伝説とはちょっと違う、伝説や言い伝えのような話がいろいろある。

  ~~鬼無里、戸隠、戸狩にまたがる、鬼女・紅葉にまつわる伝説。

  ~~天照大神がお隠れになった天岩戸に始まる戸隠山伝説。

  ~~高ボッチ高原にまつわる巨人伝説。

  ~~姥捨山と姥捨ての話。


 日本には山岳信仰が深く根付いている。山深い信濃の地だからこそ、神秘的な話が生まれたのか、それとも、生活の中で人々の結びつきが強いから語り継がれ、現代に残っているのだろうか。


 「長野県には多くの思念が集中しているので、スピリチュアルな現象が起こりやすい」という説もどうやら都市伝説のひとつのようだ。

 

城東2丁目のSPARはその後ファミリーマートに変わりましたが、今はなくなってしまってます。

松本城の赤い橋も今は通行禁止のようです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 松本城、階段が急で、昇るというより、這い上がる、もしくは、よじ登るに近かった記憶があります。 混んでいる時、途中で休憩するわけにもいかず、ほとんど何も見ずに上まで行きました。 お城って、あま…
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