第2話 洗礼
洗礼を受ける日になった。
「ノエル様、お出かけの準備はよろしいですか?」
「もちろんだよ」
メイドが来たので、僕は階段を降り、父上が待つ門にむかった。
「すいません。待たせてしまいましたか?」
「大丈夫だ。それより、その服良く似合ってて可愛いぞ。ノエルはマリアの小さい頃に良く似ているな」
「ありがとうございます」
(何だろう。元男なのに可愛いと言われると少し嬉しいような…ヤバい。心まで女子になってきているっ!)
僕は女子になりかけている心と葛藤しながら馬車に乗り、教会へ向かうのだった。
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「ここが教会かあ~」
僕は目の前の巨大な建物に驚き、感嘆の声を漏らした。
「すごいだろう。この教会はうちの領の中で最も大きな教会だからな」
と話していると、教会の中から修道服を着た司祭と思われる老人が出てきた。
「アレクトゥル侯爵様、次女様。ようこそ教会へ」
「出迎えありがとう、司祭殿。早速洗礼を受けたいのだが」
「祭壇の準備は整っております。どうぞこちらへ」
司祭に連れられ、僕と父上は祭壇のある部屋に向かった。
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「次女様、こちらでお祈り下さい」
「あの、ぼ、私作法を知らないのですけど…」
「大丈夫ですよ。作法なんて関係ありません。大事なのはちゃんと神様に向かって祈ることです」
司祭もそう言うので僕は片膝をついて手を天にかかげて祈った。
(頭にステータスとスキルが浮かんでくる……
《個体名》 ノエル・ローズフェルト
《種族名》 人族 《レベル》1
《HP》 150/150
《MP》 200/200
《SP》 50
《称号》『転生者 』『5つ持ち』『僕っ娘』
《スキル》
『鑑定の魔眼』 『隠蔽』『SP倍化』
『暗殺術』『影魔法』
《加護》
『創造神の加護』
『隠密神の加護』
うん?何か頼んでいたのと違うな。
てか何でこんなに暗殺に特化してそうなものが多いんでしょうかねぇ。)
「どうだ。神からスキルは貰えたか、ノエル」
「は、はい。貰えました」
「そうか、それでは今日の夕食の時に皆に見せてくれ」
「分かりました…」
僕は、スキルと加護を見せて良いものなのかと考えていると、父上が重い袋を渡してきた。
中には20枚程の銀貨が入っていた。
「父上、これは…」
「ああ、これから街を見て回るからな。その時気になるものがあったらそれで買ってくれ」
父上から渡された銀貨で何を買おうか考えながら、僕と父上は街へ向かった。