スラム
スラム
何とか人気の無い所へ逃げる事が出来た。
全くゆっくり出来ない。あれからも女性に追われて大変だった。
ハンカチの隙間から回りを見渡す。一応全員巻くとこが出来たようだ。辺りには人影はあるのだが、スラム街へきていたようで道には浮浪者のような人がチラホラいる。
さてと、どうしたものか。
市内に戻るのも何だか怖いし。異世界でいきなりこの状況で一晩明かすのもちょっと。
一人で城を出てきたのが間違いか。
でもあのまま城にいたら絶対に出してもらえなくなっていた気がする。
しかし、日が落ちて徐々に暗くなってきた。
やっベーな。
「お金を恵んで下さい」
小さな女の子が女の子の声がした。
その女の子は小さな体にボロボロの服を着ている。
しゃがむと顔を覗きこんだ。
頬は痩け、眼下は窪んでいる。
可哀想に。女の子の頭を撫でると手が突起に触れた。
犬耳?
それは耳だった。犬のような耳がピンと立ち。
良く見ると尾っぽが生えている。
むむ。
顔は人間と同じ感じで、それに犬耳としっぽが付いている。
これは、獣人って事か?
「えっと、お金はあげられないけどご飯をごちそうしようかな?」