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1年、ダンジョンでくらしたら強くなってました  作者: aoiro
1章 1年、ダンジョンでくらす
4/18

4話 ダンジョン攻略

 神様と名乗る彼女の登場により、部屋の中に妙な緊張感が流れていた。……いや、リーナは比較的落ち着いてるな。俺より困惑している様子はない。……ひょっとすると、緊張しているのは俺だけなのか?


 ――まてまて。そんなことより今は、


「ダンジョン攻略? どういうことだ?」


 この自称神が言った、聞き捨てならない言葉につっこむ。

 すると、神様は顎に手をあて、考える素振りを見せ、答えた。


「どういうことと言われても……そのままの意味としか答えようがないネ。外の方に、ダンジョンに繋がる転送機がある。……君はもう見たんじゃないかナ?」


 転送機……あの電話ボックスみたいなやつのことか? たしか、あれには1~30までのボタンがあったはずた。だとすると、


「まさか、そのダンジョン、30階もあるのか?」


 俺の質問を聞くと、神様は大きく手を広げて答えた。


「ご名答! その通りだヨ」


「いや、さっき試したけどなんも起きなかったぞ」


 1度試してみたが、その時は特に何も変わらなかったはず……。


「ああ、あれは2人いないと起動しないようにしてるんだヨ。1人だけじゃ危険だしネ。それから、君たちが30階層まですべて攻略したらここから解放しよう」


「なっ! そんな一方的な話があっていい訳ないだろ」


「たしかにそうかもネ。でもサ、この日のために3年も費やしてきたんだヨ。……ああ、そうか。君は心配してるんだね? それなら大丈夫だヨ。この家には家具だってあるし、食料もダンジョンで調達できる。生活には困らないヨ」


「いや、そういう訳じゃ……」


「とにかくサ」


 神様は俺の声を遮ると、さらに続けて話す。


「せいぜい頑張って、攻略してヨ? そうじゃないと意味が無いからネ。……おっと、そろそろ時間のようだネ。最後に何かあるかい?」


 神様がそう言うと、これまでずっと黙って見ていたリーナが手を挙げた。


「武器、欲しい……」


「ああ。そう言えば君、洞窟の途中で武器を落としていたネ。ふむ、そういうことならお安い御用だヨ」


 そう言い、神様は自分の掌を天井に向ける。すると、青い光が現れ、2本の短剣が出来た。

 その短剣をリーナに渡す。


「こんな感じでどうかナ?」


 リーナは短剣を受け取ると、コクリと頷いて返事をする。


「す、すげぇ」


「まあ。神様だからネ。このくらいはできるヨ。……ふむ。君のも作ろう」


 そして、再び青い光が現れると、1本の剣が出来た。


「君はこれがちょうどいいと思うヨ」


 神様から、剣を受け取る。思っていたよりも軽く、俺でも簡単に振り回せるくらいだ。


「ん? まてよ。俺、回復師なんだけど」


「ああ、その剣は杖代わりにもなっててネ。装備しているだけで魔力が高くなるんだヨ」


 装備してるだけで魔力があがるって、どこのRPGゲームだよ。


 それはそうと、1つ疑問に思ったことがある。


「なら、別に杖でもいい気がするけど」


「ふむ。まだ気づいてないのかナ? ……まあ、そのうち分かるヨ」


「えっ? それってどういう……」


「残念だけど時間が来たようだネ。それじゃ、次に会う時は30階層になるから、頑張って攻略してネ」


「いや、ちょっとまって……」


 が、そんな俺の言葉に耳を傾けず、神様は一瞬にしてその場から姿を消してしまった。

 瞬間移動みたいなやつか? これも、神様の力なのかもしれない。


 それに、なぜ剣にしたかも結局、聞けずじまいだ。


「コウタ、コウタ」


 俺の裾をリーナはグイグイと引っ張る。


「どうしたリーナ」


「ダンジョン、いこ? 」


「ダンジョン……今からか?」


 正直、今日はもう休みたい気分なんだけどな。色んなことがありすぎたし。


「ダメ?」


「よし、行こう! すぐ行こう」


 まあ、可愛いからいいか。




▽△▽




「ここだな」


 俺とリーナは転送機の前にいる。


「ところで……これ、手を繋ぐ必要あるかな?」


「ある。ダンジョンの中、危険。それに……迷子になるから」


 後半部分、だんだん声が小さくなっていった。だぶん後者が主な理由だろう。


「分かった。……じゃあ、入るか」


 リーナと一緒に中に入る。

 2人分のスペースしか無かったから狭いと思っていた。が、リーナが小柄だからか、思っていたよりも狭くはない。


「階層は……取り敢えず、1階でいいか」


 1と書かれているボタンを押す。すると、強烈な光が放たれ、思わず目を瞑ってしまう。


「うっ、眩しい」


 次の瞬間、体がふわりと浮くような感触がした。例えるならエレベーターに乗っている感覚に近い。


 そして、ゆっくり目を開けると、目の前の景色が変わっていた。


 取り敢えず、周りを見渡してみる。


 四角い小部屋、洞窟のような外観をしていた。

 壁には松明のようなもので、明かりがついている。視界はそれぼと悪くはない。

 左、右、後ろに道はなく、前だけに1本の道があった。


「よし、取り敢えず進むか」


「まって、コウタ」


 リーナは、耳に手をやり、目を瞑る。

 俺もそれを真似し、集中する。すると、何かの足音が聞こえた。それも1つではなく、複数の音だ。


「コウタ、離れて」


 リーナの言葉に従って後ろに下がる。しばらくして、前の方から足音の正体の姿が見えた。


 緑色をした、ゴブリンのような魔物が5匹、薄ら笑いを浮かべながら近づいてきた――。




更新時間がバラバラでずが、良かったらブクマお願いします。やる気がでます。

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