表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1年、ダンジョンでくらしたら強くなってました  作者: aoiro
1章 1年、ダンジョンでくらす
7/18

7話 ゴブリンキング

 1階層はなぜかゴブリンしか出なかった。ということは、ボスもおそらくは、と思っていたが、


「普通に予想通りすぎたな」


 そこに居たのは、ゴブリンよりもひとまわり、いや、ふたまわりは大きいサイズ。お腹がぽこっと膨れ上がっている。

 ゴブリンは手に短剣を持っていたが、このでかゴブリンは手に棍棒を持っている。しかも、律儀に背中にはマントのようなものを羽織っている。いかにも、俺ボスですよ感満載だ。



「ちなみに、あいつの名前知ってるか?」


「うん。あれはたぶん、ゴブリンキング」


「ゴブリンキング。……見た目そのまんまだな」


 ただ、キングというくらいだから強さは本当なのだろう。だとしたら、油断は一切出来ない。



 どうやら、相手もこちらに気づいたようだ。


「一瞬で終わらせるぞ」


 ゴブリンキングの足元に罠を仕掛けようとする。が、


「ギャオォォ」


「――――っ」


 いつの間にか、ゴブリンキングが目の前まで迫っていていた。


「なっ!」


 そのまま、ゴブリンキングが振るった棍棒によって数メートル吹き飛ばされる。


「コウタ!」


「――大丈夫。相手の方に集中して!」


 ゴブリンは、すかさずリーナにも棍棒を振るう。が、リーナは伏せて、すれすれで回避に成功する。


 縦に振りかぶって叩きつける攻撃を、リーナは右に転がることでかわす。


 やはり、さすがの戦闘センスだ。しかし、リーナも回避することで精一杯のようだ。ゴブリンキングの攻撃には隙がない。


 ダメだ。俺も戦わなくてはいけいない。


「くっ、……痛たいな」


 さっきのダメージがかなり響いていて、体の至る所から痛みを感じる。はやく回復だ。


「ヒール!」


 自分に向けて魔法を使い、傷を癒す。

 痛みは自然と消えていく。


「うっ」


 直後、痛みとは別の、疲れが一斉に襲いかかった。


 なんだこれは。まるで50mを走った後のような感覚だ。これがリーナの言っていた疲れか。でも、前にヒールを使ったときは何も起きなかったはずだ。いや、もしかして、


「傷の深さで違うのか?」


 そうだ。前はほんのかすり傷程度だった。そして、さっきは全身傷だらけだった。関係があるとすればこれしかない。


 いや、今は俺なんかどうでもいい。それよりもリーナの方だ。


 リーナは……今も、ゴブリンキングの攻撃をかわしている。が、防戦一方、という感じだ。


 このままじゃダメだ。何か、何かないのか。


 ステータス画面を確認する。と、


「――マイン?」


 罠師のジョブのスキル欄に見たことの無いスキルがあった。いつの間にか取得していたのか。いや、今は使えるならなんでもいい。


 マイン――地雷のことか? 罠師だから間違いないだろう。だとしたら――よし、


「おい、ゴブリンキング。お前の相手は俺だ!」


 声を大にしてゴブリンキングに叫ぶ。ゴブリンキングも俺の方に注意を向けた。


「コウタ!」


 ゴブリンキングが再び、棍棒を振りかぶりながら、俺を目掛けて迫ってくる。が、それは俺の狙いどおりだ。


「かかった!」


 さっき、ゴブリンキングは一直線で迫ってきた。なら、その道に罠、マインを仕掛けておいた。


「グギァォォォォォォ」


 マインの爆発とゴブリンキングの叫び声が部屋中に響く。見ると、ゴブリンキングの足が吹き飛んでいた。これならさすがに動けないはずだ。

 マインの殺傷能力、あなどれない。


「リーナ!」


「んっ、任せて」


 リーナが素早く相手に近づく。そのまま、目にも止まらぬスピードで四方八方に切り裂いていく。


 そして、ゴブリンキングが消えた。……どうやら倒せたようだ。


「コウタ! 怪我は?」


「ああ、大丈夫大丈夫。このとおり」


 手を広げて怪我がないアピールをする。


「よかった」


「リーナは怪我ないか? あるなら治すけど」


「んっ、大丈夫」


「なら、よかった」


 あの攻撃をかわせるリーナは改めてすごいな。



 ゴブリンキングがいた所を確認。地面には、てのひらサイズの魔晶石が落ちていた。てのひらサイズといえど、普通のゴブリンに比べると10倍以上は大きい。

 とりあえず、拾っておく。



「まずは、おめでとうと言おうかナ」


 突然、部屋から声が聞こえた。この声は、


「神様か?」


 姿はないので声だけか。


「ああ、そうだヨ。言い忘れていたが、クリアしたら次の部屋に転送機がある。それに乗ったらクリアしたことになるからネ。もちろん2人同時に乗ならいと作動しないからネ。それじゃあ、またネ」


「あ、ちょ」


 ったく、一方的すぎる。


 まぁ。何はともあれ、勝ったわけで、


「それじゃあ、かえりますか」


 リーナに手をさしだす。


「うん。わかった」


 リーナは俺の手を握ると笑顔でそう言った。



 初のボス戦は無事、勝利で幕を閉じる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ