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ぶれいぶすとーりー!  作者: なつみん
1現実は小説よりも奇なり?
1/6

1:現実は小説よりも奇なり?1

どうもお久しぶりです。なつみんです。


連載中のぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~ を完成もさせずいいご身分ですね?って感じです。

おもしろく書けないのでなんとかしないとなー、って漠然と考えていたら、気がついたらこちらを書き始めていました。

完全な気分屋ですね。申し訳ありません。

そしてご連絡もせずにこうして急に投稿したので、ぶれいぶすとーりー!2の更新を待っていた方に向け、投稿できずにいるのをここで謝罪させてください。

ごめんなさい。


という訳でまたいつ書けなくなるかわからないので、書けるときに書けるものを書こうと本作を書き始めました。

よろしければぜひ本作もお楽しみください。

  第1章 現実は小説よりも奇なり? 1


「…かちゃん!(たか)ちゃん起きて!電車降り遅れちゃうよ!」

「…!すまん、ありがとう!」

 満員電車のつり革の輪に左手を通し、つり革を握りながら寝ていた。

 輪に通した左手を無理に引っこ抜き、同じ制服に身を包む人たちを追うように慌てて降車する。


「孝ちゃんが電車で寝てる何て珍しいねぇ」

「珍しいもなにも、そもそも普通こんな満員電車でなんて寝れないだろ?」

「それもそだね」

 視線だけでなぜそうなったのか?昨日何があったのか?そういう事を聞いてきているのだろうと、察しがついた。

 文字数の少ない会話で、必要な情報が欠けていても通じる。だてに長く一緒には暮らしていない。


 唐突な自己紹介をするなら、俺は孝ちゃんこと佐藤(さとう)孝弘(たかひろ)

 県内でも屈指の進学校に通うも成績は中の下、とくに部活や生徒会等にも所属していない読書趣味な2年生。

 運動も苦手でも得意でもなく、体育でチーム分けしたときにリーダーがじゃんけんで取り合って行った時に、3、4番目に呼ばれるタイプ。

 イケメンではないけど、崩れた顔をしている分けでもない。身長体重も175センチ64キロと実に中肉中背。

 成績はそこまで良くないが頭の回転とかはいい方。少し手先が器用。人付き合いはそこそこ得意。

 バイト禁止の校則だから、爺さんから受け継いだ古本屋を切り盛りして小銭を稼ぐ自営業。


 普通という科目があったなら、普通ぽくない自営業分が引かれて76点ぐらい。そんな(パーフェクト)(ヒューマン)が俺という人間を現すのにぴったりだと思う。


「…むぅ!」


 投げ掛けた視線に沈黙で返され、熱視線と膨れっ面を向けてくる女の子が因幡(いなば)鵜鷺(うさぎ)

 家がお隣さん同士。所謂幼なじみ。

 県内屈指の進学校で常に成績は常に三本指以内。走ればチーター泳げばカジキって感じ。何をさせもほっとけばトップを取る。

 しかしながら、部活や生徒会の助っ人をする事あれどどこにも所属せず日がな一日を過ごしている。その理由が彼氏と数時間離れるだけで死ぬと、真顔で抜かす始末。

 とてもノブリスオブリージュの精神とは程遠い。まぁ普通の一般家庭出身なんですけどね。


 ここまでなら、ただのちょっと変わってる超人ぐらいなのだが、問題は容姿にあった。

 全体的に緩くウェーブのかかったロングの白髪に、ルビーのように深紅に輝くくりっと大きな目。新雪のようにキメ細やかな白い肌、うっすらとのるそばかすすらも鵜鷺のあどけなさ、可愛さを後押ししている。

 151センチと小柄な癖に自身で『ないすばでぃー』と、言えちゃうほど出るところと引っ込むところがハキハキとした、均整のとれたプロポーションである。

 つまるところ、文武両道とか容姿端麗とか、適当に美辞麗句を並べておけばそれが鵜鷺を現す言葉になる。


 そんな鵜鷺も小さい頃は、何でも出来すぎるがあまり宇宙人と揶揄されていたが、今は誰からも愛される術を知り、誰からも羨望を集めている。

 小さい頃を知っている身としては、むしろ今の方が宇宙人(別時限に住んでいる的な意味で)と言えるかもしれない。


 そんな(パーフェクト)(ヒューマン)(笑)なんかではなく、本物の完全な(パーフェクト)(ヒューマン)鵜鷺だ。


 だが、本物のパーフェクトヒューマンにも残念な部分はある。

 幼なじみである俺が知るところで、兎みたいな見た目のくせして人参が嫌い。ピーマン、ナスも嫌い。賢い癖に言動の節々が妙に賢くない。料理が絶望的に下手。以外と不器用etc.

 挙げていけばきりがない。


 そして、俺以外の人から見た鵜鷺の残念なポイント。

 俺と付き合っていること。ただそれだけに限る。


 鵜鷺ほどの超ハイスペック。欠点なんて存在しないような彼女を狙う男は数知れない。

 そしてそんな高次元な存在が、産まれて物心つく頃には隣にいた俺は、劣等感が心根の奥の奥底までみっちりと植え付けられている。


 ヨリドリミドリ、イロドリミドリの中から鵜鷺はあえて、ミスター凡夫な俺を選んでいるということになる。

 そんなわけだから、俺自身なぜここまで好かれているのか不思議を通り越し、世界七不思議の一個ぐらいの感じまである。


 幼稚園のころ。

「たっくんのお嫁さんになるー!ぶちゅー!」

 小学生のころ。

「孝弘くんと結婚するー!ひし!」

 中学生のころ。

「孝ちゃんのお嫁さんに私はなる!うぃーあー!」


 思い返してもなぜ何てものは出てこない。いつか、なぜ好きなのか問いたことがある。

「愛に理由なんてないのさ!」

 と、いい笑顔で親指をたて抱きつかれた。

 そんな記憶を遡りきれないほど昔から、好意100%の豪速ストレートを受け続けるのと同時に、後ろから自分自身に指を指され続けた。


「…もう!孝ちゃんなんでぇ!何で無視するの!」

「あぁー…。すまんすまん。唐突に人物紹介してた」

「誰に向けて!?」

「まぁいいよ。愛してるよ」

「…!デェヘェヘェ!」

 追加でチョロいのと、整った顔の癖に笑った顔が普通にキモい。


「んでなんだっけ?…あー溜まってた本の修繕してたんだよ」

 古本屋の業務の一個として、手先の器用さを生かして本の修繕なんかも受けている。古本の方も力を入れたいがどうしても月の売り上げ7割ぐらいが修繕の方になってしまっている。

 そして何より、貴重な本をお金を貰って読める。

「孝ちゃん大体修繕3割読書7割だよね…」

「いぐざくとりー…。夢中になっちゃうだよネ!ハハッ!」

 某ネズミの王さまのように甲高く笑い、ポーズをとってやった。


 こんな風に他愛なく登校するのが二人の日常だった。




「おしどり夫婦がご到着だぜ!」

「えへへ!おしどり夫婦なんて、そんな…!まだまだこれからでぇー…!子どもはサッカーチームが作れるくらいでぇー…。きゃ!孝ちゃんのエッチ!」

「ほんとそのネタ飽きないな…」

 絶対クラスに一人はいるお調子者が、いつものように音頭をとる。するとガヤガヤしていた教室は鵜鷺の到着の合図として、より一層喧騒さがます。

 当たり前のように、みんながみんな鵜鷺に挨拶をし話を始める。そして鵜鷺を中心に輪が広がる。


 教室の隅。

「はよー」

「孝ちゃんはよー」

「よっすー」

 俺は俺で、鵜鷺の輪からあぶれる級友と話し始める。こんな風に教室という狭い空間で、二人はたぶん最も離れる。

 鵜鷺には悪いが俺はこういう時間も好きだ。


 予鈴で輪は解散され、ホームルームや授業の間、昼休みに叉再び二人は各々輪を作る。


 帰宅の時までほとんど会話することがないぐらいに、二人は離れる。




 学校であまり会話しない反動が帰宅時に来る。

 今日は右腕に頭や体を擦り付け、抱きつくように歩く。歩きづらいことこの上ないしちょっとうざくすらあるが、剥がすと要求が上がるので黙ってしたいようにさせる。

 中学ぐらいからの一個の習慣として身に付いているからこそ、おんぶとか言い始めないからまだましと、感覚が毒されている事に気付く。


(しかしまぁー、我ながらちょろいなぁー…。好き好き言ってくれる相手を好きになってしまうのも仕方なし。そして恋は盲目。うざくはあるがこれはこれで可愛くて仕方がないのもまた事実)


「…これも惚れた弱みよなぁー…」

 慈しむように鵜鷺のつむじを見ながら、小さく呟く。


 我ながらちょろさを自覚しつつ、しかし顔は緩めずなるべくゆっくり駅へと向かう。

 端から見ればバカップルにバカじゃねーのとか思うけど、気持ちはわからなくもない。好きな相手はより一層可愛く見えるし抱き締めたい。


「そろそろ離れろ」

「もう少しぃー」

 鵜鷺の温もりを惜しみながらも引き剥がす。

 学校自体は閑静な住宅街にポツンと佇むが、もう少しで大きな駅通りに入ってしまう。

 やはり駅通りには学生以外の人通りも多く、二人の事を見慣れているうちの学生ならまだしもそうじゃない人が見たら驚いてしまう。

 というか、いくら見慣れさせたからと言ってもあまり人前ではやめて欲しい。嫌ではないが、とても恥ずかしいのだ。

 そのあたりの微妙な男心を、もう少し分かって貰いたいものである。


 歩く速さや学校から出る時刻、電車の到着出発時刻は、一年も通えば身に付いておりさっと乗車する。

 いつもしているように、鵜鷺を席に座らせその前に陣取るように立つ。やはり電車のように不特定多数の視線に晒される環境だと鵜鷺は目立つ。

 そして時には不快な視線に晒されるかもしれないとかそういう事を考えている時期があったら、自然とこういう形になった。

 電車にことこと30分ほど揺られ、最寄り駅へと到着した。

 

 最寄り駅からは歩いて4,5分の好立地。

 そして駅から見ると、古書店兼爺さん宅、自宅、鵜鷺宅と並んでいる。

 そして最近はもっぱら鵜鷺共々爺さん宅で寝ることが多い。

 仕事の方が順調で依頼が多いことはいいことだが、どうしても夜遅くまで作業せざる負えない時がありそのまま泊まったりする。

 そういう時は爺さんが気を効かせてくれて、鵜鷺と父と爺さんと四人で食卓を囲む。


 幼い頃に父と母は離婚しているし、鵜鷺の父母は海外に長いこと出ており時々しか帰ってこない。

 家庭の環境とか相まって自然と今のようになった。




「ご注文だった修繕が完了致しました!…はい!…はい!お待ちしております」

 可愛い女の子が電話や接客をする方が華があるという事で、鵜鷺が主に電話対応とかしてくれる。


 今日中に受取にいらっしゃるようなので、返却の用意や領主や会計の準備、修繕内容の説明等以外と事前準備に時間がかかる。

 とくに今回のお客はご贔屓にしてくださってるご老人で、どういう技術で修繕したとかそういう話が好きな方である。

 ご贔屓にしてくださってるうえにこちらの提示額に色をつけてくださることもある。

 そんな方なので、否応なしに丁寧な接客を心がけるようになっていた。


 一つ修繕の依頼を受けたり古本を売ったり、鵜鷺は近所のおばちゃん達と井戸端会議会議をしたりで19時頃、件のご老人がいらっしゃった。

「あぁ、孝弘くんいつもすまないね」

「いえ、こちらこそご贔屓にしていただいて」

 いつもの通過儀礼のようなお決まりの挨拶から話し込むのだが、今回はいつもとは違った。

「…急ですまないが孝弘くん、この本を治してくれないか」

 普段ならば短くても2週間とか、基本は1ヶ月ぐらいのインターバルで本を持ってくるのだが、今回は修繕の完了と同時に新しいものを持ってきた。

「あと私もこれから少し忙しくなるので、この修繕はゆっくりで構わないのと今からすぐに東京の方に向かう」

 本を受けとるや否や、今回の報酬と言って万札を10数枚置いて連れの黒服を急かすように出ていった。


「おじいちゃんどしたの?」

「さぁ?いかんせんあのご老人があんな風に忙しなくしてるのを初めて見たからな」

 外でおばちゃん達と井戸端会議に花を咲かせていた鵜鷺が戻ってきた。

 やはり外から見ても慌てて出ていったように見えたようだ。


 残ったのは新たな修繕の本と余分に貰いすぎた金だけだった。

「きれいな函だね。見るからにこれが高そう」

「やめなさい」

 親指と人差し指でお金のマークを作っていたので軽く叱っておく。

「たしかにな。函から取り出して判るが表紙や裏表紙、背に至るまでかなりいい皮っぽいぞ?それに修繕してくれと言われたがかなり保存状態もいいみたいだ」


 何はともあれ、一度開けてみないことには修繕の目処も立たない。

「…?」

 おかしなことにペラペラめくってみても痛みは愚かシミ一つないほど綺麗なものだった。

 それどころか、

「空白…?」

 どのページにも開いた形跡どころか、肝心の内容すらも載っていなかった。


 本を捲り続けていると、突然目の前が光に包まれた。

「…きゃ!」

「…のわ!」


 ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー


 目の前が眩み二人は目を閉じた。

 次に開けたときには、青々としてどこまでも続いていると錯覚しそうなほどの草原と、透き通るように高くどおまでも青い空。

 そしてそしてそんな光景には少し不釣り合いな生暖かく強い風。

 後ろからの風の勢いが強いのか、ぼふぅと音が聞こえるほどだった。


 そしてその風を産んでいたのは、

「ドラゴン…?」

 鈍色のトカゲ顔がこちらを向き、大きな体を丸め翼を畳み犬のよう眠っていた。

 ぼふぅ、っと再び、今度は正面から荒く生暖かい()()()()()()()()鼻息を食らった。


「うっわ!なにこれぇ!」

 孝弘があっけらかんとしていると、鵜鷺は無警戒にべしべしと面長な口の上辺りを叩いていた。

「お、おい!?なにしてんだ?」

「いやぁー、良くできてるなぁーっ思って?」

 お堅い本からラノベのようなファンタジー小説まで、幅広いジャンルを割と雑食気味に貪る様に読んできた孝弘にとっては、鵜鷺の行動が良くある小説の善くない行動のように思えて仕方がなかった。

 そしてその逆に鵜鷺は小説は愚か、テレビやネット等も一切見ない。今時珍しい過ぎるほどに、情報化社会から切り離された生活をしている。


 だからこそ、ドラゴンを見てもドラゴンと想像もしなければ、なんか大きいぐらいにしか感じていないのだろう。

 案の定というか、


「ゴアァァァア!!」


 鼓膜が破けそうなほどの大咆哮とそれに伴う風圧。

 孝弘は思わず片目を瞑り、両手で耳を塞いだ。


「やっべぇ!逃げるぞ鵜鷺!」

「…えっ?あ、うん?」

 今度はあっけらかんとしている鵜鷺の手を引き走る。

 のそりと起き上がったドラゴンが、追いかけるようにどさどさと走り初めた。


 そんな現実感のないファンタジーに孝弘は思わず悪態をついた。

「現実は小説より奇なりってか!?ふざけろ異世界ファンタジー!」


後書きですよ!後書き!

どうもこんばんはなつみんです。


お久しぶりの方はお久しぶりです。はじめましての方は初めまして。

改めて自己紹介をさせていただくと、ひっそりとネットの隅で暮らしているオタク趣味のおじさんのなつみんです。

今後は書けそうになったら2の方を、書けなかったらこちらを書けるまで投稿しようと思います。

また近日中に投稿できたらと思います。思いだけはあります。

それではまた次回、

現実は小説よりも奇なり?2でお会いしましょう。

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