第三話:〜藍VS神慈〜
戦闘回です。
皆さんも主人公、神慈君の能力を考えて見よう!
「弾幕ごっこを」
そう言うと藍さんは庭に出る。俺もそのまま庭へ出て藍さんとは反対側の位置に行く。
「貴方は幻想郷入りしたばかりだからルールを教えてあげる」
藍さんは、準備をしながらルールを簡単に説明してくれる。
弾幕ごっことは、霊力、魔力、妖力などで練った弾やレーザーで美しく見える形の弾幕を形成し、戦う。
勝者は敗者にトドメを刺すようなことは禁止。勝負中の事故死はこの限りでは無い。
直接攻撃は基本無しだが体当たり程度なら使われる。
まず、自身の能力に弾幕としての名前を付ける。
だいたい〇〇「△△△」というような名前になり、多くは〇〇の部分に〇符とつくが、逆に漢字以外だったりついていないこともある。
それを紙に記し、媒介にして発動する。
この紙を「スペルカード」と呼ぶ。
次に、決闘に際して相手に自分の使うスペカの枚数を宣告する。
後は互いに、相手が放つ弾幕をひたすら避け、全てを制した者をたとえ余力が残っていようと勝者とする。
こうすることで、たとえ力・能力で劣っていようとも対等に闘うことができるのである。
そうして妖怪が異変を起こし、人間その他が解決するサイクルを発生しやすくし、平和ボケによる戦闘力の低下を防ぐのが本来の目的であるらしい。
まだ、あまり幻想郷には根付いておらず紫さんが広まる為に奮闘しているらしい。
一通り説明を終えると、藍さんは地面を蹴って飛び、空中で静止している。いわゆる、空を飛んでいるというやつだ。
藍さんが飛んでいる事で驚いている俺に今回のルールを告げてくる。
「今回は、お前にスペルカードが無いから私のスペルカードを三回耐えるか、避けることができたら勝利でいいわ」
「分かりました……」
俺は、藍さんに返事をしながら軽く準備運動をし、体を慣らしておく。目を閉じて、集中を高める。
そして、目を開き眼前に飛んでいる藍さんを視界に捉えて頭の中のスイッチを切り替える。
「では、始めましょう」
そう言うと、俺の中から人としての感情は姿を消して眼前にいる敵を倒すために意識を向ける。
◇◇◇◆◆◆
藍さんは懐からスペルカードを出しながら
「じゃあ、最初は小手調べからスペルカード発動!式輝【狐狸妖怪レーザー】」
スペルカードの名前をそう言い終わると、紙が光り出したと思うと周りに赤色と青色をした大玉や丸玉の塊が俺目掛けて飛んでくる。
その場から後ろに飛びながら弾幕を避けると、それを追うように弾幕と同じ赤色や青色をしたレーザーが発射されている。
レーザーは軌道が読みやすいため紙一重でかわし続ける事ができるが、弾幕は予測がつきにくいため大きく避けないといけない。
だか、少しずつ逃げ場が少なくなり、レーザーが逃げ場を塞ぐように飛んで来るようになってくる。
「ちっ……」
舌打ちをしながら、弾幕を避け続けるが突破方法が見つからない。
少しずつ体に弾幕がかすり始めて避け続けていると、不意に足を躓いてしまう。
「所詮は、この程度ね……」
そう藍さんが言うとかなりの範囲に広げている弾幕を一点に集中させてトドメとばかりに迫ってくる。
躓いたせいで復帰に遅れて逃げ場が無い。
弾幕の影で見えにくいが落胆したような表情をしている藍さんが見えた。
その光景で、出し惜しみするのをやめて立ち上がり目の前の弾幕に集中する。
「まだ……ですよ……藍さん!」
俺のその言葉を言い放つと右手を握りしめて拳を放つ。
その瞬間、
「なっ……」
藍さんが驚くと同時に集中していた弾幕が爆風と共に爆発して霧散して雪のように小さな結晶として降りつもる。
静寂が訪れると同時に弾幕が無くなったのを理解し、その原因に藍さんが驚く。
それは……
「あなた……。その腕……」
言葉が詰まっている。それもそのはず、なぜなら俺の腕は大量に出血をして、腕の所々が折れた骨が皮膚を貫いている状態なんだから。
「はは……。これで……一つ目のスペルカードは突破ですね……」
笑いながら俺は、藍さんに軽口を言っているが、状態は悪い。
今の一撃は、武道を教えてもらった師匠から教えてもらったものだ。
出来るだけタメを貯めた腕で拳を放ち、拳圧によって吹き飛ばすというものだ。
師匠はこの技を【嵐風拳】と呼んでいた。
しかし、体出来上がっていない俺の腕では拳圧に耐えきることが出来なかったようで腕が大変なことになってしまった。
まぁ、覚悟していたとはいえ痛みが全く無く、感覚ごと破壊してしまったようだ。
だか、そのおかげで窮地を脱したわけだか。
「さあ、二つ目を、お願いしますよ。藍さん」
内心ではかなりつらい。しかし、あくまでも余裕の様相を見せる。そうすると、藍さんは先程の落胆な表情と打って変わってワクワクしているような表情で俺を見つめる。
「いいわよ。二つ目は、もっときついわよ」
そう言うと、別のスペルカードを出して、先程と同じく
「二つ目よ。スペルカード発動!式弾【ユーニラタルコンタクト】」
スペルカードの名前を言い終えると、光出して再び藍さんの弾幕が周りに現れ、弾幕が俺に近づいてくる。
今度は先程とは違い、俺を狙う蝶のような弾幕と規則的に放たれている弾幕が周りに放たれ始める。
さっきと違う弾幕で少し手間取る。さっきの攻撃は、意図的に弾幕を操作していたが今の攻撃はマニュアル通りの動きをしているような感じだ。
それだけに、弾幕の規則性を見つけないといけないが、俺に自動で追跡する蝶のような弾幕を避けながらなのでなかなか見つけられない。
しかも、右手、右腕が使い物にならないため避けるのにも一苦労するが
「はぁぁ……」
一気に息を吐き出して、今度は左で拳を作り【嵐風拳】を放つと先程と同じように綺麗に飛び交う弾幕を全て霧散させられた。
避けるのに苦労するのなら、厄介になる前に壊してしまったほうがいい。
しかし、俺の両腕、両手が潰れてしまい、血が腕から垂れ流し状態で動き回っているため地面に血の水たまりが出来る程流れており、貧血気味でかなりフラフラするが
「はぁ……。はぁ……。少しは……見直して……くれ……ましたか?藍さん」
その言葉で、藍さんは今まで放っていた殺気が姿を消して優しい笑みを浮かべて笑い出す。
「『見直してくれましたか』か……。確かに少年……いや、神慈を最初は低く見て戦っていたが……今はそんなの無いわ」
そう言った途端に、殺気とは違う──闘気に似た力の圧力が俺の全身にふりかかる。
そしめ、藍さんはすぐに真剣な表情に戻り、三枚目のスペルカードを出し
「満身創痍だけど、手加減はしないわ。本気でいくわよ。スペルカード発動!式神【十二神将の宴】」
今度は、光が消えると十二の式神に見えるが全てが俺を見つめてくる。数巡すると十二の式神が俺を取り囲むみたいに移動をして弾幕をしてくる。
藍さんを含めると、十三人による弾幕が四方八方から飛んでくる。藍さんは、俺に目掛けて、他の式神は回転をしながら取り囲むように弾幕を張る。
藍さんの弾幕は、正確に俺に射抜いていく。俺も紙一重で避けていくが両手、両腕が使えないため攻撃をいなす事が出来ない。
このまま、持久戦は確実に俺の負けになる。なら……
「一か八かの勝負だな……」
そう呟くと、足を止めて左足に力を込める。そのまま、力を込めた左足を式神に目掛けて蹴り上げる。
そうすると、【嵐風拳】のような爆風が発生する。
この技は、足バージョンの【嵐風拳】で【嵐風脚】と言う。【嵐風脚】も先程の【嵐風拳】と同じ効果を足でもできるようにした技だ。
しかし、やはり負荷に耐えきれなくて左足も両腕のような状態になってしまう。その上、さっきの爆風で近くの木まで吹き飛ばされる。
でも、【嵐風脚】は、式神を巻き込んで半分の式神を地面に落とした。だか、もう半分は落ちず藍さんも健在だ。
対して、こちらの状況は両腕、両手、左足が使えない。片足だけでは、移動すら出来ない。
圧倒的に不利で絶体絶命だが
「まだだ……」
俺は立ち上がる。左足が使えないため近くの木にもたれかかる形になってしまう。
藍さんは俺の立ち上がりに驚愕の表情を向けるがすぐに、残った式神とともに俺に弾幕を向けてくる。
最後の抵抗でしか無いがなんとか両手を前に突き出して弾幕を受け止める形をとる。式神が半分に減っているならかろうじて受け止められる筈だ。
弾幕が迫る中、俺は叫ぶ。
「負けられるかぁぁぁ!」
そう言った途端に地面に水溜りのように出来ていた血が浮き上がり迫る弾幕との間に薄い膜のような盾が作られて弾幕を受けとめる。
弾幕と膜がぶつかった瞬間に爆風と爆発がして俺は地面に叩きつけられる。
そのまま、目を藍さんに向けると先程の殺気が無くなり最初の藍さんに戻っていた。
それを感じると俺の目の前が真っ暗になって気を失った。
技説明
【嵐風拳】:拳に力を溜めて突き抜いた時の拳圧と風で攻撃をする。威力が強すぎると負荷に耐えきれず腕が壊れてしまう。
【嵐風脚】:【嵐風拳】の脚バージョン。




