表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘリオスオーブ・クロニクル(旧題:刻印術師の異世界生活・真伝)  作者: 氷山 玲士
第五章・アミスター王国王都にて
100/626

レティセンシアへの疑念

 昨日は色々あったが、プリムに怒られたことでフロライトも素直になった気がするから、しばらくは安心していられるだろう。

 ミーナ達の瑠璃色銀ルリイロカネ製武器の試し切りも、結果は上々だった。

 まだ使いこなしてはいないが何となくコツは掴めたみたいだから、あと何日か狩りをしていれば、新しい武器にも慣れるだろう。


 そんなことを考えながら、獣車の寝室で目を開けた。

 昨夜から俺達が泊ってる魔銀亭のハウスルームに獣車を出して、俺達はそこで寝ることにしている。


 理由?

 こっちのベッドのが広くてデカいから、寝る時に窮屈な思いをしなくて済むんだよ。

 昨夜からはリディアとルディアも加わったから、魔銀亭のベッドだとどうにもならない。

 逆に獣車の俺の寝室は、部屋の半分近くがベッドで占められている。

 しかもそのベッドはキングサイズすら目じゃないデカさだから、俺、プリム、ミーナ、フラム、リディア、ルディアの全員で寝ても問題ないし、リカさんやユーリアナ姫が加わることになっても全然余裕がある広さだ。


 というわけでリディアとルディアも、姉妹同時にいただいてしまうことになった俺は、いつも以上に頑張った。

 リディアの胸がリカさんより小さかったとしても、ルディアが恥ずかしがりながらも大胆に体を開いてきたとしても、フラムが嬉々としてみんなを責めていたとしても、ミーナが大胆になり始めてきたとしても、プリムが全員から責められて喜んでいたとしても、俺には頑張るという選択肢以外は存在しない。


 ……すいません、正直に白状します。

 俺も楽しんでました。


 ま、まあそれはそれとして、リディア、ルディアとも婚約した俺だが、2人の実家はバレンティア竜国の竜都ドラグニアにある。

 となると当然、実家にご挨拶に伺いに行くのが筋というものだろう。

 リカさんは子供が家督を継いでからになるし、ユーリアナ姫は成人するまで結婚できないから、王都のプリスターズギルドでミーナ、フラムと結婚してからバレンティアに行って、そこのプリスターズギルドでリディアとルディアとも結婚っていうのが、俺としても2人としてもベストじゃないかと思う。

 もっとも、まだ2人とも16歳だから、結婚は1年近く待たないといけないんだが。


 一応ドラグニアにある実家には、昨日手紙を送る手配をしたってリディアが言ってたから、しばらくしたら伝わるだろう。

 リディアとルディアのお父様はバレンティア近衛竜騎士団の副団長で、実のお母様ともう1人のお母様は驚いたことにドラゴニアンで、お父様の戦場での相棒なんだとか。


 そういえば、ドラゴニアンだけはまだ見たことなかったな。

 元々数は少なく、女性だけしかいない種族ではあるが、基本的にはバレンティアにある聖山に住んでいて、結婚したら相手の所に行き、その相手が死んだら再び聖山に戻るんだとか。


 ドラゴニアンは他の種族とは異なり、寿命は500年ほどもあるらしい。

 ハイドラゴニアン、エンシェントドラゴニアンに進化はするが、元々の寿命が長いこともあって、進化しても寿命は延びないと言われている。

 さらにドラゴニアンは、ヘリオスオーブに存在する2種類のドラゴンの内の1種でもある。

 ドラゴニアン専用の天賜魔法グラントマジック竜化魔法を使い、体をドラゴンに変えることで、絶大な戦闘力を発揮することも可能なんだとか。

 竜化した場合は、レベルにもよるが、(プラチナ)ランクモンスターでも1対1で圧倒することができるとも言われているな。


 ちなみにもう1種類のドラゴンはドラグーンと呼ばれていて、こっちは迷宮ダンジョンなんかに多いそうだ。

 竜騎士かよとも思ったがヘリオスオーブじゃドラゴンを指していて、竜騎士はドラグ・ナイト、あるいはドラグ・オーダーとも呼ぶらしい。


「で、今日の予定は?」

「そうだな、やっぱり武器の扱いに慣れてもらうために、狩り行くってとこだろうな」

「賛成ね」


 朝飯を食ってる最中に今日の予定を聞いてきたルディアに少し考えてから答えを返すと、プリムも同意してくれた。

 もう異常種も災害種もいないと思われてるから、そこまで危険はないと思うが、絶対にいないとは断言できないから、マイライトに行こうかという案は封印だ。


「私もそれがいいと思います。ミーナさんとフラムさんは、見た目こそ派手ですけど一般的な剣や盾、弓とそう変わりませんけど、私やルディア、ラウス君、レベッカちゃんの武器は、ちょっと特殊ですから」


 リディアが言うように、ミーナとフラムは装飾こそ派手で豪華だが、それ以外は普通の物と大差ない。

 だけどリディアはソード・ブレイカーを、ラウスは刃を仕込んだ盾を、レベッカは槍にもなる弓を、ルディアなんて爪を伸ばせる手甲に刃の生えた足甲なんだから、一朝一夕で使いこなすことはできない。

 試し切りの結果が上々だったとしても、それとこれとは話が別だから、少しでも多く狩りをしておいた方がいい。


「それはあたしも賛成だけど、どこに行くの?」

「ベール湖だろうな。マイライトはさすがに遠いし、こないだのアライアンスで荒れてるだろうから、できれば避けたい」


 なにせ異常種や災害種どころか、終焉種までいたんだからな。

 魔物のヒエラルキーも変わってるだろうから、俺とプリムだけならともかく、みんなを連れてっていうのは少し厳しい。


「そりゃ終焉種が討伐された訳ですから、確実に生態系も変わってるでしょうね」

「でもそこって、フィールから獣車で7時間近くかかったんですよね?さすがにそれは遠すぎですから、考えすぎじゃないですかぁ?」


 ラウスは納得したが、レベッカは俺の考えすぎだと言う。

 確かにそうなんだが、終焉種の影響がどこまであるかはわからないし、その終焉種がいなくなったことでマイライトのオーク達がどう動くかは予想ができないから、考えすぎぐらいで丁度いいんじゃないかとも思う。


「それはそうなんだが、他のオークがどうなってるかってのもあるからな。時間があれば調査ぐらいは行くが、明日から王都なんだから、それはホーリー・グレイブに任せるしかないだろう」


 俺達が王都に行くことは、ハンターズギルドも承知の上だ。

 本当ならアライアンスも、俺達が王都から戻ってからにしたかったんじゃないかと思うんだが、さすがにオーク・キングやオーク・クイーンを放置しとくのはマズすぎるから、場合によっては王都に行く日時を変更する可能性もあった。

 結果的にではあるが、そこにいた終焉種のオーク・エンペラーとオーク・エンプレスごと集落を潰せたから、マイライトが混乱するかもしれないとはいえ、フィールとしては安心できることになった訳だが。


「確かホーリー・グレイブって、大和達が王都に行ってる間はフィールにいてくれるんだよね?」

「正確には年内いっぱいだな。一応ユニオンメンバーや家族なんかは連れてきてるけど、拠点は王都だからあまり無理はさせられない」


 もっとも、今回はハンターズギルドの不始末だってグランド・ハンターズマスターは言い張ってるから、年が明けたらすぐにフィールに来て、ホーリー・グレイブを王都まで送ってくれるそうだが。


「年内いっぱいか。王都までの行きはともかく、帰りは獣車だから、ギリギリってワケじゃないんだね」

「王都にどれぐらい拘束されるか、にもよるでしょうね。最長で一月は見てるけど、場合によってはそれ以上かかる可能性もあるし」


 そうなんだよな。

 レティセンシアのスパイ連中の公開処刑は、王都に連行して数日後に執行される。

 既にレティセンシア皇王にも伝えてあるそうだが、返事はまだ来てないとも聞いてるから、内容次第じゃ駆り出されるかもしれない。


 あ、既にクラフターズギルドは撤退の意思を固め、既にグランド・クラフターズマスターが、レティセンシア中のクラフターズギルドに通達してあるそうだ。

 撤退するのは派遣されている職員だけだが、当然ながら家族もいるため、多くのハンターに護衛依頼が出されているらしい。

 トレーダーズギルドもその流れに乗りそうな気配があるから、場合によってはトレーダーの護衛依頼も出るんだろうな。

 ハンターズギルドの撤退は、グランド・ハンターズマスターが直々に皇都に乗り込んで、皇王に直接宣言することになってるらしい。

 昨日か一昨日ぐらいには行くって言ってたから、今頃レティセンシアは大慌てかもしれないが、マリアンヌ王女はグランド・ハンターズマスターを見下してたから、皇王も同じことを言ってる可能性もあるか。


 それにレティセンシアが頼りにしてる魔化結晶も、俺から言わせれば欠陥品だ。

 いや、確かにマリアンヌ王女が言ってたように、従魔魔法や召喚魔法で契約してしまえば何とかなるのかもしれないが、それだって絶対じゃない。

 なにせ工芸魔法クラフターズマジックには従魔・召喚契約を強制解除する魔法があるらしいし、契約者でもある主人が死ねば、契約も切れるんだからな。

 異常種に進化した従魔や召喚獣もいたそうだが、自然に進化した場合は血縁者に限るが再契約が可能らしいから、そこまで危険というわけでもない。

 だけど魔化結晶で進化させられた場合は、何か副作用があるような気がするんだよなぁ。


「大和?どうかしたの?」

「ん?ああ、ちょっと考え事してた」

「ふーん。ま、いっか。今日はベール湖の湖畔で、適当に狩りをするってことでいいんだよね?」


 レティセンシアや魔化結晶のことは気になるが、今考えても仕方ないし、俺が考えるようなことでもない。

 今考えることは、今日の狩りのことだ。


 朝飯を食った後、俺達は牧場に行き、ジェイドを獣車に繋いでベール湖の湖畔に向かうことにした。

 フロライトとミーナのバトル・ホース ブリーズは、仲良く一緒に歩いてるな。


 この辺りに出てくるのはブルーレイク・ブル、レイク・ビー、レイク・ラビット、ゴブリン、ホーン・ラビット、グラス・ボア、グラス・ウルフだが、俺的に狩りたいのはブルーレイク・ブルだな。

 この程度の魔物なら怪我をする心配も少ないし、明日に疲れを持ち越すこともないだろう。


 俺とプリムはみんなのサポートに回り、5時間ほど狩りを続けた。

 みんなも新しい武器のコツを掴んだみたいで、最後の方は出てくる魔物もけっこう簡単に倒してたな。


 リディアはスパイラル・ラビットの角をドラグ・ブレイカーで受け流してからドラグ・ソードで首を切り落としてたし、ルディアはブルーレイク・ブルを足の刃や手の爪で切り刻んでいたし、ラウスはグラス・ボアの突進をラピスライト・シールドの刃で妨害してからラピスライト・ソードで倒してたし、レベッカはグリーン・ウルフに矢を射つつもラピスライト・ボウエッジで貫いてたな。

 もちろんミーナも、ホブ・ゴブリンの攻撃をシルバリオ・シールドでいなしてシルバリオ・ソードで切り捨ててたし、フラムもラピスウイング・ボウで射た矢でレイク・ビーを落としてたから、だいぶ慣れてきたんじゃないだろうか?


 その甲斐もあってか、みんなレベルも上がっている。


 ヤマト・ハイドランシア・ミカミ

 17歳

 Lv.71

 人族・エンシェントヒューマン

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:(ミスリル)


 プリムローズ・ハイドランシア・ミカミ

 17歳

 Lv.67

 獣族・エンシェントフォクシー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:(プラチナ)


 ミーナ・フォールハイト

 17歳

 Lv.31

 人族・ヒューマン

 ユニオン:ウイング・クレスト

 オーダーズギルド:アミスター王国 フィール支部所属

 オーダーズランク:(ブロンズ)(カッパー)

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:(ブロンズ)(カッパー)


 フラム

 18歳

 Lv.29

 妖族・ウンディーネ

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:(カッパー)


 リディア・ハイウインド

 16歳

 Lv.37

 竜族・ドラゴニュート(氷竜)

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア

 ハンターズランク:(ブロンズ)


 ルディア・ハイウインド

 16歳

 Lv.37

 竜族・ドラゴニュート(火竜)

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:バレンティア竜国 ドラグニア

 ハンターズランク:(ブロンズ)


 ラウス

 13歳

 Lv.34

 獣族・ウルフィー

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:(ブロンズ)


 レベッカ

 13歳

 Lv.31

 妖族・ウンディーネ

 ユニオン:ウイング・クレスト

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:(ブロンズ)(カッパー)


 フラム以外は(ブロンズ)ランクに昇格できるし、そのフラムも29だからその内昇格できるだろう。

 特にラウスは、剣の腕こそリディアに劣るが、それでも互角に近い戦いができるようになっているから、かなり強くなったと言ってもいい。

 そのリディアもルディアと同じレベルだし、(シルバー)ランクが見えてきてるから、そう遠くない内にハイクラスに進化できる気がする。


 王都から帰ってきたら、一度マイライトに足を運んでもいいかもしれないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ