4 オレンジの星の雨
休憩が終わると僕たち24人の参加者は3つのグループに分かれてそれぞれ所長とドクターとトリナに付いて施設の中を案内してもらう。
僕はなんとなく苦手意識を持ってしまった所長はさけて、太陽光発電設備が見れるかも、とトリナの後に付いて行った。
この一番大きな建物はやっぱり食堂と呼ばれていて、造りは青い風の星と同じだ。
食堂の南側にコテージが並んでいるのも同じだったけど、コテージの造りは少し違うようだ。
僕は無意識に黄色いカーテンがかかったコテージを探していた。
食堂の東側に洗濯場があるのも同じだ。物干し場は広くてしっかりした屋根が付いている。
だから僕は「ここは雨が降るんですか?」と聞いてみた。
「うん、1日に何度かスコールのような雨が降るよ」そう聞いてちょっと経験してみたくなる。
さらのその東側の畑の広さは青い風の星とほとんど同じだったけど、植えてあるものはだいぶ違うようだ。もっとも僕にわかるのはキャベツぐらいだけれど。
雨の降り方とか気温とかが違うから育つ野菜も違うのだろうか。ここでもやっぱりまだ大豆は実らないんだろうなあ。
そして一番違ったのはここで飼育されている動物だ。鶏はいたけど、豚はいなくて代わりにヤギのつがいがいた。
囲いの中のヤギは人間の姿を見ると近寄ってきて、「メーメー」とヘンな声で鳴いた。
女の子たちは「かわいいー」とかきゃあきゃあ言っているけど、かわいいのか?これ。僕にはさっぱりわからない。
あと、地味に臭いのもイヤだった。
僕たちが敷地内の北側に移動してラボの近くまで来た時、急に空が暗くなって雨が降り始めた。
トリナに付いてきた僕たち参加者はあわててラボに駆け込む。
僕の次にラボに入ってきて、僕にぶつかりそうになった女の子を見て僕は叫ぶところだった。
「エ!」リナじゃなかった。
でも、その明るい髪の色と背格好がエリナにそっくりだった。
「ごめんなさい」そう言って窓のそばで外の雨を見ている少女はよく見るとそんなにエリナに似ているわけではなかったけれど、彼女もかわいい感じで僕はドキドキする。
トリナによるラボの説明が終わって
「まだ雨がやみませんね。もうすぐやむとは思いますが、今の間に今後の予定の話をしましょう」
思い思いにラボの顕微鏡やら本棚を眺めていた参加者たちはその言葉に集中する。
「この後時間があれば太陽光発電の設備を見て、その後食堂に戻って夕食、それから参加者の皆さんは男女でペアになってコテージに移動してもらいます。
相手はあらかじめ決められているわけではありませんので皆さん方で決めてください」
参加者たちの間にざわめきが広がる。
「ペアは28日ごとに変わるよう、パートナーチェンジを行います」
僕は、うん、こういうことはあらかじめ伝えておいて欲しいよなと思いながらも、他の参加者と同じように「えーっ!?」という顔をしておく。
「それから大事な注意点ですが、敷地の外には許可なく出ないように。ここから南に30分ぐらい歩くと海がありますが、海に近づく場合は許可を得て3名以上で行くように。
くれぐれも勝手に抜け出さないでください。明後日には皆で見に行きます」
どうして明日じゃなくて明後日なんだろうと思ったら、この惑星は自転速度が遅く、故郷の惑星の時間で言うと48時間で1回転だ。さすがに人間はそれに対応できずに24時間を1日として生活している。
だからここでは、1日中昼間の日と1日中夜の日が交互にやってくる。
僕は海を見てみたかったし、1日中夜の日にも興味を持った。
早く体験したかったけれど、雨はまだやまない。




