コンビニ
1980年(昭和55年)春
信州大学に入学し、新たな生活が始まった。
少なくとも大学に入るまで、コンビニエンスストアで買い物をした覚えがない。
1980年当時、コンビニエンスストアはまだまだ創成期で、都市部でもまだまだ普及してなかった時代。
松本市にはセブンイレブンが何件か営業してた。松本市といっても主な生活圏は、大学周辺、下宿していたスポーツ橋周辺、先輩や同期が多く住んでいた元町や横田周辺。その他は、パチンコ屋があった上土あたりと飲みに行ってた裏町界隈。
その生活圏内のセブンイレブンは2~3件だったか。セブンイレブン以外のコンビニはあっただろうか。他に買い物をする店は、SPAR、松電ストアといった小さなスーパーマーケットなどがあった。
大学に最も近いセブンイレブンは、大学北門からさらに北に上った追分の交差点付近にあった。たぶん追分店とでもいったのだろう。隣は松電ストアだった。
追分店は、文字通り朝は7時に開店し、夜は11時に閉まっていた。というか、24時間営業していた店はなかったと思う。最長営業は横田店で、それでも午前0時か1時には閉店するので、時間間際に駆けつけて買い物することもあった。
追分店には週刊マンガ雑誌を立ち読みしにいくことが多かった。
当時は週刊少年ジャンプに『Dr.スランプ』が連載されていたのを覚えている。『んちゃ!』のやつだ。
それともうひとつ。この店限定で販売されていた「学生天丼」という弁当をよく買った。
「学生天丼」とは、ごはんに天かすだけの天ぷらを乗せて天つゆをかけただけ代物。ちょっと前にローソンが「悪魔のおにぎり」という名称で発売して話題になったものと同様なのだが、「悪魔のおにぎり」のほうがはるかにクオリティーが高い。
ペラペラの惣菜パックみたいな容器に収まって、ポリラップでくるまれていた。レンジで温めてもらって、さあ食べようとポリラップをめくると油が染み出てべとべとだった。よく胸やけしなかったものだ。
値段は確か150円。貧乏学生の味方だった。