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1年、ダンジョンでくらしたら強くなってました  作者: aoiro
1章 1年、ダンジョンでくらす
6/18

6話 罠師

 ――罠師。


 単純な見た目だけで言えば悪党のような感じがするが、スキルの落とし穴、ってのからはなんか可愛さを感じる。


「なあ、リーナ。罠師ってジョブ知ってるか?」


「――? 聞いたことない」


 うっっ。どうやらまたマイナーなジョブのようだ。まぁ、そんな気はしていたが。俺だって勇者やら賢者みたいなかっこいいジョブになりたかった。

 だいたいゲームでも滅多に見ないぞ、罠師なんて。落とし穴なんか、某狩りゲーぐらいでしか見かけないし。いや、あれは便利だけどさ。


 まぁ。それはそうと、


 これで俺はジョブを2つ持ったことになる。

 ――回復師と罠師。その他にも、ステータスを見るにあと2つはありそうだ。


 普通に考えて、ジョブは1人1つ、というのが一般的だろう。最初の水晶に触れた時だって、クラスの中で2つ以上のジョブを持った人は1人もいなかった。この世界でもそれは当てはまると思う。自分で言うのもアレだが、俺はイレギュラーな存在なのかもしれない。


 となると、問題は俺がこのジョブをリーナに話してもいいのかどうかだが、



 ――いや、考えすぎか。



「……実は回復師のジョブの他に罠師のジョブも持ってるんだ」


「えっ? ホント?」


「ああ、嘘ではないかな」


「…………」


 えっ、なんで黙るんだ。……やっぱり話さない方が良かった――


「すごい」


「へっ?」


 リーナが目を輝かせながら俺を見つめている。

 どういうことだ?


「すごい、コウタ。2つジョブを持ってる人、初めて見た」


「おっ、おお。……やっぱり、珍しいのか」


「珍しいなんて比じゃない。1億人に1人って言われてる」


 1億人に1人っ! すごい確率だな。その中の1人が俺……おおぉ、マジ半端ないって。


「そうとなれば、早速使ってみたいところだが……」


 次の部屋にいくとゴブリンが2匹いた。

 ちょうどいい数だ。


「よし。試しに使ってみるか」


 発動方法は……あれっ、どうやるんだ。ヒールの時はスキル名を発すれば発動出来たが……これも同じでいいのか?


「基本はスキル名を発するけど、罠だから……念じるだけでいいと思う」


 あたふたしている俺を見てか、リーナが教えてくれた。


「なるほど念じるのか」


 たしかに、相手にバレたら罠の意味があまりない。


 心の中で落とし穴と念じる。すると、地面に魔法陣が現れた。しかも、任意で動かせるようだ。


 よし、これなら。


 ゴブリンの真下――足元に仕掛ける。


 セットすると、すぐに落とし穴が現れた。

 運良く、ゴブリン2匹とも落ちる。


「よし、今だ!」


「任せて。ファイヤボール」


 リーナが呪文を唱えると、炎の玉が現れた。そして、そのまま落とし穴めがけて落とす。


「グギァォォ」


 ゴブリンの叫びが部屋に響き渡る。が、やがて声が薄れていき、消えた。


 穴を覗くと魔晶石が2つ落ちていた。

 どうやら倒せたようだ。焼きゴブリンの姿は見れないらしい。

 いや、見れなくてよかったけど。


「戦いやすくなった」


「ああ、そうだな」


 俺が罠を仕掛けて、罠にかかったところをリーナのファイヤボールでトドメをさす。実に効率的でいい流れだ。


 ――ん? 待てよ。


「そう言えば、リーナは何のジョブなんだ?」


「……それは、言えない。……そのうち」


 リーナが渋った顔で答える。


 言えないジョブってことなのか、それとも他に理由があるのか。まあ、どちらにしろ、


「そうか。別に無理に話さなくていいからな」


「うん。……ありがとう」


 そう言ったリーナは笑顔を見せる。

 うん。リーナは笑顔が1番似合う。




▽△▽




「リーナ!」


「わかった、ファイヤボール」


 落とし穴にかかったゴブリンを逃さず、トドメをさす。


「よし、倒せたな。……これで何体目だ?」


「うーん。30体くらい?」


 出会ったゴブリンを片っ端から倒し続けて、かれ数時間。なぜか一向に出口が見つからない。


 が、その分レベルが上がっている。



 回復師 Lv6 → Lv15

 罠師 Lv4 → Lv12



 ゴブリンがそもそも弱いからか、Lv10あたりからはなかなかレベルが上がらなくなっていった。ここのゴブリンは青い液状のアレと同等かもしれないな。


「それにしても、さすがに疲れたな」


「スキルを消費してるから、余計に疲れてると思う」


「ん? どういうことだ」


「スキルを使うとそれに応じた分の疲れが蓄積されるから」


「あー、そういうことね」


 なるほど、道理でRPGでいうところのMPがない訳だ。スキルを使った分だけ疲れが溜まるということか。覚えておこう。


「よし。休憩もここら辺で、次の部屋は……おっ!」


 目の前にあったのは大きな扉。それも、俺の身長をゆうに超えている。


 これは明らかにそうだろう。


「……ボス部屋?」


「だろうな。……よし、こっからは気を引き締めていくぞ」


「うん。頑張る」


 リーナの返事と共に、その大きな扉をゆっくりと開ける。


 そこにいるはずであろうボスとの、絶対に負けられない戦いが始まる――


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