14話 第3階層
現在、俺達がいるのは転送機の中。俺、リーナ、そしてユニコの3人が入っている。
リーナと2人で入っていた上に、ユニコもとなると、さすがに狭くなると思っていたがそんなことは無く、3人でも大丈夫そうだ。
今日からユニコも加えた3人でのダンジョン攻略になる。
「次は3階層だな。……てーか、まだ3階層なのか」
個人的にはもう10階層分の経験をしてきたような気分なのだが。このペースだと30階層に到達するまで何年かかるのやら。
「大丈夫です。次からは私がいます」
自信満々に言うユニコ。なんと頼もしい言葉だろうか。
「それじゃ、行きますか」
3のボタンを押し、徐々に意識が遠ざかる。
つぎは何が待ち受けているのやら――
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意識が戻り、目覚める。
「ここは……」
唖然とした言葉しかでない。――石造りの壁に、広々とした空間。天井は高く、床には赤のカーペットの様なものが敷かれてある。
そして、目に入ったあらゆる情報を整理し、1つの答えを導き出す。
「ここは……たぶん城の中だな」
「お城~、広い~」
リーナが、手を広げてグルグルと周辺を回る。まあ、はしゃぐ気持ちも分からなくもないが。
「これがお城……本で見たものよりも広いです」
ユニコも初めて見たお城に興味津々な様子だ。ユニコは、知識のおおよそが書庫の本だから、興味を持つのも仕方がない。かく言う俺も、洋風の城は映画やアニメなんかでしか見たことがないけど。
「よし。とりあえず1階から探索しよう」
ということで、探索を開始する。左右に別れているが、まずは左からだ。
左の先は、先ほどと同様、石造りで統一されている。そして、どこまでも続いていそうなほど長い廊下。奥が全く見えないほど長く、所々にドアがある。これら一つひとつが部屋だとすると、どうやら今回の探索も長くなりそうだと落胆するが、お楽しみはなくはない。
「ここがもし城なら、どこかに宝物庫があるかもしれない」
「「宝物庫?」」
「あー。簡単に言うとお宝があるかもしれないってことだ」
「お宝? 探す探す、探そ、ね?」
お宝というワードにテンションが上がるリーナ。実に単純でよろしい。
「お宝探し……楽しそうですね」
「ま、あくまで可能性の話だけど」
そう、確かに可能性の話だ。が、ダンジョン攻略に何か楽しみがないとやっていけない。楽しみがある方がやる気が出るし。
しかし、宝探しには危険と渡り合わせのようで、
「コウタ様、魔物です。――あれは、おそらくデスナイトかと」
前方から迫る魔物の解説するユニコ。その知識のソースはおそらく本からだろう。魔物の名前などを知っているのが一人いると、パーティーとしてはありがたい。
「面倒そうだな……いや、丁度いい。昨日言った陣形で戦うぞ」
俺の掛け声に2人は返事をすると、リーナが前衛、ユニコが後衛へと移動する。
相手の魔物は中世時代の鎧のようなものを纏った騎士、デスナイトと呼ばれる魔物が3体。3人での初陣にしては敵の数が若干多い気もするが、そこは仕方ないと、気持ちを切り替える。それに――
「はっ、やぁ、よっと」
魔物の攻撃をもろともせず、その全てを華麗に回避しながら、隙あれば短剣で攻撃を与えるという離れ技を披露するリーナ。
「リーナ様の動きが速くて全く見えないです! すごいです!」
リーナの卓越した動きに、目をキラキラさせながら見つめるユニコ。まぁ、その気持ちはすごく分かる。
「さぁ、俺らも眺めてるだけじゃなくて戦わないとな」
「は、はい。そうですね」
ユニコは深呼吸して気持ちを切り替えると、魔法の詠唱を始める。強力な魔法になるにつれ、詠唱にかかる時間が長くなる。
となると俺は、詠唱が終わるまでユニコを守りつつ、リーナの援護をする役割だ。
「コウタ、一体そっち行った」
「よし、任せろ!」
迫る魔物の足元からピンポイントに上昇気流を発生させ、魔物を飛ばす。
「グエェェッ!!」
かなり高い所から落としたのだが、起き上がってきた。やるな、デスナイト。が、もうおそらく、
「いきます! フローズン・バインド」
ユニコの詠唱が終わると、3体の魔物の足下に水ができ、それを凍らせて相手の動きを止める。
こうなるとあとはボコるだけで、戦いを終える。
「やりました! やりましたよコウタ様」
「おー、よしよし。よくやったなユニコ」
パーティーに貢献できたことことが嬉しかったのか、喜びを全面にさらけ出すユニコ。その頭を撫でる俺。俺としてもいろんな意味でありがたい。
実際、手応えとしてはかなりよかった。通常の戦闘ではリーナが攻撃を躱してくれる分、ユニコのサポートに集中できる。あとは、ボス戦で通用するかどうかだ。
「そんじゃ、ぼちぼち探索開始だ」
――したのはいいものの、探索を開始して数時間。隅々まで探したがめぼしいものは見つからず。俺らは最初の場所に戻ってきた。
「1階には何もなしか、」
あったとすれば、魔物から落ちる魔晶石ぐらいだ。
「あとはこの階段の上の扉の奥だけですね」
ユニコの言う通り、残りはそこだけだが……
「たぶん、ボス部屋」
「まあ、十中八九そうだろうな」
ボス部屋が見つからず、残りの部屋が1つということは、つまりそういうことだろう。
「結局宝物庫はないか……いや、ボス部屋の先にあるかもしれないが。なら、速く倒しに行くか」
どの道倒さないと帰れないわけだし。
「そうですね倒しましょう」
「ボス、倒してお宝もらう」
2人の同意を得たところで扉をゆっくりと開ける。
さて、お出迎えしてくれる魔物は、と。
「ん? 4体?」
広い部屋、その中央に4体の魔物が横一列に並んでいる。
左の魔物はマルっとした感じ。真ん中2人は双子だろうか、顔が似ている。背が小さいが剣を所持しているので油断禁物だ。右は、1人だけ違う服装をしているな。魔導服っぽそうだし、魔法を使ってきそうな気がする。
なりより、ボス戦で複数の敵は初めてだ。
「あれは本で見ました。たしか左から順に」
俺らから見て、一番左の、マルっとした魔物を指さす。
「パル」
パル? 変な名前だな。
「ポル、プル……」
……ん?
「ペルですね」
「ふーん――って、明らかにどっかのゲームで見たぞこいつら!?」
「驚くのは早いです。実はこの4体……」
「合体するんだろ?」
「あれ、知っていたのですか?」
知ってたも何も何処と無く奴らにそっくりだからな。
そう言っているそばから、魔物4匹が合体する。
マルっとした奴が1番下。3匹を抱え。胴体の役割をしている魔導服の奴が双子の剣のやつを両腕に抱えるといった形。
「来ました! パペルポプルです」
「ギリギリセーフなんだろうなこれ!? アウトな感じがしてきたんだが……って、うおっ!?」
パペルポプルの容赦のなく、剣で縦振りをしてくるのを寸前で横に回避する。あと少し回避が遅れていたら真っ二つだ、危なかった。
「コウタ、集中して」
「ああ……ったく、不意打ちは卑怯だろ」
絶対にぶっ倒してやろうと心に決め、剣を抜いた――




