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6 名前の秘密

コテージに荷物の入ったバスケットを置いて中を確認する。

僕は「うん、前回と同じだ」と思っただけだけれど、彼女はいちいち声を上げて感動していた。

「うわぁ、ノート!新しい鉛筆!」

僕はそれを横目で見ながら「ちょっとコーラを入れてくるよ。何か飲みたいものはある?」と聞くと

「私も行くわ」と言うので一緒に食堂に向かう。外に出ると空はまだ鮮やかなオレンジ色の夕焼けが続いていた。


食堂にはもう誰もいなくてガランとしていた。

「これがいつでも好きなときに飲めるなんてすごいわねー」「そうだね」僕たちは笑いあう。


コテージに戻ってソファに落ち着くと、ああ、そうだった、と思い出して

「僕はジェイミィ。君はニーナだっけ?夕食のとき他の女の子と話しているのを聞いたんだ」と何気なく言ったら、彼女は真っ直ぐに僕を見てこう言った。

「本当の名前はニナっていうの」

え。。。


僕は飲もうと思って口元まで持っていったコーラの入ったコップをローテーブルに置いて、そのまま固まってしまった。


ニナ。


それは子音を2つしか持たない罪の名前。子音を2つしか持たない名前は3番目に生まれた子供に付けられる名前だった。

もちろん、法律で決まっているわけではないし、3番目に生まれても3つの子音を持つ名前の人はたくさんいる。

なのにどうしてわざわざそんな名前を付けるのかと、この話を最初に聞いたときはそう思ったものだ。

実際は、子音が2つの名前の人と出会ったことは今までなかったんだけれど。


長い間待ち望んでいた最初の子供に「A」で始まる名前を付ける。これは納得できる話だ。「A」で始まる名前には希望とか期待とかの意味があるから。

青い風の星のリリシャ所長みたいに男の子に女の子みたいな名前を付けるというのも、本人がどう思うかは知らないけれど、親にしたらそれで丈夫に育つと言われたらそういう名前にしたくなるのもわかる。

けれどわざわざ子音が2つの名前を付けるのはどうなのか。。。


「まあ、ニーナと呼ばれているけど」

ニナ、いやニーナはそう言う。

「私、貧民窟出身よ」

「そう。。。よく学力テストに合格できたね」僕はうっかりそう言ってしまった。

でもB計画の参加者を選ぶ最初の学力テストは、中流階級の普通の高校で真ん中ぐらいの成績ならパスすると言われていた。

貧民窟出身なら高校へは行っていないと思うんだけど。


「ああ、あれね。私、国語と歴史は得意なのよ。問題は数学だったけど、答えをイチから書くのではなくマークシートだったでしょ。わからないところは適当に書いたの」

「すごいや!」僕は本心からそう言った。

「運がよかったのよ」とニーナは言うけど。

「それで、参加報酬の500万コインで高校に行きたいの」

「そうか、がんばっているんだね」僕はようやくコーラを飲む。

「ジェイミィは?」と聞かれて

「僕も参加報酬で大学に行きたいと考えてるんだ」言ってしまってから僕はしまった、と思ったけれど

「ということはジェイミィは技術者階級なのね、すごい!」いい感じにニーナが誤解してくれたから、そういうことにしておこうと僕は考える。

父がすでに亡くなったと言えば、技術者階級でも中流階級と同じような暮らしだったということにみんな納得してくれるだろう。

僕は自分の保身を考えていた。


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