お久しぶりね。
お久しぶりね
「すみませんでした」
寺院を出るとシャロンは深く頭を下げた。
「ははっ。いいよ。良い経験になった。でも、あんまり目立ちたくないんだ。強くもなりたくないし。それは分かって欲しいかな?」
「どうして強くなりたくないんですか?」
シャロンが首を傾げている。
「シャロンはさ俺がどれだけ強くなると思う?」
「それはもう絶対に世界一です!!!」
「うん。世界一になったらどうなる?」
「世界一になったら最高です!毎日ゴロゴロできます。働かなくても大丈夫です」
シャロンは両手をグーにして熱く語る。
「そうなるかな?」
シャロンの手を引いて宿屋の方へ歩き出す。
「シャロンはさ。隣に剣を抜いて持つ人がいたらどうする?抜き身の剣を持つ人の隣でご飯をゆっくり食べられる?」
「食べれないです」
「どうして?」
「落ち着かないです」
「じゃあ、隣の国が大きな武器を手に入れました。その武器を使えばこの国を一瞬で滅ぼす事が出来ます。でも手に入れただけです。使いません。シャロンは信用する?」
「信用しません」
「わかった?」
シャロンは小さく頷いた。
俺がしゃがんで手を広げるとシャロンが飛び込んできた。
抱えて立ち上がる。
「シャロンは賢いな。でも、そういう事。国が強いのはまだ良いんだ。でも、個人が強いのは良くない。俺がどの国に住むかどうか。重要になってこない?フッフッフ!どうしようかな?魔物に協力してやろうかな?なんてさ」
「ごめんなさい」
シャロンが頭を擦り付けてくる。
「いいよ。それでも、神聖魔法はあった方が良いとは思っていたんだ」
肩にある小さな頭を撫でる。
「シャロンもそう心配してくれたんだろ?」
シャロンは小さく頷いた。
「ありがと、シャロン」
抱えるシャロンの背中を撫でながら宿へと歩いた。
シャロンは俺に怒られてショボくれたままだ。
怒りすぎてしまったようだ。俺を心配しての行為とは気付いていたから。強くは言わなかったのだけど。
宿屋の手前でシャロンと同じぐらいの背丈の女の子がいる。
「今晩は義明様」
いきなりその少女が話しかけてきた。
ゴシックロリータを彷彿とさせる格好をしており、かなり身なりにお金がかかっているのが分かる。
「お久しぶりね」
やべ!誰だよ全然わかんね。
「分からないよね。でも良いの」
良いのかよ?
もしかして、、、ストーカーとか?




