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9 中流階級

「ひどいわよねぇ」

あ、ニーナがそれ言うんだ。


「カルラは最初泣いてばかりだったけど」

そりゃそうだろうな。そんなことになったら僕だって泣く。ある日突然、全財産を没収されて、高校へも行けずに16時間労働の農場に行くことになったら。

しかも自分のせいじゃなく両親が弟を産んでしまったからなんて。カルラは何も悪くないのに。


「それでも毎日仕事はしないといけないし。それである日カルラは『諦めた』と言った」

カルラに「諦める」以外の選択肢はあったのだろうか?


「でね、カルラは中流階級から下層階級になったけど、その逆はないのかしら?って探したけどそんな方法はなかなか見つからなかった。中流階級から技術者階級とか上流階級になるには奨学金とかもあるけど、下層階級にはそれもないの」

ニーナは「下層階級」と言った。そういう言い方はあんまりされていないと思っていたけど。政府は中流階級を減らして貧民窟の人、下層階級を増やしたいと思っている、と言ったのは青い風の惑星のサニアだったっけ。ニーナの話を聞いているとそれはやっぱり本当のことに思えた。


「そんな時にB計画のことを聞いて、これしかないと思ったの」


「なるほどねえ」

「まあ私が応募するって言ったらみんなにはバカにされたけど。そんなの選ばれるわけないよって」

「でもニーナは諦めなかったんだ。やっぱりすごいよ」

僕はもう1度そう言った。

「運がよかったのよ」

ニーナももう1度そう言って笑う。

「それで高校に行ったら中流階級になれるわけでしょ。カルラに聞いたけど中流階級向けのアパートにはテレビがあるって。それに冬だけじゃなくて年中お湯のシャワーが浴びられて、温めた強化スープを飲めるの。そして1週間に1回は合成ソーセージを食べるのよ」


僕は下層階級の暮らしの重い話にちょっとどんよりしたけど、最後の合成ソーセージのに話はちょっとだけ救われた気がした。合成ソーセージぐらい食べたいよね。


「遅くなっちゃったね。シャワーを浴びてくる?」

話題を変えるように僕は言った。

「え、いや、ジェイミィが先に浴びて」

とニーナは言ったけど、

「こういうのは女の子が先と決まってるんだよ」

と押し切った。

「そうなの?」

と言いながらもニーナは素直にタオルとパジャマを抱えてシャワールームに向かう。それを見ながら、ニーナはやっぱりかわいいな、と思っていたら。


「キャーッ!」

シャワールームから悲鳴が聞こえた。

ドアが閉まってすぐだったからまだ脱いでないよね?いやそんなことより。


シャワールームへ続く脱衣所のドアを開けたら、そこにはシャワールームのドアを開けっ放しにしてへたりこんだニーナがいた。


「あれ、なに?」

ニーナが指さすところ、かなり広いシャワールームの突き当りの壁ぎわにデデンとそれが鎮座していた。

「棺桶!?」

ご無沙汰です

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