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恋色  作者: キリン
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空洞

 つい最近、あるアイドルグループにいるメンバーの一人が卒業してしまった。その話が今、クラスでブームになっているようだ。アイドルなんてどうせみんな同じだ、一群れになって、歌ったり踊ったりするのが普通だろう、曲を聞くのはいいが、ヲタになるとはどうせまともなやつじゃないだろうと、俺は思う。こう見ても多少はアイドルの話は分かる。しかし知ってどうすつもりだ、恋愛禁止だし、触るところか見かけただけで非常に幸運ということだ。それでもあの連中が必死に"応援"だの何だのして、"俺の推しだ"とか言ったり、親からもらったお金を使って、グッズとか買いに行くだろう。けしからぬことだな。。。

 放課後になっても、通りかかった部屋からアイドル研究部の騒がしい声が漏れてきた。本当、なんでだろう。こんなにも必死で、自分とまるで関係のないことを人と争論して、昂ぶって熱く語る。。。そんな情熱は俺にはないんだ。

 そんな奴らを、俺は鼻から嘲笑った。

 自宅に帰る、俺の部屋は一番奥にある。ドアを開けると、真っ先に目に入るのが、大きめのポスターだ。入ろうとしたが、全く踏み場がない。クソ!。。。また掃除をしなきゃいけないのか、先週やったばかりだぞ、面倒くさいな。部屋の壁には、紫ばかりだ。そのグループの色だ、俺は特にある綺麗で、ピアノができて、歌も上手い子が好きなんだ。掃除を済ませて椅子に座り、お茶を一口飲んだ、冷たくて美味しい。薄暗い部屋で、一人で漫画を読んだり、お菓子食ったりして時間を潰す。

 趣味は特にないのだ。いや、今はないっか。。。高校の時紫ブームが起きて、俺もその連中の一員だった。今考えると、ばかばかしいことだな。。。揃って一緒にライブ行ったり、ヲタとして、高校時代が終わりを告げた。俺は、親に強く言われた、やめなさいって。反抗もしたが、到底親に勝てず、やめることにした。しかしすぐにやめれるもんじゃなかった。ある日、紫のメンバーの一人が卒業したのを見て、ファン達の寂しさも感じた。俺は、卒業が怖い。。。自分の推しもいつか視線から消えるのが嫌だった。。。決心を固くして、やめたんだ。

 大学に入って、人々がアイドルを語っているのを見て、嫌気が差したり、聞けぬふりをして寝ていた。そんな空っぽな心に、また誰か来れればいいなと密かに願った。

 

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