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23 藻と野菜と

5/2 改稿

あの日のドクターの話は僕の心に重くのしかかったままだし、僕がちょっとやそっと考えても結論なんか出るはずもなかった。

だからやっぱりドクターは心構え的なことを言いたかったんだと思う。ノブレスオブリージュとかそんな感じの。

上流階級の家庭で育てばそれは身につくのだろうし、奨学金で進学するような人はやっぱり高い志があるんだろうし。僕が何も考えていないことはお見通しだったということか。


それはともかくとして、僕の作業の水質調査はそれなりに進んでいる。

青い風の星でやったのと同じように大豆を撒いて「藻」が含まれる水と「藻」が含まれない浄水を与える。

藻は小さくて軽いから乾燥すると空中に浮遊して、雨の水にもはいっていることがあるので、プランターに覆いをかけて室内に置いた。そして海の水の中の藻は少なすぎる気がしたので、浄水場のフィルターの手前の水を使うことにした。プランターの覆いを作るところが一番大変だったのには笑っちゃうけど、だいたいなんとかなった。撒いた大豆はまだ小さな芽が出てきたばかりだけれど、藻入りの水を与えた方の芽は緑の色が濃い。

覆いをかけることはドクターに助言をもらって、トリナに材料を分けてもらってどうにか作った。水質調査というより藻の研究みたいになってしまったけど、海の水に含まれている成分や溶けている酸素の量なんかは前任者が調べていたしそんなに変化するものでもなかった。


朝食と夕食に出される強化スープには煮たケールという野菜が入っていることが多い。ケールは濃い緑色で美味しそうに見えるけど僕はキャベツの方が美味しいと思う。でもこの惑星ではケールが良く育つらしい。もし移民が出来るようになっても最初は食料は質より量が重要だよな。ここの惑星に植える野菜の種類を誰が決めているのかは知らないけれど、みんなちゃんと頑張っているんだと思う。


ただ、ここの食事担当のマーサは時々強化スープに合成ミルクパウダーを入れたものを出す。これだけはどうにも好きになれない。合成ミルクパウダーは栄養があるとされているし、それだけをお湯に溶かしたものはそこまで不味いわけではない。きっと組み合わせが悪いんだ。

あれ?

組み合わせ、って他でも言われているよな。結婚してすぐに子供が出来れば「相性がいい」と言われるアレ。そして結婚して2年たっても子供が出来なければ「相性が悪い」と言われる。

僕は一緒にいて楽しいと思える人と結婚したいと思うけど、それだけでは今の社会では難しいこともある。


結局この惑星、じゃなくて他の惑星でもいいけど、で穀物が実るしかないのか。

最初にB計画の内容を知った時に、植物でも動物でも成功していないのに人間で成功するんだろうかと思ったけど結局そこなんだ。

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