転生
転生
目の前が突然明るくなり、目をゆっくり開ける。回りには、クラスメイト。皆の顔に緊張が見える。
ん?皆の顔の横に、皆の名前と、HPにMP、能力とスキル、おっB,W,H。これは体のサイズかな?うん、ステータテスが見える。
ん?はっ!い、い、いかん!これは!個人情報!見てしまった!
プライバシーを覗くなんて人としてこれはあるまじき所業!
見てはいけない、見てはいけない!と念じる。
すると。
『スキル、《透明な心》をクローズします』
という声が頭の中でした。
目を開けるとステータテスが見えなくなっていた。良かった、ありがたい。プライバシーは守らねば。
回りを見渡すと皆が俺を見ているのが分かる。
ん?どうした?
「え?嘘?ヤバイ?」クラスメイトの女の子が俺を見て声をだす。「義明?嘘でしょ?」
「ん?呼んだ?」その子の方を見る。
「え?義明君なの?」マリちゃんが言う。
「こいつ、称号に勇者って書いてあるんだけど」さっきの女の子が言った。
「召喚されし者達よ!」突然澄んだ大きな声がした。
良く見ると俺達の回りをたくさんの人達が囲んでいる。
しかも、聞きなれない言葉なのに耳に馴染む。
「よくぞ、この世界、ドラセナへ来て下さった!」俺達を囲む人垣の中から一人、人が俺に向かって歩いてくる。「勇者様!お待ちしておりました!」
その人は俺の手を持ってそう言った。
やべ!
母ちゃん以外の女性の手に触ったの初めてだよ!
綺麗な人だ。
黒目の黒髪。はっきりした顔をしている。
その人の目をじっと見ているとその人は目を反らした。
いかんいかん!俺はブサメンのキモメン。不用意に人の目を見ると殺されかねないのだ。
「ドラセナを平和に導いてぐださい」
その女の人は俺の目を見ずにそう言った。
俺は、
「突然の事で実は混乱しているのですが。あのぅ」人神の言葉を思い出していた。「この世界の国は魔族に襲われているのですか?」
「そうなんです!」女の人の顔がぐっと近くに来る。「この国は魔族に襲われております!あなた様のお力で!私をお守りください!」
むっちゃ近い!親ですらキモいと言ってこんなに近づかないにに!
女性に耐性の無い俺は、
「あっあっあのう?ちょっと近くって、こんな綺麗な女性に近付かれると緊張してしまいます」
と言ったが、女の人は、
「え?何それ!スッゴい可愛い!」そう言って俺に抱き付こうとする。
『ちょっ!ちょっ!ちょっ!』その回りの白いロープをを着た人達が慌てて女の人を止めた。
「止めるな!私はコイツを手込めにする!」
ちょっとちょっと!女の子の言葉じゃあ無い。
「おい、おい。ちょっ待ってくれよ!俺達は?」クラスメイトの男がそう言った。
「勇者様?私の事はお嫌い?」女の人が俺を見て言う。
無視されたクラスメイトは頭を抱えている。
「いや、あのぅ、まず、魔族と戦うかどうかですが、保留にさせてください」あの人神の言う通りに動きたくは無かった。「私に自分の目と耳で判断させて下さい」
「はい。分かりました。その旅に私も連れていって下さい」その女の人は俺の目を見て言う。
『ちょっ!ちょっ!ちょっ!』再び取り巻きにひき止められている。
その時頭の中で無機質な、抑揚の無い声がした。
『スキル、《ぶれない心》を発動したした。精神魔法による精神侵食をレジストします』
『スキル、《素直な心》を発動しました。精神魔法Le1Le2Le3獲得しました』
ん?誰か何かした?
「あのう、俺は自分で見聞きしたものしか信じる事が出来なくって、それに、争い事も得意ではありません、好きでもありません。だから魔族と戦うのはちょっと」
「構いません。とても素敵です。私は未婚です」
んー。ちょっとぶっ飛んでるね。
「姫様!」女の人の取り巻きが言う。
姫様? それからその女の人は強制力撤収され。偉そうな人と一緒に食事の用意された会場に移った。
そこでご飯を食べながら受けた説明はこうだ。
この世界は地球ではない。
地球には帰れない。
魔族と戦って欲しい。
ここ王都にて、俺達を戦士として歓迎したい。
ここで、修行して、戦線に立って欲しいというものだった。
さっきの『姫様?』が旅に出て良いと言ったから俺はここを出るけどね。
まぁそんな内容だった。
食べ物はまぁまぁ、旨かった。醤油や、味噌的な物は無さそうだけどね。
皆がチラチラ俺を見ているのが気になった。料理を持ってきてくれる女性とかは軽くボディータッチしていくし。こっちの世界の人達はなんだか凄くフレンドリーだな。
それから建物を出ようとすると引き止められた。
「出ていって貰っては困る」さっきの偉そうな人が言った。
「いや、さっき『姫様』って人が良いって言いましたよね?」
残念だったな。怨むなら姫様を怨んでくれ。
それからいくつかアイテムを渡された。
ギルドカード。これは身分証明書になるらしい。
お金。金色の硬貨が入ってる。
あと手紙、さっきの姫様からの物らしい。あとでゆっくり読むとしよう。