金竜との戦い
ディザスト・ドラグーンを倒した俺達は休憩を挟んで夜の島へ行き、そこでムーンライト・ドラグーン2匹とスターダスト・ドラグーン1匹、守護者の島への復路の雨の島でスパーク・ドラグーン2匹、橋を渡ってる最中に襲ってきたアクア・ドラグーン1匹、守護者の島の南にある、雷鳴が響き稲妻が光る雷の島でサンダー・ドラグーン3匹を狩り、その日の探索を終えた。
なので野営は雷の島のセーフ・エリアになったんだが、普通ならこんなとこで野営はしないだろうな。
俺達の獣車は防音にも気を遣ってるから、雷鳴も気にならなかったが。
一夜明けると、その先にある断崖絶壁に覆われ、通路の全てが洞窟になっている洞窟の島、夜の島と同じように島が暗闇、さらには氷に覆われていながら空にはオーロラが広がっている、雷の島から続いているもう1つの島 極光の島へ行き、ダーク・ドラグーン2匹、ケイブ・ドラグーン3匹、アイス・ドラグーン4匹、オーロラ・ドラグーン3匹を狩っている。
守護者の島に戻ってきたらガスト・ドラグーンが襲ってきたが、それもしっかりと狩ってある。
そして守護者の島に戻ってきた俺達はセーフ・エリアで野営をし、翌朝準備を整えてから守護者に挑むことになった。
「わあ!これがボクの槍なんだね!」
エドが頑張ってくれたおかげで、アテナの槍も完成している。
見た目は十字槍なんだが、穂先が竜を模している以外は普通の槍だ。
ハイドラゴニアンに進化できたアテナにも、早急に瑠璃色銀製の武器が必要だったんだが、急いで作られても雑な物しかできないと思ってたから、特に完成を急がせてはいなかったんだけどな。
「確かに守護者相手だと、アテナが接近するようなことはないだろうよ。だがそれはそれだ。いつまでもプリムの試作を使ってもらう訳にはいかねえからな」
とはエドの談だが、それは確かにそうだ。
昨日までアテナが使っていたのは、プリムの試作翡翠合金斧槍だ。
翡翠色銀製だからハイクラスでも問題なく使えるんだが、デザインはプリムのスカーレット・ウイングと同じだし、名前の通りハルバードだから、純粋な槍を使うアテナからすると使い勝手が違う。
それに試作とはいえプリムのために作られた武器だから、全体的なバランスもプリムに合わされていて、小柄なアテナには尚更使いにくい。
どうでもいい話なんだが、女性陣の身長はエオスが俺と同じ175センチと一番高く、その次がプリムで170センチだな。
他のみんなはこんな感じだ。
マナ 163センチ
ユーリ 146センチ
リカ 166センチ
ミーナ 158センチ
フラム 162センチ
リディア 165センチ
ルディア 165センチ
アテナ 153センチ
エド 160センチ
マリーナ 148センチ
フィーナ 158センチ
ラウス 156センチ
レベッカ 147センチ
キャロル 156センチ
マリサ 167センチ
ヴィオラ 161センチ
ユリア 148センチ
アプリコット 164センチ
ユーリ、ラウス、レベッカ、キャロル、ユリアは成長期だから、まだまだ伸びるだろうな。
エドはフェアリーハーフ・ドワーフだから普通のドワーフより背が高いんだが、フェアリーが混じってることを考えるとかなりの長身って言ってもいい。
逆にフェアリーハーフ・ドラゴニュートのマリーナは、ドラゴニュートとしては背が低い方になる。
どうでもいいことだが、胸の大きさはプリム(95)>エオス(92)>アプリコットさん(90)=マナ(90)>アテナ(87)>フラム(85)>ミーナ(83)>ルディア(82)>リカさん(80)>ユーリ(77)>リディア(75)だ。
嫁さんや婚約者以外だと、アプリコットさんにエオスは直接拝む機会が何度もあったから知ってるが、他の面々はさすがに知らん。
「アテナ、その槍の名前はどうするの?」
「うんとね、ドラゴネスピアにしようかなって思ってるんだ」
まんま竜の槍だが、穂先からしてそうなんだからピッタリの名前でもある。
「アテナ、実戦は無理だから、あたしが慣らしに付き合うわ」
「ありがとう、プリム」
うん、確かにドラゴネスピアを使っての最初の実戦が守護者のゴールド・ドラグーンなんて、無茶にも程がある話だからな。
簡単な手合わせとはいえ、プリムがその役を担ってくれるんなら、俺としても助かる。
「それじゃあ突入は、アテナの慣らしが済んでから?」
「そうなりますね。とはいえ、メインで戦うのは大和さんとプリムさんで、私達は援護に魔法を放つぐらいでしょうけど」
「それしかないわよね」
ゴールド・ドラグーンはA-Rランクモンスターだが、色であり鉱物でもあるゴールドの名前を冠しており、さらには全属性の魔法を使ってくる非常に厄介な魔物だ。
空を飛ぶのはもちろん地上もかなりの速度で走れるし、鱗どころか皮も硬い。
ブレスは各属性を使い分けるのか全属性ブレスなのかは分からないから、事前にA級術式を展開しておくことも難しい。
一応ニブルヘイムとヴァナヘイムの積層結界を使う予定ではいるが、こればっかりは戦ってみないと分からないから、他の術式もいつでも使えるように発動待機させておくつもりだ。
「なんて言っても、どうせ中に入った瞬間、お前とプリムが全力で突っ込んで、勝負を決めるつもりだろ?」
「そりゃな。下手に長引かせたりなんかしたら、何をされるか分からないんだからな」
エドが呆れながら口を開くが、俺もプリムも、無駄に戦いを長引かせるつもりはない。
だからウイング・バーストと極炎の翼を全開で使って、一気に勝負を決めるつもりだ。
とはいえ俺はアイスエッジ・ジャベリンしか攻撃用の固有魔法を開発できてないから、フレア・ペネトレイターにフレア・ニードル、未完成だがフレア・トルネードっていう固有魔法を開発しているプリムに比べると攻撃力で劣る感じがしている。
一応構想はあるし、試してみるのも手かもしれない。
Side・プリム
アテナがドラゴネスピアの感触を確かめ終わり、大和もアーク・オーダーズコートを纏うと、私達は守護者の間に突入した。
もちろん入る前に大和はウイング・バーストを、あたしは極炎の翼を纏うことも忘れない。
中に入ってからだと、魔法を使う間もなくやられることもあるって聞いてるからね。
他のみんなは、スピカとブリーズが引く獣車に乗ってもらっているわ。
獣戦車っていう戦闘用の獣車もあるから、みんなには獣車から魔法で援護してもらうことになってるんだけど、あたし達の獣車は普通のだから、ハイクラスのみんなはその時だけ獣車から降りてくることになるわね。
「グラアアアアアアアアアアアアッ!!」
守護者の間に入ると、ゴールド・ドラグーンが咆哮を上げながら待ち構えていた。
いきなりブレスを吐いてくることはなかったけど、あたしと大和以外のみんなは、その咆哮で委縮してしまっている。
これじゃ援護は無理ね。
「おっと、させるかっての!」
さらにゴールド・ドラグーンは、氷の槍と石の槍を飛ばしてきた。
だけどこれは、大和がヴァナヘイムっていう光の刻印術から放たれた光で粉々に砕いてくれた。
「まだ距離があるってのに、次々とやってくれるじゃないの!」
間髪入れずに、今度は雷を纏わせた風の刃を飛ばしてきたんだけど、それはあたしのフレア・ニードルで相殺。
まだ守護者の間に入ったばかりだっていうのに、なかなか苛烈な攻撃を仕掛けてくれるわね。
「お返しだっ!」
返礼とばかりに、大和がニブルヘイムでゴールド・ドラグーンを氷らせ、さらにアイスエッジ・ジャベリンを放った。
全属性を持つゴールド・ドラグーンが相手だから、さすがのニブルヘイムもすぐに溶けちゃったけど、一瞬とはいえ完全に動きも止めてたから、ゴールド・ドラグーンはなす術もなくアイスエッジ・ジャベリンの直撃を受けた。
「ちっ!やっぱり的がデカいと、効果が薄いか!」
だけどそのアイスエッジ・ジャベリンは、思ってたよりも効いていない。
体が大きい相手だとブラッド・シェイキングはもちろん、大和が切り札にしているミスト・ソリューションっていう刻印術も効果が薄くなるって言ってたけど、それでもこれは面倒ね。
だけど全く効いてないワケじゃないし、アイスエッジ・ジャベリンは至る所に突き刺さっているから、とっとと終わらせるとしましょうか!
あたしはフレア・ペネトレイターを纏い、ゴールド・ドラグーンに向かって一気に加速した。
「グルガアアアアッ!!」
さすがに硬いわね。
まさか貫き切れないとは思わなかったわ。
胸元に突き刺さったフレア・ペネトレイターだけど、残念ながら体を貫くことはできなかった。
だけど穂先は完全に食い込んでるし、鱗や皮は丈夫でも体内はそこまでじゃないから、あたしは構わずにフレア・ニードルを撃ちまくる。
「『シールディング』!」
そのあたしを狙ってゴールド・ドラグーンは腕を振り下ろしてきていたけど、それは大和が騎士魔法シールディングを使って受け流してくれた。
さらにその腕に向かって瑠璃銀刀・薄緑を振るうことで大きな傷も付けてくれたから、もうあの腕は使えないでしょう。
「よっと!」
その隙にスカーレット・ウイングを引き抜いたあたしは、アクセリングを使って間合いを取る。
さらにまだ未完成だけど、極炎を渦巻かせ、浮かべたフレア・スフィアからフレア・ニードルを放つ固有魔法フレア・トルネードを放つ。
極炎の竜巻の中で極炎の針によって全方向から攻撃を受け続けるゴールド・ドラグーンだけど、本来は上空に巻き上げられるはずなのよ。
なのに地上に留まったままなんて、さすがってところかしらね。
「これで終わらせる!」
マルチ・エッジを再生成した大和は、開発中だっていう無性S級無系刻印術アイスミスト・エクスプロージョンを発動させた。
大和のアイスミスト・エクスプロージョンは、あたしのフレア・ペネトレイターの傷口だけじゃなく、アイスエッジ・ジャベリンの傷口も対象に発動している。
小さな氷の粒によって生じた霧によって傷口は完全に氷り付き、次の瞬間傷口や体内が爆発するように弾けたから、さすがにゴールド・ドラグーンでも耐えられないでしょうね。
「グルアアア……」
最期に力無く一声上げると、ゴールド・ドラグーンはゆっくりと倒れていった。




