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明風 第一部  作者: 舞夢
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明風に輝く別の光

「うーん」

長明はうなっている。

「どうした」

明運が長明のただならない様子に声をかける。

明風は明運と長明の前を歩いている。

何しろ、かなり速く歩く。

その速さゆえ、あえて二人の前を歩かせた。

とても同じ速度では、息が切れてしまうのである。

相変わらず明運の眼には明風が光って見えている。

そして下鴨神社に近づくにつれて、ますます光が増して、眩しくなっている。


「何かなあ」

長明は明運の顔を見る。

「うん」

明運は長明の次の言葉を待った。

「あの光は何だ、明風の身体全体から光が出ている」

「清冽というか清浄であり、かなり強い」

長明も明運と同じく、明風の身体から発せられる光を感じているようだ。

「そうか、お前も感じたのか」

明運は、少しほっとする。

自分だけが明風の光を感じているのではないことがわかり、間違いではないことが確かなものとなった。

何より、友として信頼する長明が感じ取っていたことがうれしかった。


「いつもそうなのか」

長明は明運の顔を見る。

真面目な顔になっている。

「いや、いつも・・・と言うのか、どう言っていいのかわからないが」

「もともと、初めて門前に置かれた日から、不思議な力を感じた」

「人を笑顔で癒す、その癒しの力はかなり強いものがある」

「何しろ、あの建礼門院様を癒している」

「明運よりも明風がお気に入りだ、いやわが子とも言いお気に入り以上だ」明運


「そうか、あの建礼門院様まで」

長明は頷く。

「しかしな」

長明は明風の後ろ姿を見る。


「それだけではない」

長明は明風の身体から発せられる光の正体を知りたいと思う。


「そうだなあ」

明運も確かにそう思う。

明風は確かに不思議な力を、「折りに触れて」発揮してきた。

明運の寺の門前に置かれた日、建礼門院様の前など、特に重要な日はその「力」が強くなる。

しかし、今日、明風が発している光は、今まで見たことがない。


「明風そのものに、特別な力があることは、見てすぐにわかった」

「しかしな、今のあの光はその特別な力とはまた別なものだ」

「明風自身が持つ特別な力は、幸運にも明風がもって生まれた力と思う」

「しかし、今、明風がここの御神域で発している光は、何か別の強い御力に明風が・・・」

「上手に言い表すことが難しいが、その御力に明風自身が反応している」

「言わば、鴨社の大神の御光を身体全体で受け、その光を明風が発していると言おうか」

長明は感じたままを言った。


「うん、さすがだな」

明運も同じように感じていた。

ただ「感じていること」を言葉で表現できなかった。

かろうじて、長明が言葉にしてくれた。


「僧侶にしておくには、惜しい」

長明はつぶやいた。


「そうか・・・」

明運は、思い出すことがあった。

建礼門院様も同じことを言っていた。それも、明風に初めて会った日である。

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