表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/43

28 ファリィ

もやの正体はわからないままだけど、この惑星はゆっくりと自転してパートナーチェンジの日が来る。

今思うとあれはなんだかいろいろうまく行かないと感じていた僕が、無邪気に明るい未来を信じていたアルマに反発していただけかもしてないし、

みんな普通に使う言葉だけど実態がよくわからない「相性が悪い」というやつだったのかもしれない。


ともかく、今朝僕はアルマに

「浴槽の中でいろいろ話したのは楽しかった」

と言うことができたし、楽しかったのは事実で、アルマは私も楽しかったと言ってくれた。


だから今はもうそれは考えないことにして、とりあえず今目の前にいるファリィはよく言うとおだやかな、悪く言うとぼんやりした印象だ。


11番の鍵を受け取ってきた僕にファリィは

「ちょっと待って、ソーダを入れて行く」

というので、ソーダが好きなの? と聞いたら

「ううん、ホントはコーラが好きだけどもう夜だし眠れなくなったらイヤだから」

「これ、カフェイン抜きのゼロコーラだよ」

「え、そうなの? 知らなかったー」

2人でプラスチックのコップにコーラを入れてコテージに行くと

「よろしくお願いします」

とファリィはぺこりと頭を下げる。いい子じゃん。僕もつられて

「こちらこそよろしくお願いします」

と頭を下げる。


「悪いけど先にシャワーを浴びていい?私が髪を乾かしている間にジェイミィが入って」

ファリィはローテーブルにコーラを置くなりそう言うから、

「もちろんいいけど、あ、なんだったら一緒に入る?」

僕がそう言ったら、

「はぁ?」

すごく冷たい声でそう言われた。

「ごめんなさい、冗談です」


「はぁー」

ファリィが浴室に消えてから僕は盛大にため息をついた。

やらかしてしまったかもしれない。たしかに僕は調子に乗っていたかもしれないけれどあの声の冷たさはショックだなぁ。

今夜はソファで眠ることになるかもしれない。この惑星は青い風の吹く惑星より寒いからイヤだな、と思う。

青い風の吹く惑星ではソファで眠ることも時々あったけれども。


青い風の吹く惑星といえば、もしリザリィに一緒にお風呂に入ろうと言ったら彼女はどういうだろうか?

こっちを見て「恥ずかしいからイヤ」とか言うかな。ユウミなら喜んで一緒に入ると言うだろう。サニアは、意外とOKしてくれるかもしれない。

けどそれは、その方が水も時間も節約できて効率的だからっていう理由だったりして。

そしてアウラなら。僕を見て困った顔をするかな?それは無理と言うかも。アウラの反応は想像できないけど、どれもありそうな気がした。


ああ、どうして僕はここにいない人のことを考えているんだろう。


「お先でしたー」

と浴室から出てきたファリィはコンセントを引っこ抜いたドライヤーを持っている。リビングで髪を乾かすつもりらしい。

僕はファリィがそんなに怒っているわけではなさそうだということにちょっと安心して浴室に行った。


あれは、一緒にお風呂に入ろうと言ってすぐにいいわよ、と言ってくれたアルマが変わってるんだ。

それは他人と同じことをするほうがいいとかそういうことではなくて、まるきりの他人には関係ない部分だけど。

短い間とはいえ一緒に暮らすなら意見や考え方のすり合わせをするべきなんだろう。

相手の意思を尊重しつつどうしても譲れない部分はちゃんと伝えればいい。

そう思うのは簡単だけど僕はニーナにそれが出来なかったし、アルマには?もっといろんな方面から違う話をしていれば何かが違ったのだろうか。


まあ今は目の前のファリィに向き合うべきた。


僕が浴室から出るとファリィは髪を乾かし終えて何をするでもなくソファに座っていたけれど僕の姿を見るとドライヤーを差し出す。

「いや、僕は使わないから」

「そう? じゃあさっさと済ませましょう」

と寝室に移動しようとする。


「あの、疲れているとかなら今夜はなくてもいいよ?」

僕がそう言うと、

「そういうことじゃなくて、私は早く寝たいだけ。でも義務ははたさないとでしょ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ