プロローグ
普段はコメディしか書かない(書けないとも言う)んですが、ラブコメというものに惹かれ書いてみた次第です
胸キュンのむの字も知らないような作者が書いているので甘くありません
「壁ドンのないラブコメなど邪道じゃああああああ」という方は読まない方がいいかもしれないです
今回はプロローグなので短いです
「この町・燐火町には、一風変わった治安部隊が存在する。
その名も―――『白狐』。
江戸時代から続くこの部隊は、生きた都市伝説として今なおその名を馳せている。
怪しい紋様を散りばめた白地の狐面を着け、刀を腰に差し、忍者のような黒い装束を身に纏った“白狐”達は、悪を懲らしめるため、夜の町を奔走している―――『スクープ!女性の白狐あらわる!』
だってさ、諸刃!」
早口でまくし立てながら、親友の真凛は興奮の面持ちで私の机をバンバン叩く。
この手の話が好きで、そして誰かに話したい彼女はスクープの度に私に読み聞かせるのだが、いい迷惑である。
「だから?」
机に突っ伏していた私は、少し顔を上げてテキトーにそれに応じた。
頼むから机叩くの止めて。疲れてるんだよ。
「だから?って……ひどいなー!もうちょい興味持とうよ」
彼女はいつもは白い頬を紅潮させて私の耳元で抗議する。
大声で怒鳴るな、うるさい。響く。
「ハイハイ、白狐ね。その白狐が誰だろうが、私の睡眠を邪魔する権利はないわ。というわけで寝かせて」
私は抗議を軽く流して、教科書を積んで作った枕に顔を埋める。もちろん固くて埋まらないけども。
一時限目と二時限目の間の休み時間は10分。その貴重な10分の睡眠時間を邪魔する奴は、たとえ親友でも許さない。
「諸刃は朝、本当に弱いねー。実は諸刃が白狐なんじゃないのー?」
真凛は都市伝説の雑誌をくるっと丸めた物で私の頭を小突いた。
ねえ、人の話聞いてた?
眠いんだってば。
「授業中にも寝る悪い子が、正義のヒーローなわけないでしょ?」
「それもそかー。じゃあ、おやすみ諸刃」
「おやすみ」
クセのついた長い茶髪を揺らし、上機嫌な様子で自分の席に走り戻っていく真凛の後ろ姿を見送る。
ようやく下らない話が終わった。
と思っていたら、
キーンコーンカーンコーン……
休み時間も終わった。
「あはは、ごめんねー」
舌を小さく出して可愛く謝ってくる真凛を睨みつつ、むくりと起き上がる。
やはり寝ていない分、頭がぼんやりする。
さすがに徹夜明けはキツイな。今夜は何も起こらないといいけど。
そんなことを思いながら、“白狐”は教科書を開いた。
ここまで読んでくださったあなたに心からの感謝を。
ありがとうございました!
PS作者はラブコメというものをよく理解していないので、読者様の意見を取り入れていきたいと思っております
感想、批評、意見など随時お待ちしております!