2:因幡鵜鷺 3
この度はぶれいぶすとーりー! 2:因幡鵜鷺 3を読んでいただきありがとうございます!
お久しぶりです!
さっき2の方も投稿しました。そちらもよろしければどうぞ!
あれからさらに一週間。残っていた貢の修復、表紙のへたれや目立つ傷の穴埋め、糊付け等やれることをやった。
もちろん新品同然とまではいかないが、手を尽くせるところまで尽くした。
「作業の方をずっと見させて頂きましたが見事な手前ですね」
「どうも。俺も勉強になりました」
ここまで痛んだ物を修繕するのは始めての事で、力のかけ方とか勉強になることが多かった。
ひとつの区切りが付いたのと、いずれは魔王が復活してしまい人間は滅ぼされてしまうという。それならば座して死を待つより元の世界に帰る方法を探すべきだろう。
あと余力があるならば、あの童話はある種の真実が書かれているもので、そこから因幡の痕跡を辿るのもいいかもしれない。
それにどのみち、ここに留まり続けるつもりはなかったので、旅に出るひとつの方針を得た。
「…俺たちは旅に出掛けようと思います。厄介になりました」
「そうですか。それではいくらか路銀と簡単な旅装備をお渡しいたしましょう」
貴重な技術の見物料とそのお礼です。と付け足してサース・アルドは言った。
孝弘は、いかにも魔術とか使いそうな分厚い生地の暗い灰色のローブとその他肌着やシャツのようなもの、安全靴のように底や甲の部分が厚いブーツ、振りやすく軽い短剣を貰った。
格好だけ見たら魔術士なのだが、なにもできないお荷物状態なので最小限身だけは守れるようにと、短剣を与えられた。
では、誰がもしもの時に戦うのか。
もちろん鵜鷺である。
彼女に戦ってもらって後ろに引っ込むのは、孝弘も男故にいかんともし難い気持ちが溢れるが、しかしどうにもならないので鵜鷺に頼るしかない。
そんな鵜鷺は、かなりの軽装だった。
薄手で白色のゆったり目のワンピースは、胸の大きく空いたデザイン。
胸のすぐした辺りで皮のコルセットを巻いていおり、豊かな双丘が下から支えられ、さらに強調される形になっていた。
コルセットにはいくつか金具がついてて、左右に孝弘の短剣よりは少し長い程度の剣がぶら下げられている。
ブーツは孝弘の物と似たデザインになっているが、孝弘の物に比べウェッジヒール調になっており、普段より身長差が少し縮まっていた。
あとは襟のついたポンチョを羽織り大きく空いた胸元と肩を覆っており、一応剣を握るという事で、人差し指中指を空けた皮の手袋もつけていた。
見た目の総称として、剣とポンチョがなければ、RPGの酒場に居そうな村娘といった装いで、肩周り、足周りに動きを阻害するもの、重く取り回しの効きにくいものはなく、とにかく動きやすさ重視といった具合だ。
孝弘は鵜鷺に対してかなりマメに、なるべく素直に感想を言うようにしている。
新しい服を買えば似合っているとか、かわいいとか似合っているとか感想を伝えるようにはしているがしかし、鵜鷺は何を着てもだいたい似合うので、印象に残りづらかったりもする。
あと、肌の弱い鵜鷺は夏場でも基本的に長袖で生活しており肌の露出はかなり少ない。そのことも相俟ってか、強く印象を残した。
少し顔が熱くなっていることが分かる。
「…まぁそのなんだ?似合ってるよ」
「ぅえへへぇ。ありがとぉ!」
そっぽ向いてぶっきらぼうな言いっ方になってしまっても、それでも自身の容姿を褒められたことが嬉しいと言うのだからよっぽどだと孝弘は普段から思っていた。
あと、相変わらず笑い方が気持ち悪かった。
着替えなどを一式、サース・アルドから孝弘達はもらった。
見送りにと、車椅子のサース・アルドをイルビルが押しながら出てきた。
「旅は良いものです。この老骨もその昔は旅をしておりました。懐かしゅうございます」
「ここから下った町から船が出ています。ここはなにぶん不便な大陸ですから、別の大陸にわたる方がなにかと都合がよろしいかと思います」
「世話になりました。縁がありましたどこかで」
「えぇ。きっとありますよ?よい旅を」
サース・アルドたイルビルに見送られ麓の町へと孝弘と鵜鷺は向かって歩き始めた。
短くも濃い冒険の時を孝弘たちはまだ知らないが、もとの世界へ戻る為に苛烈な旅路を行くのである。
あとがき!どうもなつみんです!
序章終了?みたいな感じの文末に成ってしまいました。
もともとはこのまま鵜鷺の話をすぐに掘り下げようと思ったのですが構成を変更しました。
ので、ここから次の章って感じです
これからトントン拍子に進めれたらなと思います。
世界を巡って知識を集めて、知恵を持って魔王に挑む。
そんな感じに今作が書けたらと思います。
大体20万字程度に成るよう書いていきたい。